(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf
2.2013年の世界の石油生産量
(世界の石油生産量の3分の1を占める中東地域!)
(1) 地域別生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G01.pdf 参照)
2013年の世界の石油生産量は日量8,681万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみると中東が2,836万B/Dと最も多く全体の33%を占めている。その他の地域については欧州・ユーラシア1,728万B/D(20%)、北米1,683万B/D(19%)、アフリカ882万B/D(10%)、アジア・大洋州823万B/D(10%)、中南米729万B/D(8%)である。
各地域の生産量と埋蔵量(石油篇1参照)を比較すると、埋蔵量のシェアが生産量のシェアより高い地域は中東及び中南米であり、その他の地域(北米、欧州・ユーラシア、アフリカ、アジア・大洋州)は生産量のシェアが埋蔵量のシェアよりも高い。例えば中東は埋蔵量では世界の48%を占めているが生産量は33%に過ぎない。中南米も埋蔵量シェア19%に対し生産量シェアは8%である。一方、北米及び欧州・ユーラシアの場合、埋蔵量シェアがそれぞれ14%、9%に対して生産量のシェアは19%及び20%である。またアジア・大洋州も生産量シェアが埋蔵量シェアを8ポイント上回っている。このことから地域別に見て将来の石油生産を維持又は拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び中南米であることが読み取れる。
(前年比で二桁の伸びを示し1千万B/D台を突破した米国!)
(2) 国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-T01.pdf 参照)
次に国別に見ると、最大の石油生産国はサウジアラビアである。同国の2013年の生産量は1,153万B/Dであり、第2位はロシア(1,079万B/D)であった。サウジアラビアはこれまで圧倒的な生産量を誇り両国の差は一時300万B/Dを超えたこともあったが、近年はその差が縮まり2009年、2010年の両年はロシアがサウジアラビアを追いぬき生産量世界一となった。しかし2011年以降は再びサウジアラビアが生産量世界一の座を取り戻している。
第3位は米国であるが、同国の生産量は前年の889万B/Dから大幅に伸長し13.5%増加、1千万B/Dの大台を突破した。上位10カ国のうち前年比で二桁台の増加率は米国だけである。これら3カ国の生産量は4位以下を大きく引き離しており、世界に占めるシェアは4割弱の37%に達する。
4位以下は中国(418万B/D)、カナダ(395万B/D)、UAE(365万B/D)と続きイランが僅差の356万B/Dで世界7位に入っている。しかし同国は欧米の禁輸措置により輸出量が激減し、これに伴って生産量は米国と対照的に前年比6%減と上位10カ国の中で際立って悪い。同国は一昨年の4位から昨年の6位、そして今年は7位と毎年順位を落としている。ライバルのイラクの生産量は前年をわずかに上回る314万B/Dで既にイラク戦争前を上回る生産水準に回復し、イランに次ぐ8位につけている。
9位以下はクウェイト(313万B/D)、10位メキシコ(288万B/D)、11位ベネズエラ(262万B/D)、12位ナイジェリア(232万B/D)、13位ブラジル(211万B/D)と続き、以上の国々が生産量200万B/D以上の産油国である。
(続く)
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