まずは、恩田陸さん。
直木賞と本屋大賞の2冠達成、おめでとうございます。
と、私が言ってもなんてことないか。
さて、最近読んだ本。例によってミステリージャンルです。
サスペンス的な要素が多い作品ですが、今年今までの中では一押しの作品。
太田愛さんの「天上の葦」。
「白昼渋谷のスクランブル交差点で、老人が何もない空を指さして絶命した。」
というシチュエーションから始まる物語は、それだけでもワクワクするプロローグです。
散りばめられた伏線と、公権力による重なる妨害。
知恵と、人との絆、そして強い思いでその妨害を乗り越えていく筋立ては、
あたかもドラマのように映像が脳裏に浮かんでくるのです。
そういう点では、アメリカの作家、ジェフリー・ディーバーのリンカーン=ライムシリーズを思い起こさせます。
この作品も、実はシリーズもので、主人公は共通しています。
最初の作品が、「犯罪者 クリミナル」(上下巻)、「幻夏」、そしてこの「天上の葦」(上下巻)と続く一連の作品で同じ主人公が活躍します。
主人公は3人組で、最初の作品で初めて出会います。
そういう意味では「犯罪者 クリミナル」から読み始めることを勧めます。
小説そのものの面白さも去りながら、私は作家のスタンスが大好きです。
権力を持つ者への懐疑とそこから生まれる世界への危惧。
単なる反権力的なスタンスではなく、
権力の使い方はこうなんですよ、その結果このような世界が出現するのですよということを、
読んだ人の胸にストンと納得させるところがいいです。
まさに、今の政府が同じようなことをやっているのではないかという疑惑を持ってしまいます。
この小説でも大きなキーワードになる、今流行の「忖度」という言葉が出て来ます。
今年の流行語になるかも知れない「忖度」に、この小説を読むと非常に不快な思いを抱かれるでしょう。
どうしようもない程質が落ちた昨今の政治家の、相続く失言に、謝罪したからいいじゃないかという傲岸不足の態度。
「忖度」してもらう側の人間の不遜さが滲み出ているではないですか。
ミステリーというジャンルで、この作家はそういう状況を優しく解きほぐしてくれます。
そういう意味でも是非読んで欲しい作品です。
もちろんミステリーとしても特上の味わいを保証します。
太田愛さんは、小説を書き始めるまでは、シナリオ作家として活躍した人で、
人気シリーズ「相棒」のシナリオを書いた人です。(現在も書いているのかな?)
それで映像が目に浮かぶような文章なのかなと思います。
さて今年のミステリー界にこれ以上の作品が出るでしょうか。
自称ミステリー小説評論家の私が勧める、今年ナンバーワンの作品です。
そうそう、「天上の葦」とはどういう意味なのか、これも読まなければ解を得ることは難しいでしょう。
このような勝手な評論ができるのも、阿蘇市図書館あってのことです。
いつもいつも感謝しております。
直木賞と本屋大賞の2冠達成、おめでとうございます。
と、私が言ってもなんてことないか。
さて、最近読んだ本。例によってミステリージャンルです。
サスペンス的な要素が多い作品ですが、今年今までの中では一押しの作品。
太田愛さんの「天上の葦」。
「白昼渋谷のスクランブル交差点で、老人が何もない空を指さして絶命した。」
というシチュエーションから始まる物語は、それだけでもワクワクするプロローグです。
散りばめられた伏線と、公権力による重なる妨害。
知恵と、人との絆、そして強い思いでその妨害を乗り越えていく筋立ては、
あたかもドラマのように映像が脳裏に浮かんでくるのです。
そういう点では、アメリカの作家、ジェフリー・ディーバーのリンカーン=ライムシリーズを思い起こさせます。
この作品も、実はシリーズもので、主人公は共通しています。
最初の作品が、「犯罪者 クリミナル」(上下巻)、「幻夏」、そしてこの「天上の葦」(上下巻)と続く一連の作品で同じ主人公が活躍します。
主人公は3人組で、最初の作品で初めて出会います。
そういう意味では「犯罪者 クリミナル」から読み始めることを勧めます。
小説そのものの面白さも去りながら、私は作家のスタンスが大好きです。
権力を持つ者への懐疑とそこから生まれる世界への危惧。
単なる反権力的なスタンスではなく、
権力の使い方はこうなんですよ、その結果このような世界が出現するのですよということを、
読んだ人の胸にストンと納得させるところがいいです。
まさに、今の政府が同じようなことをやっているのではないかという疑惑を持ってしまいます。
この小説でも大きなキーワードになる、今流行の「忖度」という言葉が出て来ます。
今年の流行語になるかも知れない「忖度」に、この小説を読むと非常に不快な思いを抱かれるでしょう。
どうしようもない程質が落ちた昨今の政治家の、相続く失言に、謝罪したからいいじゃないかという傲岸不足の態度。
「忖度」してもらう側の人間の不遜さが滲み出ているではないですか。
ミステリーというジャンルで、この作家はそういう状況を優しく解きほぐしてくれます。
そういう意味でも是非読んで欲しい作品です。
もちろんミステリーとしても特上の味わいを保証します。
太田愛さんは、小説を書き始めるまでは、シナリオ作家として活躍した人で、
人気シリーズ「相棒」のシナリオを書いた人です。(現在も書いているのかな?)
それで映像が目に浮かぶような文章なのかなと思います。
さて今年のミステリー界にこれ以上の作品が出るでしょうか。
自称ミステリー小説評論家の私が勧める、今年ナンバーワンの作品です。
そうそう、「天上の葦」とはどういう意味なのか、これも読まなければ解を得ることは難しいでしょう。
このような勝手な評論ができるのも、阿蘇市図書館あってのことです。
いつもいつも感謝しております。