ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

ホーム最終戦

2009年11月29日 | 日記(?)
昨夜は、熊本市内の「和YA」という店で飲んで、
これが今年の忘年会の皮切りだった。
9ヶ月ぶりに合うと、メンバーの身の上にも様々なことが起きている。

飲む量はともかく、一番の酒好きの一人が、一月ぶりの酒だという。
健康診断で検査の結果、ひと月は飲むなと言われ、
12月1日が解禁日で、2日ほど早いがまあいいかということだった。

そんなわけで、朝は熊本市内で迎えたので、
帰りにロアッソのホーム最終戦を見に行くことにした。
12時前にスタジアムに行ったが、いつにもまして駐車場はほぼ満杯。
やっとのことスペースを見つけて駐車した。
観客は16,000人を超え、毎回これくらい入れば盛り上がるのだが。

試合は、前半はほとんど見るところなく、
カターレ富山に押される展開が続く、ストレスの溜まる内容だった。
後半10分くらいに、オフサイド気味の小森田のゴールが決まり、
スタジアムは一気に盛り上がった。

今年限りでチームを去るFWの木島は、強引に突っかけてはボールを奪われるが、
一度決定的なチャンスを演出し、ラストパスを西に送った。
相手GKと1対1になった西のシュートはGKに阻まれ追加点はならなかったが、
ここでも一気にボルテージが上がった。

少し疲れていたので、駐車場で混むのを避け、
35分過ぎにスタジアムを出た後、交代で入った、これも今年で辞める山口がゴールしたらしい。
地元のサッカー有名校から鹿島アントラーズに入団したが、芽が出ず、
ロアッソ発足時から地元に帰って、今年を限りに引退する山口のゴールは、
サポーターにとってもこんなに喜ばしいゴールはなかっただろう。

ともあれ、ホーム最終戦を勝利で飾れてよかった。
今年でロアッソを去る選手がかなりいるが、みなよく頑張ってくれたと思う。
スポーツの世界は、頑張っても契約されなかったりと、非情な世界だが、
他のチームや、スポーツ以外の世界でまた活躍してくれることを祈りたい。

ロアッソはJ2でも貧乏チームだが、若い選手を育てるなど、
何とか工夫して、上位を狙えるようになって欲しい。
そうなればもっと観客が増え、常時今日くらいの観客が来るようになるだろう。
期待して来季を待とう。
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白菜の季節

2009年11月25日 | 酒と料理と
白菜は優しい野菜である。
煮物や味噌汁、シチューなどに入れても、料理を優しい風味にしてくれる。
漬け物にしても自己主張の少ない漬け物になる。
餃子に入れても然り、餃子自体を優しい味にしてくれる。
白菜のキムチが強い味になるのは、香辛料のせいである。

白菜と同時期に蕪が最盛期を迎える。
この2つの野菜をシチューに入れると、その白さと相まって、
まろやかで優しい味のシチューができる。

さて、白菜の漬け物といえば、冬の定番。
白菜を2つ切りか4つ切りにして、1日干して、
塩と鷹の爪を適度にかけ、根本を交互に並べて樽漬けする。
水が上がれば、1週間目くらいから食べ始める。

白菜漬けは樽の中で長くなると、少し酸味が付いてくる。
その方が美味しいという人もいて、
はじめの頃がシャキッとして旨いという人がいて、
好みの分かれるところである。

3日ほど漬けた白菜を取り出して、
唐辛子、出し汁、ニンニクおろし、つけアミ等を混ぜ、
千切りした大根をこの中に入れる。
そうやって作ったキムチの素を白菜の葉の間に詰めていく。

冷蔵庫の野菜室で保管すること3~4日。
自家製キムチの出来上がり。
旨いかどうかは腕次第。それにキムチの素次第。

簡単なキムチの作り方は、
8つ切りの白菜を、食べる大きさに切る。
ジップロックのビニル袋に入れて塩を振り、
千切りした大根をたっぷり混ぜ、
さらに、昆布を刻んで白出汁と共に加えて袋の中でしっかりもむ。

2,3日置けば白菜の即席漬けとしても食べられる。
これを取り出して、汁気がなくなるまで絞る。
ボールに入れて、市販のキムチの素を加えて混ぜれば、即席キムチの出来上がり。
好みで、冷蔵庫に残ったイカの塩辛や柚の皮を小さく刻んで、
チャチャッと入れるとひと味ランクが上がる。
辛くしたければ、韓国唐辛子を加えるといい。

冬の漬け物代表白菜キムチには、芋焼酎のお湯割りと行こう。
地元鹿児島で安くて旨いと評判の「島美人」。
長島特産のさつまいもと地下水で、
島内の5つの蔵元が仕込んだ焼酎をブレンドしたものである。
長島の島内限定販売で、麦麹と米麹を使った2つの原酒をブレンドした焼酎、
「島娘」もあるが、これはちょっと手に入りにくい。
キリッと辛いキムチの後に島美人が甘めに喉を漉す。
極楽、極楽。
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名も知らぬ駅に来ませんか ー13-

2009年11月24日 | 「名も知らぬ駅」に来ませんか
Aさんは、確か3度目の来店である。
30才を過ぎたばかりの年齢で、口ひげを蓄えているが、
どんぐり眼とも言える、くりっとした目は、
いつもキラキラと輝いているのだろうと思わせる。

今夜は、Aさんより少し若い友人のUさんと、女性2人の4人での来店だ。
Aさんはいつものように、グレンモーレンジのロック。
クラッシュした氷にグレンモーレンジの10年を注いで混ぜたもの。

グレンモーレンジは、バーボンのメーカー、
ジャックダニエル蒸留所の中古樽の空樽を熟成に使ってると言われていて、
スコットランドのゲール語で「大いなる静穏の渓谷」という意味らしい。
Aさんによれば、昔グレンモーレンジ蒸留所に寄ったときに飲んで、
それ以来のファンだそうである。

Aさんの友人のUさんはジンフィズ、
連れの女性2人は、どちらもアップル・シューター。
グリーン・アップル・リキュールにフレッシュ・レモン・ジュース、
ソーダとトニックウォーターを注いでステアしたものである。

聞くともなく聞いていると、Aさんと小柄な方のYさんとが知り合いのようだ。
場の雰囲気をリードしているのはAさんのようで、
もう一方の女性、エキゾチックな感じで、男性好みのする方のRさんは、
隣にいるAさんの友人より、Aさんが気になる様子。

その後いっぺんに6人のお客さん来て、それに対応している間に、
席替えしたのか、AさんとRさんが隣同士になって、穏やかに会話している。
この2人は大人な感じのカップルだ。
YさんとUさんも、気が合うのか、可愛い感じのカップルで、談笑している。

元々、Aさんの先輩の妹がYさんで、RさんはYさんの同僚だという。
YさんとRさんは、近くのデパートに勤務していて、
女性の多い職場なので、Aさんのようなタイプの男性は初めてのようだ。

Aさんは20代の初め、2年ほどかけて世界を回り、
東南アジアやインドで、学校建設のボランティアに係わったり、
アフリカでは、難民キャンプでボランティアに加わったりと、
そのためか、話のスケールが大きくて、ついて行けないことが間々ある。

堂々とした体躯や口ひげで、一見強面だが、
目が何より優しくて、相手の目をじっと見つめて話す、
その独特の話し方にRさんは魅了されたようだ。
Yさんの方がAさんとは近しいのだろうが、
Aさんの魅力を感じ取るには、Yさんは少し幼すぎるのかも知れない。

女性2人は、遅いからといって0時前に帰り支度を始めた。
Uさんが「じゃあ、そこまで送るよ。」とYさんに言って立ち上がったが、
Aさんは、「頼む。」と、座ったままで3人に手を挙げた。
Rさんは、「えっ」という顔でAさんを見つめ、一緒に残りたそうな表情になった。
しかし、既にカウンターを向いてグラスを傾けているAさんを見て、
自分の思いを振り切るように、Uさんの後を追って店を出た。

私にも、Aさんの行動は奇異に映った。
結構楽しく話していたようだったし、
Rさんの表情を見れば、彼女の気持ちも察することができたろうに。
一体Aさんに何があったのだろうと。

2月ほど後に、UさんとYさんが一緒に店に来た。
Uさんの話によると、Aさんは10年ほど勤めた会社を辞め、
ソマリアからの難民キャンプのボランティアに参加するために、エチオピアに旅立ったそうだ。
気候や病気、それに紛争地帯から近いこともあり、かなり危険な地域のようだ。

私は、先日AさんがRさんを送っていかなかった理由が、なんとなく分かったような気がした。
同時に、一人でいるときはストイックに飲んでいたAさんの様子をふと思い出した。

Yさんによると、その話を聞いたRさんは、
自分もAさんのところに飛んで、手伝いたいと言うのを、止めているんだそうである。
この2月の間に,AさんとRさんの間に何があったにしても、
私もYさんの意見に賛成だ。
人にはそれぞれ道がある。一時の感情で行動するような話ではない。

私は遙か彼方、赤土の土埃の舞う地にいるAさんに思いを馳せた。
グレンモーレンジを飲めないAさんは今、どんなアルコールを飲んでいるのだろうと。

Rさんはその後Aさんを追って、エチオピアに行ったかどうか知りたいですって。
次回、Yさんが来たときにお尋ねになったらいかがです?

※「名も知らぬ駅」という店はあるが、内容はフィクションです。
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つくね芋

2009年11月18日 | 酒と料理と
先日、栃木の友人から、「にっこり」という品種の梨が送ってきた。
でかい梨で、正月まで保つらしく、珍しい梨だった。
そのお礼にということで、我が家からは、
メロン、つくね芋、サツマイモ、大根、蕪、銀杏などを詰め合わせて送った。

メロンは上さんの実家で収穫したもの。
その他は、我が家で栽培したもので、無農薬の安心野菜だが、
全く金目のものはないので、申し訳ない限りだ。

送った翌々日の夜に友人から電話があり、
「つくね芋」はどうやって食べるんだという。

つくね芋は、長芋に比べると粘りが強く、
自然薯に比べると香りが少ない。
とろろ汁にしたり、おろして海苔を巻いてあげれば磯辺揚げになる。
ただ、とろろ汁は自然薯の方が香りが強くていい。

キャベツの微塵切りをたっぷりに、卵とつくねのおろしたものを混ぜ、
あれば、烏賊や豚肉を切って入れてフライパンで焼けば、お好み焼きになる。
つくねだけでもいいし、少し小麦粉を入れて、出し汁を入れてもいい。
ふっくらとした美味しいお好み焼きになる。
粘りが強く、香りが少ないのがお好み焼きにフィットするようだ。

磯辺揚げなら日本酒。
とろろ汁なら焼酎(は無理か)。
お好み焼きなら、梅酒のロックで行こうか。
梅酒は結構古いのがあるし、今年作ったのも飲み頃のはず。
九重の白水鉱泉の炭酸水で割れば、
梅酒のハイボールになるかな。

そういえば、栽培の自然薯も頂いたのがあったな。
我が家はなんとエンゲル係数が低いのだろう。
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名も知らぬ駅に来ませんか  -12-

2009年11月11日 | 「名も知らぬ駅」に来ませんか
Nさんは、常連のSさんの連れでやってきた。
Sさんはよく来るというほどではないが、最低でも月1回は来てくれる。
熊本市内に住んでいるわけではないから、
比較的よく来る方だと言っていいだろう。

もう、10年以上も通ってくれるお得意さんである。
Sさんはよく女性連れで来ることが多いが、
女性数人だったり、女性と2人だったりで、
どちらかというと2人連れで来る方が多い。

Nさんは初見のお客さん。少し目元がきついが、整った顔という印象で、
あまり背は高くないものの、きれいなスタイルをした女性である。
Sさんが連れてくる女性は、いろんなタイプがいるが、
そのいずれも、可愛かったり、美人だったりする。
よくそんなにいろんな女性に縁があるものだと感心してしまう。

Nさんは、マンハッタンをオーダーしたところをみると、
アルコールは、かなりいける口なのかと思われた。
マンハッタンは、ライウィスキーにスイートベルモットを加え、
ステアーしてカクテルグラスに注ぎ、レッドチェリーを飾ればいい。

このカクテルは、第19代アメリカ大統領選の時代、
イギリスのチャーチル首相の母親が、
ニューヨークのマンハッタン・クラブでパーティーを催したときのこと、
ウイスキーとスイートベルモットの組み合わせたカクテルを提案して、
それが好評を博し、そのクラブの名前に因んで命名されたという謂われがある。

マキちゃんは、いつものようにSさんと連れの女性の関係を、
何気ない話題で聞き出そうとするが、
これもいつものように、Sさんに上手くはぐらかされている。
それとなく耳に入る2人の会話を聞く限りでは、
今日初めて2人で飲みに来たようである。

何か食べたいな、というNさんのオーダーに、今晩の肴を出す。
薄味で煮込んだ里芋をつぶして置いておき、
少し脂身の多い牛肉を包丁で叩いて粗挽き状のミンチにし、
甘辛く濃いめの味をつけたものと、
ギンナンを擂り潰したものを混ぜ、つぶした里芋に混ぜる。
これをミートボール大にしてコーンスターチをまぶして揚げ、器に盛る。
ほんの少し豆板醤を入れ、酒とみりん、醤油で出汁を作り、
水溶き片栗でとろみをつけて里芋にかけ、その上に白髪ネギを載せる。

今夜は週末だからか、お客さんが多く、
Sさんたちばかりに構っているわけにもいかず、
カクテルのオーダーをこなしているとき、
「マキちゃん、ちょっと。」と言うSさんの声がした。
なにやら小声でやりとりしていたが、
マキちゃんがトイレに向かって、小さくドアをノックしながら、
「大丈夫ですか。」と言っている。

どうやら、Nさんがトイレに行ってずいぶん時間が経って、まだ戻っていないようだ。
そういえば、Sさんの隣の席が空いている。
トイレの中からは返事があったようで、
マキちゃんはカウンターに戻ってくると、Sさんに、
「大丈夫みたいよ。すぐ出るって。」

ほどなく、Nさんは俯きながら、席に帰ってきた。
入れ替わりにトイレに行ったSさんの横の席で、俯むいたまま、
「何を期待しているんだろう、私。」と呟くNさんの方を向くと、
涙を拭いたあとのようなNさんの顔が見えたのは、私の思い違いだったろうか。

「今日はSさんに、飲みに連れてってと、私から頼んだの。」
Nさんは、少し悲しそうな微笑を浮かべて、私に言った。
「Sさんは少し鈍い方ですから。」と、私も笑いながら答えた。
Nさんに何があったのだろうかと、私は考えても詮無いことと思いながら、つい思いやった。

Sさんは、朴念仁なところもあるが、決して鈍い人ではない。
奥さんも子供もいるからか、連れの女性には、
自分を、わざと相手の心根が理解できない、鈍い男に見せることがある。
Sさんは、若い女性と、ただ飲んで話すのが楽しいのだろうと私は思っている。
だからといって、Sさんが奥さんに対して潔白であるとは思えないこともあるのだが。

Nさんが寂しく微笑んだときの目は、
じっとグラスを見つめているときのように険しい印象はなく、
ふと、肩を抱いて守ってやりたくなるような感じになって、
Sさんは、あの表情を見せられても、
私の店を出た後、何事もなく彼女を見送ったのだろうか。

その後の展開はどうだったかですって。
あなたもマキちゃんのようなことをお聞きになりますね。
名も知らぬ駅に来てSさんに確かめてみますか。

※「名も知らぬ駅」という店は実際にありますが、内容はフィクションです。
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