Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(19)

2012-10-26 00:38:10 | コラム
るいーず・ふれっ「ちゃ」ー→「ちゃ」いるど・ぷれい(チャイルド・プレイ)

ウシとカエルのパペット(操り人形)を使って漫才を披露する、パペットマペット(文末動画参照)が好きだった。

あんな風に器用に手を動かして「自然に見せる」ことが出来ないから、笑うよりも先に感心してしまうことが多いのだが。

だから自分の家にあるカーミット(=『セサミストリート』)のパペットは、ずっと動かないままでいる。


なにかの「力」―たとえばひとの手とか風とか―が働かないと動かないものが、自然に動くこと。あるいはAの方向にしか動かないものが、反対方向のBに動くこと。
それを我々は、怪奇現象、、、などという。

死体が動くとか。
ドアが勝手に閉まったりとか。
逆回転する時計とか。

人形の髪が伸びるとか瞬きしたとか。

怪奇現象は映画・ドラマの大好物であり、そういえば自分も学生時代、名画のモナリザが喋りだすというファンタジーなシナリオを書いたことがある。


『チャイルド・プレイ』(88)の「魂」を持った人形、チャッキーこと「チャールズ・リー・レイ」は、悪さをする前から可愛いとはいえず、これ欲しがる子なんか居るの? なんて思うのだが、無事に? アンディ少年にもらわれた。(買ってもらえた)

人形と化したチャールズの正体は、いわゆるシリアルキラーである。

ロマン・ポランスキー夫人を惨殺したチャールズ・マンソンのチャールズ、
ケネディ暗殺犯とされる(自分は・・・というか、もうほとんどのひとがそう思っていないはずだが)リー・ハーヴェイ・オズワルドのリー、
キング牧師を暗殺したことで知られるジェームズ・アール・レイのレイ―そんな3人の名前を合わせたサイテーなキャラクターであり、
もらってくれたアンディ少年の身体を乗っ取ろうとして、あの手この手を尽くす・・・。

「魂」を人形に埋め込む魔術はブードゥー教によるもの、、、というのが、米国映画によくある偏見のような気がするのだが、
これが日本でも大当たりし、沢山のシリーズが制作されることになる。

ホラーの不思議な法則というのか、それは、回を追うごとにユーモア性が強調される―というもので、
『13日の金曜日』シリーズ(80~)のジェイソンがまさにそうだし、
チャッキーにいたっては、4作目でとうとう嫁までゲットしてしまうのだ。(=98年の『チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁』)


怪奇現象は、ホラーだけの設定とはかぎらない。

ラブドール(昔でいうダッチワイフ)が魂を持ってしまった『空気人形』(2009)という切ない傑作もある。
なにが切ないってあなた、それは「動かないとされているものが、動く」物語に共通していることかもしれないが、
それ(=動くこと、感情を持つこと)を望んでいないひとも居る、、、いや、もっといえば、望んでいないひとのほうが多いという現実。
(『マネキン』(87)なんていう映画も、あったねぇ)


登場人物の多くが、彼・彼女に対し「元に戻れ」と思っている。

だからこの手の物語は、ホラーや恋愛に関係なく、最後の展開は「ほぼ」決まっている。

そう、燃やされたり壊されたりするのである。


うーん。
やっぱり、せつねぇ。。。






あすのしりとりは・・・
ちゃいるど・ぷれ「い」→「い」ちかわこん。

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hair

2012-10-25 00:15:00 | コラム
ワケあって、3週間ほど髪を伸ばしていた。
ヒゲも、毎日剃っていた。

きのうから元の坊主姿に戻り、ヒゲも剃らずに済んでいる。

♪ あぁ自由ってすばらしい ♪

と、その程度のことでハッピーなんだから、我ながら可愛いヤツだと思う。


たった3週間のことなのに、その違和感・不快感ったらない。

枕に触れる頭の感触が、いつもとちがう。
シャンプーの泡立ち加減が、いつもとちがう。
帽子かぶるときのフィット感が、いつもとちがう。
汗のかきかた流れかたも微妙に変わるし、なんかもう自分ではないみたい。

中途半端に伸びたので「タワシ的な感触」も失せ、これでは「気持ちいい~♪」とかいって女子に撫でられることもなくなっちまう。


そこで思った、かなり大袈裟にいうが、
単に「モミアゲが嫌いだから」という理由から始めた坊主スタイルが、いまでは自意識と直結するくらい大事なものになっているのだと。
それはヒゲにもいえることで、まさにあれだ、デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』(90)で、ニコラス・ケイジが蛇革のジャケットを指し「俺って人間のシンボルだ」といったのに似ている。

シンボルねぇ。

映画にAVに格闘技にアイドル、Tシャツやハーフパンツ、チャリ、煙草、ビール、エロ本、自慰、ジョギング、そして坊主とヒゲ。
多いのか少ないのかフツーなのかは分からないが、自分はそういうもので出来ている。
20年前はツーブロックで前髪だけ染めていたこともあったのだから、髪型なんて・・・と思ってはいるが、いまではそれが欠けるだけで牧野光永の15%くらいを失った気分になる。

ちょっと繊細に過ぎるよな。

そこで考える。
このまま死ぬまで坊主なのかと。

その可能性は、かなり高い。

そもそも? 頭の形がいいので坊主が似合うし。
しつこい? が、女子に撫でられたいし。
もっといえば、ハゲた薄くなった……という問題とは無縁の存在になるし。
手入れは(長髪より)大変なのだが、見た目は清潔感が漂うといわれるし。

ただ清潔感をアピールし過ぎるのもつまらない? ので、アクセントとしてヒゲを生やしているわけで、、、というのは生やすための口実か、単にヒゲが似合うと思っているから剃りたくないだけなのだ。


チャリの買い替え数には負けるが、バリカンも現在ので(たぶん)6つ目。

風呂場で全裸になり、鏡を見ながら髪を刈っていくと、そのときの自分の体積? も質量? も、落ちていく髪の分だけ減るはずなのに、減れば減るほど自分らしさに満たされるという不思議。

落ちた髪をシャワーで流し、はい出来上がり。

これを、週に1度のペースでおこなう。

女子の髪型の好みとして黒髪ロングやツインテールを挙げるのは、たぶんその反動? なのだろう。


※トップ画像は、ツインテール美女のひとり「栗田恵美」@『日本ツインテール協会』より

※※奇抜なヘアスタイルも印象に残る映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001)より、
アニメーションが素晴らしい『The Origin Of Love』を。

しかし名曲だなぁ、涙出てくる。




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隣人? は、静かに笑う

2012-10-24 00:15:00 | コラム
「―よう相棒、元気かい?」
「は?」
「格好いいね、山とか登りそうだ」
「登んねぇよ」


色黒で長身、しかしマッチ棒みたいな体型をしているジジイだった。

最寄りのスーパーで買い物を済ませると、出入り口で店員とジジイが揉めている。

ジジイのポケットからサラミ、(清算を済ませたはずの買い物袋から)紙パックの日本酒を抜いた店員の姿を見て、あぁ窃盗ねと理解した。

ジジイは暴言を吐くが、抵抗するわけでもない。
認めているのだから問題はなさそうだと店を出ようとしたのだが、店員のアンちゃんがまた、(ちょっと悪意のある表現になってしまうが)ジジイに負けないマッチ棒体型で。

ちょっと心配になり、また、私服保安員だった過去の血が騒いで、とりあえずオマワリくるまで見届けることにした。
そうして近寄っていった自分に、ジジイは開口一番「よう相棒」と声をかけてきたのである。

冒頭がその「返し」だが、なんだ相棒って。
自分がグルだと思われちゃうじゃないか。

気分は、映画『隣人は静かに笑う』(99)のジェフ・ブリッジスである。
マッチ棒ジジイがティム・ロビンスというわけだが、たとえが滅茶苦茶?

分かってるがな、でもこの映画を紹介したかったので、それもよし。

黒い顔が少し赤みがかっているところから、多少酔っていることが分かる。
とはいえグルであるかのように見られるのは心外、ジジイを無視してマッチ棒店員に話しかけた。

「―警察、電話したの?」
「いえ、これからです」
「自分がコイツ見張ってるから、どうぞかけてきて」
「いえ、でも」
「大丈夫、こういうのに慣れてるから」
「どちらかの店員さんですか」
「そういうのとはちがうけど、とにかく慣れっこなの。信用していいから、電話どうぞ」
「・・・はい」

冒頭の会話が聞こえていたのだろう、まだ疑いが解けていないようだが、マッチ棒店員は事務所に電話をかけに向かった。

とりあえずマッチ棒ジジイのベルトを掴み、マッチ棒店員(書いててややこしい)の戻りを待つ。

「元気いいねぇ、なにやっているひと?」

物を盗っておいてこの態度だものね、やっぱり情状酌量というのは本人のためにもならないのだ・・・と確信しつつ、答えるのが面倒なので無視を続ける。

「正義感?」
「・・・」
「同情?」
「・・・」
「えーかっこしー?」
「(苦笑)うるせぇな、あんた前科どれくらいあるんだよ」
「当ててみ」
「自慢する気? その歳でみっともないよ」
「なんで俺の歳が分かる?」
「正確には知らないし、知りたくもない」
「逃げたら、どうする?」
「酔ってんだろ、追いかけっこで負けるわけがない」
「俺もそう思う」

思わず笑ってしまった。

なんなのだろう、コイツは。

マッチ棒店員、帰還。

「ありがとうございました」
「いえいえ、じゃあ、もう大丈夫かな」
「はい」

「行くなよ、つまらなくなるだろ」と、マッチ棒ジジイ。

そのとき、思い出した。コイツ、初めてじゃない・・・と。

いや前科があることは(態度で)分かったが、顔を会わせたのが初めてじゃないってこと。
そう、自分が私服保安をやっていたころ、同じようなスーパーで捕まえたジジイだったのだ。

もう7年も前のことである。
捕まえられたほうは覚えていても、捕まえたほうは「よほど濃い犯罪者」でないかぎり、数年も経てば忘れてしまうものである。
ジジイも濃いほうだったはずだが、、、いや、だからこそ、なんとか思い出せたのかもしれない。

なかなかの偶然というか奇跡、
そこで「・・・俺のこと、覚えてた?」と聞いたところ、ほとんど同時にオマワリが到着してしまう。

「あなたね、じゃあ事務所で話を聞こうか」と、ジジイを連行するオマワリ。
その直前にジジイは笑みを浮かべ、自分に対してなにかを発しようとしていた。

ガッデム!
なんというタイミングの悪さだ。

いつもは待たすくせしてさっ!


ひとり残される自分、なんともモヤモヤが残る展開である。
たとえとして滅茶苦茶だと先に書いたが、隣人? かどうかはともかく「静かに」笑ったからね、この不気味さっていったらない。

あとを追いかけていってもいいが、事務所まで侵入して聞く話でもない、それに好みではないものの若い女子店員が「すごく助かりました、ありがとうございました」と、ひまわりのような笑顔をくれたから、まぁいいか・・・と、店をあとにしたのだった。


※『隣人は静かに笑う』…隣りに越してきた男が、じつはテロリストなんじゃないか―と怯える大学教授(教えるのはテロリズムの歴史)を主人公にした「技あり」のスリラー映画。





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『hair』

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にっぽん男優列伝(171)小林旭

2012-10-23 00:15:00 | コラム
38年11月3日生まれ・現在73歳。
東京出身。

公式サイト


前作を観たときも同じように感じましたが、
北野武の最新作『アウトレイジ ビヨンド』を観て、このシリーズは北野節がどうとか、そういうことを論じるより、俳優のための映画なのだから「楽しむべきなんじゃないか」・・・そんな感想を抱きました。

だって、みーーーーーーんな、楽しんで演じている「ように見える」からです。

とくに、
「そういう役」とは無縁だった加瀬亮、「駆け出しのころ」のキャラクターを久し振りに演じられる椎名桔平のふたりは、うれしくてうれしくてたまらなかったんじゃないでしょうか。

観ていてそれ(=演じる楽しみ)が伝わってくる映画って、じつはそんなにありません。
QTタランティーノの映画だけは「いつも」感じられますが、日本映画に限定すれば「だーーーーいぶ」遡ることになります。

それが、73年から「短期集中型」で制作された『仁義なき戦い』のシリーズです。

このシリーズに登場する俳優さんは、主演級から脇役まで、みんなが楽しそうに演じています。
怒鳴ったりわめいたり殴ったり拳銃ぶっ放したりしているだけですが、
それはつまり、映画が、エネルギーを発散させる装置として機能していた―そういうことなのではないでしょうか。
最近はそういう作品が少なくなったからこそ、『アウトレイジ』組の俳優さんが活き活きして見えた、、、のかもしれません。

『仁義なき戦い』で最も怖いのは主演の菅原文太ではなく、眉毛のない梅宮辰夫です。
そんな辰兄ぃには負けますが、グラサン姿の小林旭(こばやし・あきら)さんも、なかなかの迫力。

日活の先輩だから敢えて遠慮なしに書きますが、
通称マイトガイは、自分の年代では「ガタイはいいけど、ちょっと田舎っぺな感じがするオッサン」というイメージが強いです。
『仁義』を観る前の自分がそうでしたし、渡り鳥といわれても・・・みたいな。

しかし歌手としての実力は、年齢とは無関係に誰もが認めるところなのではないでしょうか。


動画として『熱き心に』と『昔の名前で出ています』、どっちをリンクしようか迷ったのですが、
大瀧詠一が作曲しているということで、やはりこちらを




<経歴>

子役として小さなころから現場に親しみ、少年期には俳優になることを決めていたようです。

56年―第3期日活ニューフェイスに合格。同期には、二谷英明が居ました。
同年、川島雄三の『飢える魂』で映画俳優デビューを飾る。

長州藩士・久坂玄瑞を演じた『幕末太陽傳』(57)、『霧の中の男』(58)、『南国土佐を後にして』(59)を経て、59年より『渡り鳥』シリーズをスタートさせる。

『ギターを持った渡り鳥』(59)
『口笛が流れる港町』(60)
『渡り鳥いつまた帰る』(60)
『赤い夕日の渡り鳥』(60)
『大草原の渡り鳥』(60)
『波涛を越える渡り鳥』(61)
『大海原を行く渡り鳥』(61)
『渡り鳥北へ帰る』(62)
『渡り鳥故郷へ帰る』(62)

元刑事の滝伸次が、ギターを抱えて歌を披露しながら敵をやっつける―という荒唐無稽さがウケて人気を博しました。

さらにほぼ同時期に、『銀座旋風児』シリーズもスタート。

『銀座旋風児』(59)
『銀座旋風児 黒幕は誰だ』(59)
『銀座旋風児 目撃者は彼奴だ』(60)
『銀座旋風児 嵐が俺を呼んでいる』(61)
『二階堂卓也銀座無頼帖 帰ってきた旋風児』(62)
『風が呼んでる旋風児 銀座無頼帖』(63)

この両方のシリーズで共演した女優、浅丘ルリ子と同棲をした時期もあったようですが、
浅丘ルリ子よりも、美空ひばりとのアレコレのほうが、おそらく有名なのでしょう。

62年に結婚し64年に離婚、しかし実際には入籍せずに云々かんぬん・・・と、けっこう複雑。ただ本稿の主題は映画そのものにありますので、詳しくはウィキペディアで。

映画キャリアに戻ります。

シリーズ物以外に『東京の暴れん坊』(60)や『俺は地獄の部隊長』(63)に出演するも、
60年代後半より、旭さんがどうこうではなく、日活産そのものが不調に。
そのため日活は71年より路線を変更、ロマンポルノを量産していくことになります。

72年、東映に移籍。
『仁義なき戦い』シリーズの第三弾、『代理戦争』(73)より「武田明」としてレギュラー出演を果たす。
ヤクザにしか見えないトップ画像のオッサンこそ、当時の旭さんです。

『仁義なき戦い 頂上作戦』(74)、『仁義なき戦い 完結篇』(74)。
『あゝ決戦航空隊』(74)、『青春の門』(75)、『青春の門 自立篇』(77)、『多羅尾伴内』(78)、『多羅尾伴内 鬼面村の惨劇』(78)。

80年代に入ると映画界とは距離を置き、ほとんど姿を見せなくなりました。
しかし『アゲイン AGAIN』(84)から5年が経過した89年、『春来る鬼』で突如として映画監督デビューを果たす。
同年に山城新伍も『せんせい』を発表しており、企画段階あたりで触発されてのこと、、、だったのかもしれませんが、
『せんせい』は興行面で振るわずも批評面では「まずまず」、しかし『春来る鬼』は興行・批評の両面で惨敗、以来、旭さんはメガホンを持っていません。

92年、『修羅の伝説』で久し振りに俳優業復帰、
それ以降の出演作に『民暴の帝王』(93)、『修羅の群れ』(2002)、『首領(ドン)への道 劇場公開版』(2003)。

始めに戻りますが・・・
武あたりが演出したら、旭さんが楽しく演じられる面白い映画が出来上がる―と思うのですけれどね、どうなのでしょうか。


次回のにっぽん男優列伝は、小林桂樹さんから。

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にっぽん男優列伝(170)小林昭二

2012-10-22 00:15:00 | コラム
30年9月6日生まれ・96年8月27日死去、享年65歳。
東京出身。


昭和の「仮面ライダー」には「そこそこ強い」という自信はあっても、「平成ライダー」を語るほどの知識は持ち合わせていません。
ただ『仮面ライダーアギト』(2001)に好きだったグラビアの秋山莉奈が出演している関係で、
まったく知らないというわけではないのですが。

そんな自分でも、「仮面ライダーなでしこ」のフォルムの格好良さには驚いたというか痺れました。

というわけで。
ウルトラマンと仮面ライダー、どっち好き? と困る質問を投げかけられたら、迷いつつも後者と答えます。
ですから、その両方に顔を出していた小林昭二(こばやし・あきじ)さんも、自分にとっては「ライダーのおやっさん」という印象が強いです。

少し前の『マツコ有吉の怒り新党』(テレビ朝日)の新三大○○で『仮面ライダーのムチャな特訓』が取り上げられ、焦点が当てられたのは主人公というより、その主人公を最強にしようとするキャラクター、立花藤兵衛でした。
この藤兵衛を演じていたのが、昭二さんです。

その特訓というのが鉄球をぶつけるだとか単なるリンチにしか見えないものだとか、また、敵キャラクターをも特訓してしまうだとか、そういうのを笑う内容でしたが、ほんとう面白かったです。


※なんかほのぼのする名曲





また、一時期はジョン・ウェインの「専属」吹き替え声優みたいなポジションにあり、数々の名作吹き替え版で活躍、ただ個人的には、『ランボー』シリーズ(82~88)におけるトラウトマン大佐の吹き替えのほうが馴染みがありますね。

<経歴>
日本大学藝術学部映画学科を中退し、劇団俳優座養成所に入所。

映画俳優デビュー作は、52年の『殺人容疑者』。
特撮モノのイメージが強くなるのは60年代後半からで、それまでは主役を演じることはないものの、
小林正樹の大傑作『切腹』(62)、日活映画で最も人気のある作品かもしれない『キューポラのある街』(62)、オオシマの野心作『悦楽』(65)など、黄金期の名作に出演しキャリアを築いていく。

66年―『ウルトラマン』(TBS)に、ムラマツ隊長(=キャップ)としてレギュラー出演を果たす。
この好演が受け手というより創り手のあいだで評判を呼び、特撮世界の「横のつながり」により、『仮面ライダー』(71、TBS)のオファーを受けることになるのです。
以降、『ストロンガー』(75)までライダーの協力者であり続け、このシリーズを引退しても「藤兵衛」の印象は鮮烈だった・・・からでしょう、後年、とんねるずによるバラエティ企画『仮面ノリダー』で再び「おやっさん」を演じたのでした。

『仮面ライダー』映画版の、主な出演作は・・・

『ゴーゴー仮面ライダー』(71)
『仮面ライダー対ショッカー』(72)
『仮面ライダー対じごく大使』(72)
『仮面ライダーV3』(73)
『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(73)
『仮面ライダーアマゾン』(75)
『仮面ライダーストロンガー』(75)

・・・などなど。

それ以外の出演作を挙げていきましょう。

ATGによる『無常』(70)や『曼陀羅』(71)、大作『華麗なる一族』(74)、
それから市川崑に気に入られ、『犬神家の一族』(76)、『悪魔の手毬唄』(77)、『獄門島』(77)、『女王蜂』(78)、『病院坂の首縊りの家』(79)と「横溝正史」作品に連続出演。

『日蓮』(79)、『真田幸村の策略』(79)、『古都』(80)、『疑惑』(82)、『刑事物語』(82)、『細雪』(83)。
特撮と横溝系の印象が強いので、文芸への出演がこんなに多かったのか・・・と、新鮮な驚きを覚えます。

『黒い雨』(89)や『社葬』(89)、『天河伝説殺人事件』(91)、
しかし特撮への愛は失わず、オファーさえあれば『ゴジラVSキングギドラ』(91)、『ゴジラVSモスラ』(92)、『ウルトラマンゼアス』(96)、『ガメラ2 レギオン襲来』(96)などにも出演、
いっぽうで北野武がビートたけしとして撮った、褒めようにもどうしていいのか分からない珍作『みんな~やってるか!』(95)ではセルフパロディのような役柄(地球防衛軍隊長)を演じたり、なかなかに柔軟なキャリア作りです。

96年8月27日、肺癌のため死去。
享年65歳、遺作は「やっぱり」横溝系の『八つ墓村』(96)。


日本で『ロッキー』(76)のリメイクを撮るとしたら、トレーナーのミッキー役でしょうね、絶対。

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