ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

絶品のオムライス

2018年06月19日 | 我が絶品シリーズ
私が子どもの頃、オムライスは大の好物だった。
父親は菓子屋を営んでいて、その仕入れ関係で熊本市に行くことが何度かあった。
小学生になると、時には私を一緒に連れて行ってくれて、
そのときの昼ご飯は、いつもデパートの上階にある食堂だった。

その食堂で私が食べるのはいつもオムライスだった。
最初にオムライスを食べたのはいつだったか記憶は定かでないが、
当時の阿蘇ではこんな洒落た食べ物はなく、始めて食べたときの衝撃は計り知れなかったのであろう。
それから幾度となく行ったデパートの食堂ではいつもオムライスだった。

三つ子の魂百までで、大人になってからもオムライス好きは変わらず、
学生時代は、天文館の狭い路地にある「キング」という店でよくオムライスを食べた。
この店の売りはケチャップライスの量の多さで、学生に人気があった。
ただし、上に乗った卵焼きは、極めて薄く、持ち上げると向こうが透けて見えるくらいだった。

あれから幾星霜。
縁があって産山村で仕事をすることがあり、そこで出会ったオムライス。
店の名前は「山水亭」。オムライスにはちと遠い和食屋風の店名。
ここのオムライスは、人生二度目の衝撃。


産山村田尻にある山水亭。池山水源の手前にある

ケチャップライスの上に乗った卵焼きは分厚く、スプーンで割るととろりと半熟の卵焼きが広がる。
皿の底にたっぷりと横たわるスープはデミグラでもなく、単純なケチャップでもない。
若干辛みがあって、しかし胡椒の辛さではなく些か複雑な味がする。
山水亭独特のスープで、これこそが山水亭のオムライスたる所以なのだ。


卵は一つのオムライスに4コ使用しているそうだ

実は、この店のご主人とは古くからの知人で、一度あるイベントでタイに行ったとき御一緒した。
そのときに、ご主人が地元の小さな店に入って、ナンプラーなどのタイの調味料をいくつか買っていた。
なかなかの研究熱心な人だと思ったものだ。
その後一度会う機会があって、ナンプラーの件を話題に出したら、
「試してみたけど、あれは使えなかった」ということだった。
現在は息子が後を継いでいて、でも親父さんも一緒に厨房に入って、忙しく働いている。

あのスープが絡んだオムライスの旨さは食べてみないと分からない。
バイカーも多く寄る店で、10数台のオートバイが並んでいることもあるが、
店を覗くと席が空いてることもある。
さあ、入ってみよう。
メニューにはいろんな種類があるが、ほかのものには目もくれず、
「オムライス下さい!」と。
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やはり美味い

2018年06月14日 | 酒と料理と
やはり日本酒は美味い。
最近、何を飲んでもあまり美味さが分からなくなってきて、
種類を飲み過ぎて判断できなくなったのか、
年のせいで味を感じる感覚が衰えてきたのか、多分後者の方だろう。

で、久々に美味い酒を味わった。
山形県は秀鳳酒造の「珠韻」
なんと、裏のラベルには、アルコール度数と純米である原材料だけが書いてある。
精米度数や日本酒度などのスペックの表示がない。


裏のラベル

味はどうか。
立ち香含み香ともフルーティーで、コクはあるが当たりは柔らかい。
全体的に非常にバランスの取れた酒質で、いくらでも飲めそうな雰囲気。
獺祭の等外23にも勝る味わい。これより少し甘みは抑えられている感じ。


表のラベル

この「珠韻」はどうやら販売店は限定されているようなので、
どこから手に入れたかは秘密にしておこうっと。

さて、酒肴は何にするか。
第一候補は、ジャガイモの丸揚げチーズ。
奥方の実家で収穫した新じゃがのうち、直径2cm以下のものはほとんど捨てられるのだが、
これを頂いて帰り、よく洗って皮を付けたまま少し堅めに茹でた後、水を切る。
茹でるとき、若干濃いめの塩水で茹でると、味付けの必要は無い。

熱した油で皮ごとまるまる素揚げしたのち、油を切る。
暑いまま皿に載せて粉チーズをたっぷり振りかける。
新じゃがのホクホク感が堪らない。

第2候補は青椒土豆(土豆は中国語でジャガイモのこと)。
材料はジャガイモとピーマンの二つ。
どちらも細切りにして、油で炒める。
ある程度火が通ったら、おろし生姜を少し入れて、味付けは鶏ガラスープのみ。
最後に香り付けにごま油を少し垂らし、シャキッとした食感が残った状態で火を止める。
細切りにしていてもジャガイモは若干生さ加減を残しているが、大丈夫。
これは中国雲南省の大理という町で泊まった宿の、隣にある地元民食堂で食べた思い出の料理です。

いやあ~、純米大吟醸かもしれない「珠韻」の酒肴に、
新じゃが料理のみとは、申し訳ない気もするが、この格差社会。
芸能人や政治家、IT起業家などが見れば、ほとんどゴミのような貧乏人です。
貰ったジャガイモと自宅菜園のピーマンで、ただ同然の酒肴がお似合いなのです。
美味い酒さえあれば。

人間この程度で幸せを感じていれば、○○秘書官とか、○○局長とか、○○大臣とか、
その友達(と自分が思っているだけの)某国の大統領のように、必死になって嘘を突き通すこともないのです。

新じゃがの素朴で深い味わい方を知らず、飾り立てた料理だけが美味い料理と思って一生を過ごすのでしょうか。
いと不憫なり。
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