「また 桜の国で」 須賀しのぶ 著
第二次大戦に突入の頃のポーランド
大使館の書記生である棚倉慎は
ロシア人の父と日本人の母を持つハーフ
子供の頃は外観から偏見を持たれがちだった。
ベルリンからワルシャワへ行く列車の中でユダヤ人系ポーランド人のヤンと知り合う
当時のポーランドは
ドイツとソ連に制圧され
ユダヤ人迫害はそれは厳しいものであった。
且てシベリア孤児であったイエジは司法省に勤めるかたわら
孤児院を作り戦争孤児達をサポートしている
が
この孤児院こそ
レジスタンスの拠点となっている
日本の大使館はこれらの地下組織と繋がっており
ドイツと連合しているにも関わらず
ユダヤ系ポーランド人の亡命を助けている
リトアニア駐在の杉原千畝氏が
ナチスドイツに迫害されていたユダヤ人を助けた話は有名であるが
ポーランドでも
日本人は密かにドイツから彼らの身を助けようと努力していた。
棚倉慎は子供時代に自宅の庭に隠れていた
ポーランド人カミルと知り合う
彼は後アメリカ人の養子となり
アメリカ国籍を得て
ジャーナリストとなっていた。
この
慎
カミル(後のレイ)
イエジ
ヤン
それと
日本の大使館で働いていたマジェナ
の5人は国を越えて
人間的な繋がりで
ポーランドの為に戦い抜くと団結
蜂起に加わる
ドイツ兵との戦い
結果ポーランドは敗れる
慎はこの戦いが後の世で埋没されてしまわない様
きちんと伝えられるべく
レイとヤンを逃すために
自分は犠牲となって
囮としてドイツ兵の前に出ていく。
逃げ延びたレイ
ここから何年か経た日本で
慎の父を訪れ
真実を伝える
流れるショパンの「革命のエチュード」
慎の父がレコードを回していた。
「いつか必ず三人で日本の桜をみよう」
慎 レイ ヤン三人の最後の約束だった。
ちょっと長くなりましたが
実際ページ数も多く
分厚い本で
本の重みと比例して
内容もかなり重みがありました。
避けきれず波に流されて
ドイツと手を結んでいた日本
そのドイツとの関わり等
この本の主題であるポーランドが
どういう国であったかという事は
全く知りませんでした。
第二次大戦の頃の
複雑な国々の関りを少し理解できた思いがしました。
そして
悲惨な戦争の最中にも
生きた人間の血を感じさせられる
温かい流れも知ったのは幸せでした。
ノンフィクション
モデルのあるストーリーです。