(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0322BpGas2014.pdf
(ロシアと日本がそれぞれ輸出世界一、輸入世界一!)
(5) 2013年の天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G06.pdf 参照)
2013年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆359億㎥であった。輸出量トップはロシアの2,255億㎥であり、内訳はP/Lによるものが2,113億㎥、LNGが142億㎥であった。同国の世界輸出全体に占める割合は22%である。これに次ぐのがカタールの1,255億㎥であり、そのうちLNG輸出は1,056億㎥、P/L(ドルフィンP/L)によるUAE向けが199億㎥である。第3位はノルウェーの1,062億㎥で、同国の場合は殆どがP/Lによる欧州各国向けの輸出である。上記3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、3カ国の合計シェアは世界のほぼ44%に達する。その他の主な輸出国はカナダ、オランダなどである。
一方輸入国としては日本が1,190億㎥と最も多く、次いでドイツの958億㎥が世界第2位である。日本は全量がLNG、ドイツは全量P/Lと両国の特色が分かれている。世界第3位の輸入国は米国(816億㎥)であり、第4位以下にイタリア(571億㎥)、韓国(542億㎥)、中国(519億㎥)、英国(512億㎥)と続いている。なお米国は一方で445億㎥の輸出実績があり、これを差し引いたNETの輸入量は371億㎥となり、世界9位の輸入国となる。さらに米国は近年シェールガスの開発生産が急増、国内での自給率が高まっている(第3項消費量(5)「主要国の需給ギャップ」参照)。従って輸入量は引き続き減少し、いずれ天然ガスの純輸出国になるものと思われる。
輸入上位2カ国(日本、ドイツ)の世界全体に占める割合は21%であり、輸出上位2カ国(ロシア及びカタール)のシェア34%に比べてかなり低い。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていると言えよう。これは価格の主導権が輸出余力のある一部生産国に握られることを示唆しており石油の場合と共通した現象である。
(続く)
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