ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

阿蘇高菜

2009年03月26日 | 酒と料理と
阿蘇は高冷地で、厳寒の時は、-10℃にも達することがある。
12月から2月にかけては、最低気温はたいてい零度以下である。
阿蘇高菜は、10月に種をまき、その厳寒の時を経て、
3月の下旬に収穫される。

例年は、3月25日くらいから1週間程度が収穫時期で、
畑の青々とした高菜畑で、高菜折りをしている人を見かける。
高菜の収穫は、高菜折りというように、すべて手作業で1本々々折って収穫する。
固くなっている茎の部分は簡単には折れず、ポキッと簡単に折れる部分から折って収穫する。
これを鎌で切っていたら、固い部分が混じってしまうから手折りするのだ。
そのため、収穫にはかなりの時間を要する。

今年は3月になって随分暖かく、高菜の収穫時期が1週間から10日ほど早くなった。
既に、こちらで青高菜という新高菜漬けはもう時期を過ぎつつある。
我が家では、古高菜と言われる保存用の高菜漬けも既に仕込みが終わった。
これからは、梅雨が過ぎるまで、毎日樽の上部に浮いた漬け液を除去しなければならない。
その手間を省くと異臭がついて捨てなければならなくなる。
結構手がいるものなのだ。

阿蘇高菜は、厳寒を超えることによって、むやみに大きくならない。
また、その主食部分の茎が非常に柔らかく育つ。
さらに、高菜自体がぴりっと辛みがある。
といった特色を持っていて、私は特に新漬けは、ブランド化に十分耐えうるだけの美味い漬け物と思っている。

高菜は漬け物にする以外に、
豚肉を千切りしたものと、揚げ豆腐を刻んで一緒に炒め、
醤油と砂糖で甘辛く味付けをした「菜焼き」だったり、
木綿豆腐の水切りしたものを潰し、砂糖と塩(時には味噌)を混ぜ、
軽くゆがいた青々とした高菜に和えた高菜の白和え等がある。

新漬けの間は、阿蘇地方では、醤油だけでなく、酢を少し垂らして食べる。
年寄りが言うには、腹をこわさないようにということらしいが、
私など、調味料としての酢をかけないと高菜が美味くないというくらい定着している。
なかにはマヨネーズと醤油を掛けて食べる人もいる。
「えーっ」と思われるかもしれないが、それほど捨てたものでもない。

古くなった高菜漬けは、そのまま食べても十分美味いが、
刻んで油で炒めて醤油と少しの砂糖を混ぜて食べても美味い。
「高菜めし」という料理があるが、
これには、古高菜をそのままか、油で炒めたのをご飯に混ぜるか、好みである。

いずれにしろ、酒とはあまり縁はない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする