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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

日本でも運用会社の評価情報がほしい!

2012-06-13 17:28:59 | 投信
投資信託の評価というと、過去のパフォーマンスによってレーティングを付与するというのが一般的ですが、米国では米国ではミーチュアルファンドの不正を受けて、2004年から投信評価会社モーニングスター社が「Stewardship grades」という運用会社の評価を行っています。

パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか
Stewardship grades

米国モーニングスター社は資産運用会社の評価項目は次の5つです。
●Regulatory Issues (ファンドマネジャーのインセンティブ)
●Board Quality(経営陣の質)
●Manager Incentives(規制)
●Fees (手数料)
●Corporate Culture(運用会社の企業文化)

詳しくはニッセイ基礎研究所・遅澤研究員のレポート「パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか」をお読みいただきたいのですが、気になった点を挙げてみました。
・最近はモーニングスターの「Stewardship grades」に関する実証が行われている。
・その結果、「Stewardship grades」そのものはパフォーマンスと相関を持つことが確認された。
・5項目のうち、リターンと有意に関連付けられるのは、Board Quality(経営陣の質) とFees だけであった。
・Corporate Culture(企業文化)についてはパフォーマンスとの明確な相関を示していない

・従来は従業員を大切にする企業文化や待遇が評価されるので、定着率の高さや勤続年数の長さが評価基準として重視されてきた。しかし実証分析結果はそれほど単純ではなく、報酬体系やキャリア・パスも含めて、インセンティブを付与していくことが求められている。
・モーニングスター社はファンドが不振の場合にアドバイザーを解雇することもプラス評価している。「変えない」ことが常に評価されるわけではなく、抜本的な対策が必要な場合や、構造変化への対応が求められる場合には、「一貫性」よりも「動くべきときに動く」ことが重要だと解釈できる。それが顧客のパフォーマンスにつながる。


*「Stewardship grades」を含めて、まだ十分な実証が得られているわけではありませんが、ちょっと気になる結果ではあります。日本でもこうした運用会社の定性評価が行われ、個人向けにも開示されるとよいですよね! 5月に行われたセゾン投信の「555セミナー」のトークセッションでモーニングスターの朝倉社長が「日本でも(将来的には)運用会社の評価もやりたい」と発言していらしたので、期待しています。