(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf
(2000年以降OPECの生産シェアは42%でほぼ一定!)
(3)石油生産量の推移とOPECシェア(1965~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G02.pdf 参照。)
1965年の世界の石油生産量は3,180万B/Dであったが、その後生産は急速に増加し、1980年には6,296万B/Dとほぼ倍増した。その後価格の高騰により石油の消費は減少、1985年の生産量は5,746万B/Dにとどまった。1980年代は石油の生産が歴史上初めて長期にわたり減退した時期であった。
1990年代に入ると石油生産は再び右肩上がりに増加し始めた。そして1995年(6,799万B/D)以降急激に伸び2000年に7,498万B/D、2005年は8千万B/Dを突破して8,211万B/Dに達している。これは中国、インドなど新興経済国の消費量が急増したことが主たる要因である。その後2000年代後半は原油価格の急騰とそれに続く景気後退で石油生産の増加は鈍り2013年の生産量は8,681万B/Dであった。
地域毎のシェアの変化を見ると、1965年は北米の生産量が32%でもっとも多く、中東26%、欧州・ユーラシア18%、中南米14%、アフリカ7%と続き、アジア・大洋州はシェアが最も小さく3%であった。しかしその後北米の生産が停滞する一方、中東及び欧州・ユーラシア(特にロシア及び中央アジア各国)が急成長したため、現在(2013年)では中東のシェアが最も高く(33%)、次いで欧州・ユーラシア(20%)、北米(19%)の順となっている。米国のシェアは過去30年近く下がり続けたが、最近はわずかながらアップしている。これはシェール・オイルの生産が急増したためと考えられる。これとは逆にアフリカの生産は最近シェアが頭打ちから減少する傾向にある。
石油生産に占めるOPEC加盟国のシェアの推移を見ると、1965年は44%であり、第一次オイルショック(1973年)前には50%近くに達した。しかし80年代前半にシェアは急落し85年には30%を切った。その後80年代後半から90年代前半にシェアは回復し、95年以降は再びシェアは拡大して40%台のシェアを維持しており2013年は42%であった。
OPECのシェアが1980年代前半に急落したのは、第二次オイルショック(1979年)の価格暴騰を引き金として世界の景気が後退、石油需要が下落した時、OPECが大幅な減産を行ったためである。
今後の石油生産の推移について需要と供給の両面で見ると、石油と他のエネルギーとの競合の面では、地球温暖化問題に対処するため太陽光、風力などの再生可能エネルギーの利用促進が叫ばれている。さらに石油、天然ガス、石炭の炭化水素エネルギーの中でもCO2排出量の少ない天然ガスの人気が高い。このように石油の需要を取り巻く環境は厳しいものがある。その一方、中国、インドなどのエネルギー需要は今後も拡大するとする見方が一般的である。基幹エネルギーである石油の需要は底堅く、今後も増えていくものと予測される。
供給面ではブラジル、メキシコ湾における深海油田或いは自然環境の厳しい北極圏などのフロンティア地域において開発生産されるようになった。さらに特筆すべきはこれまで開発されていなかったシェール・オイル、サンド・オイルなど「非在来型」と呼ばれる石油が商業ベースで生産されるようになった。これは石油開発技術の進歩の成果であるが、その背景には石油価格が高止まりしていることがある。但しイランに対する経済制裁、リビア、イラク、ナイジェリア等の有力産油国の治安が悪化している。これらは一時的・短期的な要因とも考えられるが供給面における不確定要素も少なくない。
(続く)
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