旅と酒と本と、あとは少々の温泉。
これがあれば、ひねもすのたりな日々は悠々と過ごすことができるのです。
実は、私は結構な読書家なのだ。それも、相当昔から。
高校時代は生意気にもロシア文学に傾倒していて、
トルストイやドストエフスキー、チェーホフなどにも食指を伸ばしたませガキでありました。
大学に入ってからは、夏目漱石から森鴎外、現代(当時の)作品では、柴田翔や石川達三などの文学作品に傾倒し、
といっても全く作風が異なるので、要するに手当たり次第だったということだ。
で、いつの頃からミステリーにはまり、洋の東西を問わずに読みふけるようになった。
コナン=ドイル、アガサ=クリスティー、エラリー=クイーン、チェスタートンは言うに及ばず、
江戸川乱歩、横溝正史、鮎川哲也等々、ほぼ読破していると言っていい。
自慢話はこのくらいで、本題に。
最近読んだ本で印象に残っているのが、相場英雄さんの「ガラパゴス」。
もともと、社会派ミステリーの色が濃い作家であるが、
この作品で取り上げられているのは、日本の労働市場の悲惨さ。
それを告発するミステリーと言ってもいい。
「共震」と「リバース」で東北大震災と福島原発事故のその後を描いた作者が、
「ガラパゴス」では、派遣労働者や契約社員などの、日本の労働者の実態を抉り出している。
小説相応の脚色はあるにしても、決して誇大に表現しているわけではないだろう。
この小説を読めば、「仕事を選ぶから職に就けないんだ」という意見がいかに残酷なものか、身にしみて分かるだろう。
どこかの国の首相が、
「一億総活躍社会の実現」とか口当たりのいいだけのペラペラの薄っぺらい言葉を吐いているが、
それがどんな社会で、そこに至る道筋はどうするのか、具体的には何も語ることなく、
ひたすら軽いだけのスローガンとも言えない看板倒れの状況を何と言っていいのか。
はたまた、「この国は企業がもっとも活躍しやすい国です」などとも言っているが、
実態は、この作者が言うように、そんな国は労働者にもっとも過酷な国であるというのは間違いのない事実である。
現在のこの国の為政者をはじめ、自分が何のために政治家になったのか、
いや、そもそも政治とは何なのかも理解していないような連中の顔がどこを向いているのか、
今の数々の失言や失態を見てみれば歴然としている。
それでもそういう政治家を選ぶのは国民で、国民は自分の愚かさを嘆くしかない。
国は国のために存在するのではない。国民のためにのみ国は存在する。
国栄えて国民滅びては、そこはもうすでに国とは言えないではないか。
つい興奮して、話が小説から飛んでしまった。
相場英雄さんの小説には、いつも弱い者へのいたわりの視線が感じられて、
そこがとても共感できるのです。
最近読んだミステリーには、介護施設の虐待をテーマにした中山七里さんの「恩讐の鎮魂曲」。
これもまた考えさせられました。
そろそろ私にも縁がない話ではなくなって来ましたからね。
たかがミステリーと言わずに、是非一読ください。
これがあれば、ひねもすのたりな日々は悠々と過ごすことができるのです。
実は、私は結構な読書家なのだ。それも、相当昔から。
高校時代は生意気にもロシア文学に傾倒していて、
トルストイやドストエフスキー、チェーホフなどにも食指を伸ばしたませガキでありました。
大学に入ってからは、夏目漱石から森鴎外、現代(当時の)作品では、柴田翔や石川達三などの文学作品に傾倒し、
といっても全く作風が異なるので、要するに手当たり次第だったということだ。
で、いつの頃からミステリーにはまり、洋の東西を問わずに読みふけるようになった。
コナン=ドイル、アガサ=クリスティー、エラリー=クイーン、チェスタートンは言うに及ばず、
江戸川乱歩、横溝正史、鮎川哲也等々、ほぼ読破していると言っていい。
自慢話はこのくらいで、本題に。
最近読んだ本で印象に残っているのが、相場英雄さんの「ガラパゴス」。
もともと、社会派ミステリーの色が濃い作家であるが、
この作品で取り上げられているのは、日本の労働市場の悲惨さ。
それを告発するミステリーと言ってもいい。
「共震」と「リバース」で東北大震災と福島原発事故のその後を描いた作者が、
「ガラパゴス」では、派遣労働者や契約社員などの、日本の労働者の実態を抉り出している。
小説相応の脚色はあるにしても、決して誇大に表現しているわけではないだろう。
この小説を読めば、「仕事を選ぶから職に就けないんだ」という意見がいかに残酷なものか、身にしみて分かるだろう。
どこかの国の首相が、
「一億総活躍社会の実現」とか口当たりのいいだけのペラペラの薄っぺらい言葉を吐いているが、
それがどんな社会で、そこに至る道筋はどうするのか、具体的には何も語ることなく、
ひたすら軽いだけのスローガンとも言えない看板倒れの状況を何と言っていいのか。
はたまた、「この国は企業がもっとも活躍しやすい国です」などとも言っているが、
実態は、この作者が言うように、そんな国は労働者にもっとも過酷な国であるというのは間違いのない事実である。
現在のこの国の為政者をはじめ、自分が何のために政治家になったのか、
いや、そもそも政治とは何なのかも理解していないような連中の顔がどこを向いているのか、
今の数々の失言や失態を見てみれば歴然としている。
それでもそういう政治家を選ぶのは国民で、国民は自分の愚かさを嘆くしかない。
国は国のために存在するのではない。国民のためにのみ国は存在する。
国栄えて国民滅びては、そこはもうすでに国とは言えないではないか。
つい興奮して、話が小説から飛んでしまった。
相場英雄さんの小説には、いつも弱い者へのいたわりの視線が感じられて、
そこがとても共感できるのです。
最近読んだミステリーには、介護施設の虐待をテーマにした中山七里さんの「恩讐の鎮魂曲」。
これもまた考えさせられました。
そろそろ私にも縁がない話ではなくなって来ましたからね。
たかがミステリーと言わずに、是非一読ください。
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