Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

Director of photography

2015-05-24 05:32:16 | コラム
ときどき「あのワンショットだけ観たい」と思って、映画のブルーレイを再生させることがある。

意表をつくカメラアングルであったり。
流麗なカメラワークであったり。
まるで絵画のような、光と影の世界であったり。

その映像を撮ったのは、撮影監督。
米映画のクレジットでは、「Director of photography」と表示されるひとだ。

しかし映画監督とはちがって陽の目を見ることはなく、監督の名前を100人・200人と挙げられる映画好きでも、
撮影監督は20人挙げられるかどうか、、、だと思う。
30人挙げられれば仲間から拍手されるであろうし、映画史や映画技術を勉強してきた自分だって40人挙げた時点でゼェゼェハァハァしてしまう。

米オスカー賞が素晴らしいと思うのは、そういう技術部門にもきちんと光を当てるところ。
逆に日本アカデミー賞がいつまで経っても駄目なのは、そういう技術部門の受賞シーンをカットしてしまうところ。

敬意を表そうぜ。


というわけできょうは、演出した監督もすごいが、それに応えた撮影監督たちは「もっとすごい!!」であろう驚異の映像に出会える映画を10本選んでみた。


(1)『バリーリンドン』(75…トップ画像)

撮影監督、ジョン・オルコット。

当時の雰囲気を再現するため、ロウソクの光だけで撮影に臨んだ。

(2)『キャリー』(76)

撮影監督、マリオ・トッシ。

キャリーが豚の血を浴びるまでの、ねちっこい、あまりにもねちっこいカメラワーク。

(3)『第三の男』(49)

撮影監督、ロバート・クラスカー。



なんもいえねぇ!!

(4)『天国と地獄』(63)

撮影監督、斎藤孝雄。

身代金受け渡しシーンにおける、ダイナミズム。

(5)『グッドフェローズ』(90)

撮影監督、ミヒャエル・バルハウス。

撮影技術のすべてがつまっている。

(6)『シンドラーのリスト』(93)

撮影監督、ヤヌス・カミンスキー。



カミンスキーに出会ってからのスピルバーグ映画は、演出以上に映像美が際立つようになった。

(7)『ゴッドファーザー』(72)

撮影監督、ゴードン・ウィリス。

随所にレンブラント・ライトが使用され、効果抜群。

(8)『夜がまた来る』(94)

撮影監督、笠松則通。

石井隆の映画では、電飾でさえ「絵」になる。

どこにでもあるはずの雨と夜を鮮烈に捉えるのは、ベテランカメラマンの笠松さん。

(9)『セブン』(95)

撮影監督、ダリウス・コンジ。



死体をアートに捉えるな―という批判もあったが、いえいえ、たいしたものです。

(10)『ブレードランナー』(82)

撮影監督、ジョーダン・クローネンウェス。

(俳優や作曲家を含めて)エキスパートたちがそれぞれ最大限の能力を発揮し合っているという意味で、これぞ総合芸術なのだ!! と実感出来る作品。


※キューブリックの映画は・・・
1度目は物語、2度目は音楽、
そして3度目あたりで、映像の効果というものに気づいてもらえれば、それでいい。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(279)濱田岳』

コメント (1)
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