loisirs

日々、小さな楽しみを見つけて・・・

本 黒牢城

2022-02-03 | 

「黒牢城」  米澤穂信 著

昨年暮れに

お正月用の本を

蔦屋さんに買いに行った時見つけた本です

その時何冊か纏めて買い

配送してもらったのですが

その内2冊直木賞受賞の本となりました

もう1冊は

今村翔吾さんの「塞王の楯」

黒牢城も400頁を超える大作でしたが

塞王の楯の方はもっと厚く

550頁ほどのものになります

こちらはまだ手付けず・・・

 

さてさて「黒牢城」ですが

織田信長に謀反し有岡城に立て籠もり

毛利の助っ人を待つ荒木村重と

村重が地下の土牢に閉じ込めた

織田の使いとして訪れた

黒田官兵衛との問答が主流となるかと思います

 

牢城している間に起こる

様々なミステリアスな事件

村重と官兵衛との問答

1年も土牢に閉じ込められて

外のことはわからない官兵衛の

鋭い指摘

結局毛利は有岡城へ助けには来ず

有岡城は落ちます

そして黒田官兵衛は・・・

 

もっともっとミステリアスな本かと思っていましたが

起きていることはミステリアス

でも

人の世の難しさ

悲しさに結び付いた箇所がいくつかありました

そこがミステリーの本ではなく

歴史小説であったのかと思います

そして

実際には主人公は荒木村重なのですが

終章部分

このお話は黒田官兵衛が主役であったのでは

と思ってしまう結びでした

 

 

 

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本 「アルバの23日」

2022-01-12 | 

「アルバの23日」   ぺッぺ・フェノーリオ 著

            楠瀬正浩 訳

前回の本の紹介の記事で

チラッとご紹介した本がこれです

この本は12篇の短編からなっていて

うち6篇はバルチザンの活動をテーマとしており

残り6篇は作者の郷里の様々な生活を

一コマ一コマ切り取ったものです

 

実はこの本

姉から借りたのですが

姉の小学校時代からのお友達の弟さん

彼は私のやはり幼馴染で

この本を翻訳しておられます

そして

私は子供のころ

何故か母から

「バルチザン」という

有難いか有難くないかの仇名を頂戴していたのです

恐らく

兄弟姉妹の中では

一番やんちゃ坊主で

母の言うことを聞かなかった為の名前と思われます

 

話がずれました

この本はかなり手こずりました

だいたい

私はバルチザンのいた頃のイタリア社会の背景がわかっていないのです

そして

常々思っていることなのですが

外国人作家の物は

何だか文章がしっくりこないのです

そう感じていたことを

この翻訳をしている楠瀬正浩さんが

後書きで述べています

「文体に対する作者の極端な拘りがある。

作者の努力の結実を

翻訳という形で再現することは

かなり不可能に近い」

というような。

そして

「フェノーリオの文章の魅力を真に味わいたい読者には

是非イタリア語で読んでみてください」

と。

正にそういうことだと思います

文化も言葉も考えも恐らく違う

その国その国の特性を

ストーリーは兎も角

多言語で表すということは

至難の業と思います

 

私も何年か前にやめた

日本語ボランティアの会では

日本語を

意味としては伝わっても

中々本当の真の感覚として伝えるのは難しい

と時々思ったものです。

例文を沢山与えることで

辛うじて伝えておりましたが・・・

 

そんなこんなで

読んでいる間は

かなり苦労しましたが

読み終わってみると

何故か妙に癖になりそう

という文章でした

ということは

翻訳家が伝えようと苦労された事が

感じられたのではないかと

勝手に解釈しています。

 

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本 わたしの美しい庭

2022-01-06 | 

久々

ほ~~んとの久々のジャンル

本です

大分前から白内障が進んでいたのですが

ここのところ富に見難くなっており

本を読むのが辛くなっています。

そこで

なるべく読み易い本

そして

ハードタイプでなく文庫本が多くなっています。

目に近づけないと読みにくからです

重い本ですと

もうそれだけで

途中でギブアップになりそうです。

 

今回は

「わたしの美しい庭」 凪良ゆう著

まず登場人物から

統理

百音

路有

この三人は同居しています。

その関係は赤の他人同士

百音はまだ小学生。統理の元奥さんとその奥さんが再婚した男性との子供です。

この二人は亡くなってしまい一人残った百音は統理に引き取られます

統理と路有は学生時代の友人

そして路有はゲイです

統理との間にそういう関係はありません。

なんとも複雑な関係なのですが

この三人はうま~く和を作って共同生活をしています。

この三人が主たる物語の主人公となるわけですが

そこに統理のマンションに暮らす桃子

桃子が結婚する相手であった亡くなってしまった人物の弟

基などが物語に加わります

統理は翻訳家を職業としていますが

統理のひいお爺さんが

戦中に焼かれてしまった神社を投げ出すわけにいかず

さりとて

戦後のどさくさの中での再建は大変でした

お爺さんの代になって

引き継ぐ時にマンションを建て

その屋上に神社を祀ったのです

その屋上はオープンカフェのごとき

美しい庭になっており

縁切りのお祓いがあるのですが

色々な人物が訪れます

統理は住職も立派に兼務するようになっています

 

統理・百音・路有・桃子・基などの人々が織りなす人間関係

何が人を傷つけない事なのか

何が本当のおもいやりなのかを探りながら

物語が進んでいきます。

 

平行して今読んでいる本

「アルバの二十三日」

という本が

しっかり読んでいないと

内容を失いそうになりますので

少々疲れ気味

そこで

この本を手に取ったのですが

文章としてはとても読み易く

登場人物が気持ちよい人々でしたので

さらっと

後味の良い1冊となりました

 

因みに

「アルバ・・・」

は私の小学校時代の幼馴染が翻訳しておられるので

手にした本で

海外ものは苦手なものですから

進みが悪いのです

 

 

 

 

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お料理本

2021-10-20 | 

最近マンネリになっている我が家のお食事

何か美味しいものないかなあ

と思っていましたが

先週TUTAYAさんでこんなお料理本を見つけました

こういうものは

ちょっとしたアイデアを与えてくれます

私は普段スパゲッティは胃に重く

戴けないのですが

細い麺にして和風なら戴けそう

兎角残りがちな

佃煮とかお新香などの利用が出来そうですさ

和え物も色々試してみようと思っています。

楽しみ~

 

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本 リーチ先生

2021-09-26 | 

「リーチ先生」   原田 マハ 著

1909年リーチ青年と亀乃介との出会い

亀乃介は横浜の洋食屋で働いていた際

お客として来る外国人から自然と英語力を得ていました

そしてやはりお客として来た高村光太郎にその英語力と

お店の壁に貼っておいた自分の描いた絵を誉められます

その縁から高村家の書生となり

高村家を訪ねたリーチと出会う幸運に恵まれるのです。

 

バーナード・リーチはイギリスの芸術家で

日本とイギリスの芸術の架け橋となるべく日本を訪れたのです

 

その後亀乃介の英語力が買われて

リーチのお世話役となり

関係は深まっていきます

リーチは日本の陶芸にひどく惹かれ

陶芸を極めることに夢中になり

亀乃介はそのサポートをしつつ自分も芸術の道を深めていきます

 

時代は色々変化し

亀乃介はこの世を去りますが

リーチが1954年大分の焼き物の里

小鹿田を訪れた時に

偶然にも亀乃介の息子である高市と出会いがあります。

 

リーチを深く尊敬し

一途にリーチの為に尽くした亀乃介と

リーチの人柄をよく知れる1冊でした

 

このお話の中には

益子の陶芸家で知られる

濱田庄司や

富本憲吉

リーチの志を支えた

武者小路実篤

柳宗悦等

白樺派の面々も多く登場します。

 

私事になりますが

実は柳宗悦氏の甥に当たる柳悦孝さんの娘さん

柳由紀さんとは

小学校時代に同級生で

よくお宅に遊びに行ったものです

天井裏には蚕を飼っていらして

お母様は織物をなさっておられた記憶があり

なにかやはり普通のお宅と違う雰囲気に

私は魅せられて

わくわくして訪ねたものです。

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本 「イラクの小さな橋を渡って」

2021-09-12 | 

「イラクの小さな橋を渡って」    池澤夏樹著 本橋成一写真

この本は大分昔に買った本でした

私はイランの映画が好きで

以前は良く観ていたものですから

なんとなく

中東に興味があってこの本を手に取ったのですが

長らく本箱の中で眠っていました

本箱を片付けていて

ふと手に取り今回読んでみたのです

あとがきを入れても100頁に満たない薄い文庫です

それでも

その本の重みは私の中にズンとしたものを残してくれました

 

イラクが大量破壊兵器を保有しているということで

イギリスとアメリカがイラクを攻撃したときのことです。

と言いますか

作者は開戦前夜の

その国の人々の極普通の日常生活を描き

写真を掲載しています

子供達の素敵な笑顔やはにかんだ様な笑顔

 

湾岸戦争後にアメリカ・イギリス主導で国連が行った経済制裁

最初は食料は然程きつくはなかったようです

本当にきつくなったのは

1992年~1994年

そして何よりも医療関係の品々が入らなくなったことで

その経済制裁で亡くなった人は150万人

そのうち

62万人は5才以下の子供だったとか。

作者は

戦争とは爆撃だけで人は死ぬのではない

経済制裁という戦争でも人は死ぬ

と言われています

 

結局イラクの大量破壊兵器はなかった

間違った戦争と言われています

 

いずれにしても戦争というものが

幸せをもたらすものでは勿論なく

恐らく勝った国の人にも

必ず心の傷というものを残すのではないかと思ってしまいます

戦争後何年経っても

その心の傷に苛まれ

精神を病む兵士も多いと聞きます

なのに

なんで人は戦争するのでしょう

というのは

あまりに少女趣味な感想となってしまうのでしょうか。

 

最近のアフガンも鑑みてノー天気婆も

少々考えさせられてしまいました

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本 「野生の呼び声」

2021-08-10 | 

「野生の呼び声」  ジヤック・ロンドン 著

          深町真理子 訳

父親がセントバーナード

母親がスコッチシェパード

のバック

飼い犬として裕福な家庭でペット生活をしていた彼が

ある日

庭師見習いの男に連れ出され誘拐されます

ここからバックの過酷な生活が始まります

 

こん棒を持った凶暴な男に売られ

そこで

こん棒を持った男には勝ち目はないという事を学び

深く肝に銘じます

その後

何人かの男達を経て橇犬となったバック

段々強靭な組織に鍛え上げられ

視覚と嗅覚はいちじるしく鋭敏に

聴覚も研ぎ澄まされていきます

やがて

野獣の血が強く息づいていくのでした

バックは生き物として

生の絶頂を味わう陶酔感・生命感を高めていき

橇犬のリーダーにのし上がり群れの先頭を切って走ります

その後も

様々な人間を経て

ある時ジョン・ソーントンと出会いを得て

深い愛を感じる様になります

 

そのソーントンが

ある時

イーハット族の襲撃に会い命を絶たれてしまいます

バックは初めて

飢えにはない心の痛みというものを知ります

それは食べ物に寄って満たせられるものではありませんでした

友情を交わした

愛する者を失った痛みでした。

 

バックが過酷な日々を送る様になった時

残虐な感じがして

この本

このまま読もうかしら

どうしようかしら

とちょっと戸惑いました

でも

最後まで読んで良かったです

バックの中に

野生が脈々と流れていく過程で

動物本来持っているものを

強く知ることが出来ましたし

そんな中で

やはり心通わす人との出会いがあり

よりその感覚を感じることが出来ました

 

 

 

 

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本 「雨降る森の犬」

2021-08-02 | 

「雨降る森の犬」  馳星周 著

以前

馳星周さんが直木賞を取られた

「少年と犬」

という本も読んだのですが

今回のこの

「雨降る森の犬」の方が私は好きでした。

賞の対象となるには

やはり少年・・・の方が

とは思いますが。

 

最近でも

良い本が沢山読めていましたし

楽しめておりましたが

かなりのスピードで

夢中になって読めた久々の本です。

それだけに

サクサク読める類ともいえるかも知れません。

 

中学生の少女が母親とのコミュニケーションがうまく取れず

父親が亡くなって

母親がボーイフレンドとアメリカに住むこととなった時

彼女は一緒に住む事を拒み

母親の兄

信州に住む叔父と一緒の生活を選択します。

 

そこで出会った

叔父の飼っている

バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテル

お隣の別荘の住人の息子正樹

との出会いがあり

段々

彼女の気持ちが癒され

叔父・ワルテル・正樹を真の家族と感じていきます。

 

犬との触れ合い

犬との意思疎通

犬との友情が

この本の主たるところと思いますが

それだけでなく

料理

登山

大好きな信州という土地の雰囲気

これらも

私にとっては

気持没頭できる要素であったかと思います。

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本 「自転しながら公転する」

2021-07-05 | 

「自転しながら公転する」   山本文緒 著

プロローグ

結婚式場

「私は結婚する」からこの本は始まります

実は私はこの一言が

主人公みやこのことだと思って暫く読み進んでおりました。

 

都は東京のアパレルショップで働いていましたが

実家のある故郷に戻って

関東平野の広がる田畑と雑木林

その中に作られたきらびやかなショッピングモールで働くことになります。

家に帰ると

更年期障害でうつ病になっている母と

母とは反対に若返った父が食事の支度をして待っています

 

ある日訪れたそのショッピングモール内の

回転寿司屋で働いている

態度の悪いヤンキー風な貫一と出会う事になります

又一方

貫一と行ったヴェトナム料理のお店

ここで働くヴェトナム人ニャンとも知り合いになります。

このお店はニャンの兄のお店でした。

又職場では上司のセクハラにも合い

頼りにしていた父親が腸の手術で入院という事態にも見舞われます

次々 次々起こる問題

これらに翻弄されながら

都の生活が流れていきます

 

今の世の中で

容易に起きるであろうこれらの問題を課題にして

このストーリーは続いていきます。

貫一との生活が続く中で

あることが原因で

都は貫一から去ることとなります。

そんなこんな

様々な事があって

エピローグ

最初の結婚式場に舞台は戻ります

結婚式を挙げるのは

都の娘でした。

 

婆の私には

わたくし事としては

消化しきれない1冊でしたが

複雑な今の世の中で

現代の若者が抱えていく色々な問題を受け止める文章となりました。

 

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本 「地下鉄に乗って」

2021-05-23 | 

「地下鉄に乗って」   浅田次郎 著

この本

随分昔

まだ鉄子真っ只中であったワタクシ

うら若き頃

というほどの若さではありませんが

今の婆に比べれば

うら若いという程昔であります

地下鉄という文字に惹かれて読み始めた事があります

ところが

ちょっとSF風のこの本

SFには弱い私でしたので

挫折したのでした

 

この前新聞でこの「地下鉄に乗って」の新装版が出たとの記事を見て

又触手が蠢いた訳です

 

気分の悪かった同窓会でしこたま良くないお酒を飲み

帰りに地下鉄に乗っていた彼は

とある駅の出口を上った所で

兄が自殺する直前の時代にタイムスリップします

巨大企業を立ち上げた父

その人は

自分勝手な人間で

彼の母に対する態度なども

許せない思いでいました

兄は父と噛み合わず自殺

自分も高校時代に家を出てしまいます

自分のそういった生い立ちを含めて

何度かタイムスリップした場面で

昔の自分や家族と対面するお話しです

封建主義であった日本も

今は男女平等についてちょくちょく話が交わされ

かなり女性の職業進出も見えてきた日本です

そういえば

極々最近

女性蔑視で

おる地位から降りられた方がおられましたっけ。

でも

このお話しの時代はまだ

男性の地位が高かったんだな

という思いがしています

男性エゴが残り香として

うすうすと漂う頁を繰りながら読んだ本でした

それでも

あまり嫌な思いは残らなかったのは

浅田さんの文章が成す技か

懐かしい地下鉄への慕情が私の中にあったのか・・・

と思っています。

子供の頃育った青山では

都電か地下鉄が交通手段でした

度々

地下鉄の階段を下りて

改札まで人を送ったり迎えに行ったりしたものです

その時の

ふんわりと暖かい空気と

一種独特なあの匂いは

私の鼻に未だ残っています。

 

 

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