Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ラジーの救い手賞

2016-01-16 00:10:00 | コラム
米オスカー賞の前日に発表されることで知られる、ワースト映画の祭典「ラジー賞」のノミネーションにおいて、

「ラジー名誉挽回賞」(ラジーの救い手賞)

という部門が新設されて、その候補が明らかになった。

つまり、いろいろコケにされたけど、のちのキャリアで評価を受けました、おめでとう!! という賞。


エリザベス・バンクス(『ムービー43』でラジー作品賞と監督賞を受賞したのち、たくさんのヒット作に出演する)
M・ナイト・シャマラン監督(連続ラジー賞ノミネートののち、佳作『ヴィジット』を発表)
ウィル・スミス(駄作『アフター・アース』から、快作『コンカッション』に出演)
シルヴェスター・スタローン(ラジー王者だったはずなのに、『クリード チャンプを継ぐ男』で助演男優賞を取りまくり)


さすが米国、シャレが効いていて面白い。

日本では、ちょっと難しいかなぁ、、、と思う。
誰か思いつきそうで、なかなか挙げられないし。


そんなわけで。
映画史全体から、自分が選出する「ラジーの救い手賞」を挙げてみようかなと。


作品によって魅力がばらつくキアヌ・リーヴスもいい、
兄リヴァーの存在が大き過ぎて不遇な少年期を過ごしたであろうホアキン・フェニックスもいいが、

『ゴッドファーザーPART3』(90)の失敗? の原因を、すべて彼女の所為にされたソフィア・コッポラで決まりじゃないだろうか。

そもそもこの映画が不評であったのは、前2作の出来が「神がかっていた」ことによる。
物語のバランスを欠いているのはたしかだが、そこまでつまらなくはない。
ないが、なにか消化不良だぞと。

可哀想だったのは・・・
どうしてこうなった? と議論すら起こらず、もちろんソフィアが悪いに決まっている! などといわれたこと。

当初、ソフィアの役はウィノナ・ライダーが演じるはずだった。
現在のウィノナを考えると、それはそれで感慨深いものがあるが、当時のウィノナは人気実力とも申し分なく。
しかし彼女が体調不良で降板したため、手っ取り早く・・・というと語弊があるか、その代役としてフランシスの愛娘ソフィアが選ばれたのだった。

演技素人に、荷が重かったのはたしかだろう。
贔屓目に見ても演技が巧いとはいえず、アル・パチーノやアンディ・ガルシア、すでに貫禄のあったブリジッド・フォンダに囲まれて、おどおどしているようにさえ見えた。

そうして、批判の嵐が起こった。
じつはその批判は、安易に家族を起用したフランシスに当てられたものだったのだが・・・。


そうして、ソフィア・コッポラは消えた。

誰もがその存在を忘れた99年―。
ソフィアは、映画監督になっていた。

『ヴァージン・スーサイズ』(99)や『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)、『ブリングリング』(2013)を観ると、
デヴィッド・リンチの愛娘ジェニファーとの差は一目瞭然、制作そのものにフランシスの援助はあったかもしれないが、
作家性を宿した、21世紀の米映画を代表するかもしれない映画監督だと評価出来る、、、のではないか。


そんなわけで個人的な「ラジーの救い手賞」は、ソフィアで決まり!

おめでとう!!

でも、このときの演技も嫌いではないのよ。




…………………………………………

明日のコラムは・・・

『イイワケ禁止のオスカー予想』
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1 コメント

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くじけなかった (夢見)
2016-01-16 10:37:19
映画の世界から離れなかった根性は相当のモノがあるのだろうと思います

若い身で地獄も感じたでしょうし
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