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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

報告書について思ったこと(その2)

2008-04-07 23:10:54 | リンク
報告書に関するつづきです。
報告書では、手数料や信託報酬に関する情報開示に課題が多いとしています。「投信協会がウエブ・サイトで販売会社ごとの募集手数料に係る情報等を提供しているものの、大半の販売会社が非会員であって情報の入手が困難な状況にある」とありますが、これを読んで、なぜ投信協会のHPで手数料があれほど抜け落ちているのかを理解することができました。
なかには商品ごとに販売会社別の手数料をすべて掲載している運用会社のHPもありますが、そうでない場合には投信のコストを比較検討するは難しい状態です。17Pにあげた、米国のように利用者がSECのウエブ・サイトを通じてデータをダウンロードして商品間で比較できるような仕組みがあるとよいですね。18Pで「今後、関係当局などと協議を行い、投資信託に関するコストを網羅したデータ・ベースを構築していくことが求められる」としています。こうした流れが進むことを期待したいです。

一方で、全体を通して「ETFの多様化」、「(投信の)新たな商品の開発」といった言葉が並びますが、ただ数が増えればよいというものではないと思います。例えば、投信に関しては種類も本数も十分にあると思うのですが(報告書の10Pでも「我が国は諸外国に比して残高規模の割に商品の数が多い」とある)。
新商品を開発することも重要かもしれませんが、「(合併を繰り返したため)同じ会社で同タイプの複数のインデックスファンドを販売している」「残高が少なくなって繰り上げ償還されるファンドが毎年数多く存在する」といったことを考えると、「運用会社は2007年9月施行の改正投資信託法により可能となった信託財産の併合の枠組みを利用し、残高が縮小した商品等の整理を進めるべき」(10P)のほうを優先的に考えてほしいですね・・・。ETFも同様で、単に数を増やすのではなく、オーソドックスな資産形成の中核となる商品を整えることが先決なのでは。

ただ、報告書をまとめて報告書および各種データを公開してくれたことには意義はあると思います。資産形成を考えるうえでも、幅広い立場から意見を出し合う場をつくっていければ、今よりは改善していくのではないでしょうか。