米国モーニングスターの「第4回グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス(GFIE)レポート」が発表されました。
これは世 界 25 カ国の投資信託市場について、投資家の観点から評価を行うもので、2年に1度発表されています。
評価するポイントは以下の4つ。
・規制および税制(Regulation and Taxation)
・目論見書や運用報告書での情報開示(Disclosure)
・手数料や各種費用(Fees and Expenses)
・販売行為とメディア報道(Sales and Media)
日本の総合評価は C-
それぞれを評価した上で各国の総合評価を行っています。
総合評価では、日本は「C-」。日本の下には中国しかいない…というなかなか残念な結果となってしまいました。
●2015 年の各国の総合評価は以下のとおり(同一 評価はアルファベット順)
A :韓国、米国、オランダ、台湾
B+ :英国、
B :スウェーデン、オーストラリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スイス
C+:カナダ、ドイツ、インド、ニュージーランド、タイ
C :ベルギー、フランス、香港、シンガポール、南アフリカ、スペイン、イタリア
C- :日本
D+:中国
日本の評価についてみていきましょう。
・日本の評価:総合評価は C-
(規制および税制:B、情報開示:C、手数料や各種費用:D+、販売行為とメディア報道:B-)
・規制及び税制については、投信法の改正、運用報告書の二段階化による「交付運用報告書」の作成、NISA(少額投資非課税制度)の開始などが評価されています。
・目論見書や運用報告書での情報開示はCとあまり評価は高くありません。
・運用報告書のルールが2014年12月に改正されましたが、いまだに総経費率の開示がないこと、またファンドマネージャー名やファンド運用期間が非開示なことは改善が必要です。
(注:総経費率については以前から指摘していますが、ぜひ実現してほしいです。運用担当者の開示も同様で、独立系の一部投信など一部を除くと非開示のままです。ただ、運用会社のホームページなどに運用担当者の部署名や運用経験年数が開示されるようになった点は一歩前進。さらにこの流れをすすめていただきたいです)。
・保有銘柄開示の回数が少ない、タイミングが遅い。例えば、年1回決算の投信については年1回しか(運用報告書で)全保有銘柄を開示されない(グローバルには四半期に一度開示する潮流が進んでいる)。また、FOF(ファンド・オブ・ファンズについては保有銘柄の把握が困難なものも多い…。
・手数料や各種費用についてのD+と最低評価(前回はC)
・特に債券型投信のコストが他の国に比べて高いことが低評価の原因(米国では債券型のメインは米国内の債券だが、日本では海外債券が主流という事情があるでしょう。あと、通貨選択型などの高コスト投信の影響もありそう)。
・ノーロード・ファンドなどが極めて少ないことも、評価を低める要因となっています。
(注:日本の場合、例えば購入時手数料が最大表記であることも影響があるのかもしれません。また、「総経費率」の開示が無いため、債券利回りに応じて安くなるなどの実態が反映されていないのでは、という声も。情報開示の悪さがコスト評価でも、足を引っ張っているような気もします)
次回調査では指摘されたことが前進していることを期待したいです。
スチュワードシップ・コードで投資先との対話が注目されていますが、投信の保有者である「受益者」との対話(=情報開示)についても、しっかり取り組んでいただけると嬉しいです!
詳細に↓↓↓
・ニュースリリース(日本語版)
・ニュースリリース(英語版)
【レポートの全文(英語)】はこちら