Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ポランスキーの帰還

2017-02-23 00:10:00 | コラム
「平々凡々な半生。とくに変わったことはなかった」といっているひとでも、なにかしら「ひととはちがったこと」を経験しているもので。

その逆に「波瀾万丈だった」という、そのひとのイキザマを聞いてみると「意外とフツーじゃん」と感じてしまったり。


結論としては、自ら「山あり谷あり」感を出さないほうがいいんじゃないか―になるのだが、映画史を眺めてみると「こりゃ、そーとーだよ。本人の映画以上かもしれない」と思う映画監督が数人居て。

17歳の少年に殺害された、パゾリーニ。
そして、殺人事件の「遺族」であり、性犯罪の「加害者」でもあるロマン・ポランスキーである。

ポランスキーの半生は、いつかきっと映画化されると思う。
映画監督しての才能は疑いようがないのに、私生活におけるスキャンダルが強烈に過ぎて、その評価が「もやっ」としてしまう厄介なひと。

68年、女優のシャロン・テートと結婚。



ゾクゾクするほどの美人だが69年の8月、ヒッピー集団「チャールズ・マンソンと、その一味」に惨殺されてしまう。
テートはこのとき、子どもを身ごもっていた。

どん底状態でも、ポランスキーは映画を撮りつづけた。
そうすることがリハビリにもつながったのだろうが、このころに撮った『チャイナタウン』(74)を観ると、あんまりこういう書きかたはしたくはないのだが・・・

「あんなことがあったひとだから」この高みに到達出来たのではないか、、、と評せるほどに、独特な光を放っている。

星野源が大病のあとに『地獄でなぜ悪い』を歌った感覚にちかいのかもしれない。


しかし・・・。

77年―俳優ジャック・ニコルソンの邸宅で、13歳の少女を強姦。

ポランスキーは保釈中に国外逃亡を図り、パリに移る。
以来、米国の地を踏んでいない。

だから『戦場のピアニスト』(2002)でオスカー監督賞を受賞した際、会場には姿を見せられなかった。


※故人でもない受賞者が、壇上に上がらないケースは数えるほどしかない。

スコセッシもスタンディングオベーション、カメラは意地悪にも? ジャック・ニコルソンを捉える。

会場の様子からすると、皆、ポランスキーを真に祝っているようだ。





『戦場のピアニスト』を好きだというひとに、この話をすると「え、あんな感動的な映画を撮ったひとが…!?」と驚き、嫌悪することもあるが、基本的には作品と、それを創ったものの人格は切り離すべき。

・・・とは分かっていても、そう出来ないのが、好き嫌いの感情を有する人間というもので。


この事件には諸説あり、ほんとうのところは当事者のみしか分からない。
少なくとも示談は成立しており、事件としては解決した、、、かに見えて、そうなっていないのは、「内容的に」あまりにも印象が悪いからかもしれない。
(少女に飲酒させ、判断能力を鈍らせた時点でアウト)


事実、日本時間で24日に開催される仏セザール賞の審査委員長を務める予定だったが、フェミニスト団体の強い反発を受け就任を辞退する騒動が起こった。

40年前、、、とはいえってことか。


それでもポランスキーは、米国に帰還する意思があるようだ。

司法が絡むため複雑な流れにはなるが、ポランスキーが米国の地を踏んだ場合、彼が受けるであろう処分は保護観察になるもよう。


現在83歳、映画界にとっては「代わり」の居ない特異なポジションに居るひと。

キャリア前半に起こったふたつの悲劇を見つめ直すことによって、彼だけが表現出来る映画を撮ってくれるかもしれない。

だから、ポランスキーの願いが叶えられればいいな、、、と思う。

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『オスカー予想、最終版』
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釣りは要らねぇよ。

2017-02-22 00:10:00 | コラム
ピザやマックのデリバリーを、クレジット決済するようになった。

滅多に利用しないクセして、電車もモバイルSuicaで乗車。
タクシーも、Suicaが使えるものにしか乗らなくなって。

便利な世の中だが、困る、、、いやべつに困ることはないのだが、自尊心を満足させられなくなったのは、「釣りは要りません」の台詞がいえなくなったこと。

先日、先輩と「いくらまでなら、釣りは要らないといえるのか」みたいな話になって。

札が混じっていたらもちろん受け取るが、基本990円以下なら(格好つけて)「要らない」で一致、
同じテーマで女子と話すと「そんなの、あり得ない」といわれることが多く、
これはケチか否かではなく、男のほうが「エーカッコシー」ということなんだろう。

チャリ以外のものに乗って移動するときなんかね、大体アルコールが入っているし、気も大きくなるわけで、だから場合によっては1300円払うのに5000円紙幣を出して「釣りはいらないよ~」とか、ヘラヘラしながらいうこともあった。

ドライバーさんのほうが恐縮しちゃったり。


で、来月から新聞代金まで銀行の引き落としになっちゃって。

そういうひとも増えたろうが、それでも新聞ってもの自体がアナログだから、集金のほうがしっくりくるじゃない?

集金している子が新聞奨学生だったりすると、おじさんなんかうれしくなっちゃって、たとえば現在は朝・夕刊セットで4037円だから、5000円紙幣渡して「肉まんでも買ってね」と優しくいうのが好きだったんだよ、それも出来なくなっちゃうのは、ちょいと寂しいな~、、、と感じている「元」新聞奨学生なのだった。


※金はいくらでも払う。メーターを止めるな。




※市長候補「釣りはいらないよ」




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『ポランスキーの帰還』
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沈黙とおかずと清水富美加

2017-02-21 00:10:00 | コラム
「水着の仕事っていったって、おかずですよね。露出の多い水着を着て、ベッドに転がされたり」

「握手会で、手がぬるぬるしてるおじさんとかに、すっごい気持ち悪い握手のされかたをする」
「この見知らぬおじさんが私の写真やDVDを観て家で何してるんだろう」

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若い女子が性的な意味での「おかず」ということばを吐くのを久し振りに聞いて、ゾクゾクした―などと、茶化してはいけない。

いや、茶化していいものだろう。


ここのところ連日報道されている、女優・清水富美加の出家騒動。

映画小僧だし、美女ウォッチャーだし、自慰キチガイだし、さらに映画『沈黙』が公開中というのもあってか、そのことについての意見をよく求められる。

ワイドショーを観ると、コメンテーターの8割9割が「筋を通せ」と批判している。
「すげー」怒っているひとも居る。

そんなに、「すげー」怒ることなのかな、、、とは思った。

タレント本の研究? もしているので、告白本も発売初日に読んだ。


で、自分の率直な感想。

出家そのものは、なんとも思わない。
幸福の科学だろうがアレフだろうが、ひかりの輪だろうが統一教会だろうが、信じたいものを信じればいい。

だから、よく聞く「宗教は怖い」という意見には賛同しない。

ただ『沈黙』とは根幹からちがう話なので、それを持ってこられても困る、、、というのはある。


「あけっぴろげ」に書かれている告白本は、そういう意味では楽しめた。

ただあくまでもインタビュー形式なので、タレント本研究家としては物足りないというのはあるし、
スポーツ紙などは、冒頭に引用したことばを「衝撃的」と評しているが、いやいや、衝撃性という意味では、やっぱり飯星景子や桜田淳子のそれには敵わないと思った。


では結論として彼女を腐しているのかというと、そういうわけでもない。

女優としては面白いキャラクターなので、単純に惜しいとは思う。

思うが、「性の対象になることを嫌がった」ただ一点において、やはり彼女は芸能界には向いていなかったのかもしれないな、そのことに気づくのに時間がかかり過ぎたよな、、、と。
『とくダネ!』(フジテレビ)の、小倉智昭の意見に近い感じ。


映画にとって、エロスと暴力は腐れ縁のような関係なんだ。

異論もあるだろう、しかしどんなジャンルでも監督でも俳優でも、エロスと暴力の呪縛からは逃れられない。

いつもいうが、ターザンの映画に女性客が殺到したのは「男のハダカを堂々と見ることが出来るから」という側面もあった。
自慰キチガイだけではないんだ、映画にエロスを求めているのは。

なんのエロス性もないはずの映画、『優駿 ORACION』(88)―この映画でヒロインを演じた斉藤由貴の足首だけで勃起が止まらなかった自分がいうんだ、これはまちがいない。

あの? キャシー・ベイツだって、清川虹子だってエロを演じる。

残念ながらこの世には、清水富美加が求めるユートピアのような「一般」映画はないし、必要とされていないのだ。


アイドル好きの割にはAKB系にピンとこない自分だが、それでも指原の「お尻、見せたくなっちゃうんですよ~」という発言には好感を抱いた。

これを聞いたとき、なぜ彼女が1位の人気を誇るのか分かった気がする。


彼女らのなかにも肌を晒すことを苦痛に感じている子だって居るかもしれない、それに耐える子をえらい! という気はないし、耐えたところでなんの結果も生まないので、早く辞めたほうがいいと思う。

さらにいえば、「ぬるぬる」おじさんを肯定しているわけじゃない。

ただ、それでも芸能界に居ようと思った子たちは、この業界にそれ以上の快楽を見つけたんだと思う。


松尾スズキは、「芸能人は、電球以上に輝きたいひとたちなんだ」といった。

そうなんだ。

おかずになっても、輝きたい。
っていうか、おかず上等。

それさえも武器にする覚悟を持つ―それだけが、この業界の門を潜ることの出来る資格なんだと思っている。

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『釣りは要らねぇよ。』
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俳優別10傑 海外「か行」女優篇(2)

2017-02-20 00:10:00 | コラム
~キルスティン・ダンストのキャリア10傑~

角度によってはモノスゴ美人に映り、そうでないときは、「それなりに」しか見えない・・・という、不思議な女優さん。

愛称はキキで、それが縁だったのか、『魔女の宅急便』(89)海外版で、主人公キキの声を吹き替えた。

現在34歳、煽情的な描写は嫌いで、エロスを捉えるにしても「明るいものがいい」という考えを持ってキャリアを築き上げる。

なるほど、それでチャイナドレスやチアガールね。

うつも経験し自らリハビリ施設に入所したり、ドイツの市民権を取得したりと、ことばは適切ではないかもしれないけれど、なかなか面白いひとで。

奇人ラース・フォン・トリアーの映画にも出演し、今後、映画ファンが驚くような飛躍を遂げる可能性を秘めている、そんな映画女優だと個人的には思っています。


(1)『スパイダーマン』(2002)

チャイナドレスと、逆さまキスシーンに尽きる。



(2)『ヴァージン・スーサイズ』(99)

危うい物語も、監督と主演女優に恵まれた。




(3)『メランコリア』(2011)

カンヌ主演賞受賞。

女優を追いつめるトリアーの映画に初挑戦、ヌードを披露し熱演、痛々しくもあるけれど、素晴らしい肢体だった。

(4)『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)

多くの映画ファンが初めてキキを認識した作品。

じつは、ブラピが霞む存在感。



(5)『チアーズ!』(2000)

広瀬すずちゃんの新作も、こんな創りであってほしい。

カメラワークがまた、素晴らしいんだ。




(6)『エターナル・サンシャイン』(2004)

映画のクオリティという意味では、この10本のなかでダントツ。

キキはあくまでも脇役だが、それでも重要な役を担っていた。

(7)『ギリシャに消えた嘘』(2014)

キキの美しさを完璧に捉えている。

優雅さまで纏い、新鮮な驚きに満ちていた。

(8)『若草物語』(94)

オルコットの名作を再々々々々? 映画化。

四女エイミーの12歳時を演じる。

(9)『モナリザ・スマイル』(2003)

保守的な女子大を描く、ジュリア・ロバーツ主演の学園モノ。

キキは生徒役を好演、ラストはくさいが、50年代の時代考証はとっても勉強になる。

(10)『ウィンブルドン』(2004)

タイトルどおりテニスを扱った映画だが、きちんとアスリート体型になっていることに感心。



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『沈黙とおかずと清水富美加』
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ネギやダイコンよりTP

2017-02-19 00:10:00 | コラム
今年も、きっちり花粉症の症状が出た。

出る前までは、「ひょっとして今年、脱することが出来たんじゃないか?」などと淡い期待を抱く・・・のだが、
目覚めて鼻がむず痒くなっていることが分かると、サック・マイ・ディック!! と、福生の山奥あたりの方向を向いて怒鳴る、、、という行為が、もう10年くらいつづいている。

そんなわけで、トイレットペーパーの消費量が多くなった。

ほんとうは赤っ鼻のためにも「鼻セレブ」あたりがいいのだろうが、高いし、この際TPでいいだろうと。

そうTPとはトイレットペーパーの略であり、『ツイン・ピークス 2017』(トップ画像)のことじゃない。


便の回数が異常なため、元々TPの消費量は多い。

冗談抜きに、1日に8回くらい出ることがある。

基本2食なのにね!

軟便であり、1回におけるTP消費量も多め。
それが日に8回となると、なかなかのもんだ。

16ロールのダブルを愛用しており、花粉症の時期でなくとも月に2袋買わないともたない。




つまりこの時期は、3袋も要ることになる。

問題は、最寄りの薬局で買ってから、家に戻ってくるまでの過程である。

自分が乗っている愛車(ロードバイク)ではミスマッチが過ぎて、どうにも格好がつかないのである。

ロードバイクというものは、日常性を排除したところに魅力があり、だから街中を走るチャリダーを見てみても、本格的なひとほどレジ袋さえハンドルにかけたりしていないでしょう。

そういう生活臭を出してしまうチャリダーは、愛好家から嘲笑の的にされてしまうのだった。


これなら、趣味嗜好を疑われる犯罪系? AVをレジに持っていくほうが恥ずかしくない。

スーパー「あるある」で、ネギやダイコンがスーパーの袋から出てしまって恥ずかしい、、、みたいなのがあるが、自分の場合はそれがTPだということ。




車の免許さえ持たぬ自分にとっての解決策は、ただひとつ。

徒歩しかない。

ただ買い物って、仕事の帰りとかに済ませたいじゃない?

いまのところ、仕事から帰ってきてチャリを自宅玄関前に置き、それから徒歩で出かけてTPを買って、また戻る・・・みたいな流れになっているのだが、このためだけに、でっかいカゴのついたママチャリを買おうかな~、と思っちゃっている自分が居るのであった―。





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明日のコラムは・・・

『俳優別10傑 海外「か行」女優篇(2)』
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