最後に、トークセッションの内容を抜粋してリポートします。
(中野さん)達人ファンドの4分の1をアルノーさんが運用している。そして、一度も解約をしたことはない。
(アルノーさん)優良な企業に長期的に投資することを考えたほうがよい。株式市場は素晴らしい会社だと認めるのに時間がかかる。皆さんがセゾン資産形成の達人ファンドにお金を出すと、(コムジェストの投信を通じて)投資先の企業に投資をし、そのリターン・配当がファンドのゾン資産形成の達人ファンドパフォーマンスに跳ね返ってくると思ってください。
一例として、1919年に上場したコカ・コーラは利益成長は10.5%だが、株価は4000倍になっている。この利益と株価の差は複利効果。配当を再投資していくので、長期的に資産が拡大していく。いい企業はあるが、知られていない会社も多い。我々はいい企業に投資していきたいし、そのパフォーマンスをセゾン資産形成の達人ファンドを通して還元していきたい。
(中野)リサーチはどうしているのか?
(アルノー) アナリストは現場に行くこと、現場を理解することが大事。四半期ごとに投資先の企業とMTGを行うだけでなく、その会社の顧客や競争相手などもリサーチしている。グローバル企業が多いので、アジアや南米の工場まで出かけていくこともある。
(中野)会社の価値・理念はどう引き続くのか?
(アルノー)長期投資ということは20年、30年と投資をしていくわけで、理念は継続しないといけない。コムジェストの第一世代(創業者2名)はすでに引退しており、我々第二世代が引き継いでいる。そして、第三世代についても、若いうちから運用理念を叩きこんでいる。また、そうできるできるように、運用チームも、シニア、中堅、若い層と幅広い年齢層でチームを組むようにしている。
<Q&A>
-売りのタイミングは?
(アルノーさん)知識と辛抱強さが必要。ビジネスについて理解する、その先に確信度。株価が割高か割安か。割高であれば、1年でも2年でも待てる。株価が30%下げても、ビジネス的に揺るぎがないと思ったら、投資し続ける。
―成長予想が外れたときの基準は?
(アルノーさん)四半期ごとにデータを確認し、5年先までの利益予想を立てる。そして、四半期ごとに成長力が落ちてきたら、ウエイトを0.5%引き下げる。利益予想以上に買われていたら、(一部)売却。全く利益成長が期待できない場合には売却を考える。
-社員の勤続年数が長いと以前きいたが、欧州の運用会社ではそれが普通なのか?
(アルノーさん)欧州でも金融機関は人の入れ替わりは激しい。離職や転職が少ないのは稀だと思う。従業員のほぼ全員が会社の株主になっているし、独立系運用会社とうこともあり、自分の会社という意識が強いこと、頑張ることで報われるという想いがあるのではないか。
以上です。
*2010年の12月に、コムジェストのフランス本社を訪れたことがあります(プラス機関投資家さん向けのセミナーも参加させていただきました)。そのときに、アルノー・コッセラさんにもお話をうかがいましたが、投資先企業の選定ポイントや投資先企業の例などがほとんど同じ(笑)。ブレていないなあと感じました。