loisirs

日々、小さな楽しみを見つけて・・・

本 「三つの名を持つ犬」

2021-05-07 | 

昨日に引き続き

本のお話しです

「三つの名を持つ犬」   近藤 史恵 著

こちら300頁ほどの文庫本です

ミステリー要素もあり

次々読み進むタイプの文章かと思います

 

都は3年程前から飼い始めた

愛犬エルとの日々を綴ってブログを書き始めました

それが当たり

エッセイも書く様になります

ある夜遅くまで家を留守にした日のことです

帰宅すると

エルがリビングドアノブに首輪を引っかけて

こと切れていました

都を追う為に後ろ足でドアを引っ掻いていたのでしょう

その時

ドアの取っ手に首輪が引っかかってしまった。

パニックを起こして暴れたが首輪は外れず

それが仇になって

尚エルの首輪を絞めることに・・・

 

都は自分が今

エルを失ったら

そして自分の過失でそうなった事で

立場が最悪になろうと

このことを、なんとか隠しおおす為に

嘘が嘘を招き

大きな罪を招いてしまいます

ハプニングがおきてしまいます

その嘘をたまたま知った詐欺の受け子の一人が

都を脅迫し始めます

ところが

その話が

ひょんなことで

徐々に違う道を辿ることとなります。

 

今コロナ禍で

ペットを飼う人達が増えているといいます。

勿論良いことです

家族の繋がりが強くなる

ストレスが癒される

動物には

多くのそういったセラピー的なものがあります

私も

以前犬も猫も飼った経験を持ちます

でも

ペットの一生を保証して飼い続ける

ということの大変さも

確かに大ありです

 

都の場合は飼育を放棄したわけではありません。

ところが

車を運転するから人を殺してしまうリスクもほんの少しではありますが存在します。

動物を飼うことも同じようなところがあるのではないでしょうか。

自分ではそんなことするつもりもなかったのに

動物に不利益となる人生(犬生?)を追わせてしまうこともあるのではないか。。。

そんなこと言っていては

なにも出来ないといえばそうなのですが。

都を見ていると

都の人生自体

大きく地軸が動いてしまったと思わざる得ません。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本「類」

2021-05-06 | 

「類」   朝井 まかて 著

この本は

森鴎外の息子

類さんの事を書いた本です。

鴎外という人は

植物が好きで沢山の植物を育てておられた様です。

ある時、類さんの

「西洋花は何故嫌いなのか」

という問いに

「西洋花を嫌っているわけではない。

物事が一辺倒であるのが良くないと言っているのだ。

日本人の流行ばかりを追う性質を案じておる」

との答え。

これは鴎外が天竺牡丹を買おうとしたのに

西洋花のダリアしか花屋になかった時のお話しです。

上手い具合に言い当てています。

 

類さんから見た家族という形になっていますが

お母様は

本物に対する目は揺るぎなく

美しいもの、そうでないものを瞬時に選り分け

高価であっても

下品な色は忌み

千代紙や便箋一枚でも

日本橋榛原で吟味したと言います。

 

角川書店の

「昭和文学全集」の月報に

「父」を書いた時

父は子供の人格をどこまでも尊重し親切を尽くした

子供達にとっては慈愛の人だった

と書いています

反対に

どちらかというと

母が世間の父親のような役割で

子供が最初に直面する

現実の不条理や理不尽を引き受けていたとも書いています

 

「森家の兄弟」を書いた時には

姉たちとの溝は深まり

特に杏奴とは

殆ど口もきかない様な状態になってしまいます

それでも

「書くか書かないかという

ギリギリのところだったが

書くのなら徹底的に。

生半可に書くのならやめようという心境だった」と話します

 

最終章は

穏やかな風景

海を眺めながらの長女との会話で終わっています

類、70歳後半のことです

 

最初私は

家族

殊にお母様の言葉が

グサッとくるものもあり戸惑いましたが

類にとってはかけがいのない家族だったのだと思います

そして

それなりにお互いが

相手を心の中で慈しんでいたのでしょう。

ハードカバー500頁位の

久々

大物の本でした。

流石

朝井まかてさん。

内容も

読んでるその時より

後になって

ずっしりとくる1冊となりました。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本 「旅のつばくろ」

2021-04-30 | 

「旅のつばくろ」  沢木耕太郎 著

久しぶりに開く沢木耕太郎さんの本です。

今回は

私としては初めての

彼の日本国内旅の本です。

そして

この本

本屋さんで手にした時から

愛着を感じたものでした。

厚すぎず、軽くて、

読み易そう。

(あ!カバーは私がかけたものです。

なんかこの包み紙

お菓子屋さんでしたか・・・

この本にピッタリの気がしてかけたのです)

これが本物

装丁があの"アノ二ム″さんの物に似ていました。

でも、発行所は新潮社

印刷は錦明印刷

とありました。

最近は色々凝った本が出ているのね。

と嬉しくなってしまいました。

 

さて、前置きが長くなり過ぎました。

沢木耕太郎さんは16歳の時に初めて一人旅をしたそうです

それは東北の周遊券を握りしめての旅だったそうです。

 

この本に載っている場所は

殆ど私の行ったところで

尚、親しみのある楽しみがいっぱいの文章でした。

その中でいくつか行ったことのなかった所で

今度是是非とも行ってみたいと思った所

山形県「遊佐」

名前が美しくてつい訪ねてみたくなったと言っておられます。

人名の遊佐は「ユサ」地名は「ユザ」というそうです。

雪をいただいた鳥海山が朝日を浴びて

田植えの済んだばかりの田んぼにすっかり映っていた事に感動された様です

私も

安曇野の360℃の山々が

田んぼに映る姿が大好きです。

 

青森竜飛崎へ行く時

電車の遅れで危うく大宮から乗ろうとしていた「はやぶさ」に

乗り遅れるところだったところが

遅れた時間が1分早かったお蔭で辛うじて飛び乗れたお話し。

私も四国で駅までのバスが

自分の乗る予定の電車に間に合わない!!

と焦って運転手さんに電車時刻を告げましたら

なんとか間に合わせてくださったことがありました。

改札を抜けて「乗れる!!」と確信した時のホッとした

といいますか、ニヤッとしてしまう気持。

沢木さんと重なります。

 

最後の方は小海線の旅となりますが

私の夫の郷里が小海線沿線ですので

慣れ親しんだ土地です。

「ふむふむ、そうそう、うんうん」

という感じで

ゆったりと最後まで楽しませていただきました。

200頁位の中に40ほどの節に分かれた旅で綴られたこの本は

読んだ後でも愛おしい思いで

抱きしめたくなるような1冊でした。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本「和菓子のアン」

2021-04-12 | 

読書会を一緒にしているお友達からの1冊

「和菓子のアン」   坂木 司 著

そのお友達からの紹介文に

以前もう一人の方からお借りした

「ビブリア古書堂の事件簿」の和菓子版の様なもの。

とのこと。

確かに読んでみますと全くその通り

 

何の仕事につくか

特にこれといったものがあったわけではない

一人の女の子が

ふとしたことがきっかけで

デバ地下の和菓子屋さんで

働く事になります

仕事をしているうちに

和菓子とはただ甘く美味しいだけのもではない

という事を知ります

先輩や店長から

様々な話を聞き

色々なことを覚えていくのです

店長などは

来店されたお客様の言動から

あらゆることを推察する力を持っています

先輩からは

お菓子の名前の由来やら

専門用語等々

多くのことを教わり

どんどん和菓子にのめり込んでいきます。

 

店長の推察力

ここが

「ビブリア・・・」

とよく似ているわけです

 

私も

いままでは

ただ単に美味しいからと戴いていた和菓子

少々

頭も働かせながら

戴く様にと

興味が湧いてきました

 

そんなことも影響して

五島美術館のお菓子の本

「源氏物語」を買ってしまった訳です

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お菓子の本

2021-04-08 | 

一昨日

五島美術館の売店で買って来た本

お菓子と器の本です

ちょうど

少し前に

和菓子のお話しの本をよんだばかりでしたので

興味惹かれて

思わず買ってしまいました

 

全て源氏物語に因んだお菓子です

 

 

 

わわわわわ!!

美味しそう・・・( ゜ω゜)♡♡♡

 

お菓子もさることながら

器が又見事

双方がお互いの味を引き立てているのですね。

 

最近

コロナ禍で

夫が毎日毎日家におり

ついつい

お茶の時間も

ただ戴けば良いみたいな気分で

(何故か普通の時より

このコロナ禍

毎日が忙しく

時間に追われている気がします)

器も同じものばかりだったり

そこにある物で間に合わせたり

味気ない生活をしている日々

これではいけない!

もう少し優雅に和菓子でも楽しんでみましょうと

反省致しました

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑誌

2021-03-25 | 

姉が近々腎臓癌の手術で入院との事

今はコロナ禍で入院中の差し入れはなしとのことで

入院前にお見舞いを兼ねて

TSUTAYAさんで雑誌を買って来ました

姉は無類の本好きです

でも

術後は身体が疲れていますし

細かい文字の本よりは

軽くぺらぺらとめくれる雑誌の方が良かろうかと・・・

花を育てるのも好きですので

綺麗なお花を眺めるのは

癒さるかと思います

旅好きでもありますので

こんなホテルの雑誌も。

身体が回復して

コロナも少し収束に向かった暁には

こんな所へ行こう

あんなところへ行きたい

夢を巡らし

いくらかでも

気晴らし

気が紛れてくれたらと思っています。

 

ついでに

そろそろ

自分自身の補充本も。

ひょいと目に着いた

こんな雑誌も買ってきてしまいました。

又暫く楽しめそうです。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本「星野道夫と見た風景」

2021-02-23 | 

「星野道夫と見た風景」 星野道夫 星野直子 著(?)

著者の(?)は実際には星野道夫さんが亡くなった後

奥様の直子さんに寄って書かれ

編集された本なのです。

奥様直子さんが星野道夫さんと出会って

結婚

アラスカへ移動

そして

彼と見た数々のアラスカの素晴らしい風景や体験

彼女は行かれなかったものの

星野道夫さんが行った場所を

写真を沢山掲載して

彼自身の文章も引用して纏められたものです。

 

私なんかから見ますと

直子さんの彼との出会いは

本当

羨ましい限りです。

私もこんな方との出会いがあったなら

今の人生どうだったかしら

なんて馬鹿なことを考えてしまいます。

でも

もしそういうことがあったとしても

私には

こういう状況を完全に受け入れて

素晴らしい生活が出来たかと言えば

あやしいものです。

やはり

直子さんという方には

そういう力量がおありだったし

とても

お似合いのご夫婦だったのだと思われます。

 

さてさて話がとんでもない方向にずれました。

この1冊は

いつもの星野さんの本となんら変わらないのですが

それでも

やはり

直子さんが書かれただけあって

彼女特有の纏め方となっている気も致します

目につくのが

まず

お花の写真が多い事

星野さんは

結婚されてから

彼女がお花好きであった事に強く影響されたそうです。

それと

オーロラやら動物など

非日常的な写真が

何故か生活の中の一コマみたいに掲載されている事です

 

お二人の結婚生活は人生の中で

ほんの僅かな時間であったにも関わらず

中身の濃い

人の一生ほどの重みがあったのだと思われます。

相変わらずの

これまた素晴らしい1冊でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本 土に贖う

2021-02-15 | 

「土に贖う」  河崎 秋子 著

世の中

人の世は

新しい物が現れて

古い物が滅びていく

産業もしかり。

そんな産業の栄と終局

悲しい最後を描いた本です

 

ヒトエは

蚕が桑を食べる雨音の様な音

寂しいような温かいような不思議な感覚におそわれる

そんな音を耳にしながら育った

温かく娘に接する父

美味しいご飯を炊いてくれる母

ヒトエは幸せだった

人造繊維の普及が進むまでは。

(蛹の家)

 

ミンクの養殖

ミンク生産業者の孝文

ミンクは極寒の北海道で

その寒さから守ってくれる大事な毛皮だった。

しかしある日突然ミンク小屋からすべてのミンクが忽然と姿を消した

その話は何年か経って一人の青年が道東の空港に

小型飛行機で舞い降りたことから始まる

(頸冷える)

 

北海道北見地方

夏の高温少雨

収穫期の秋に適度に乾燥する季候

肥沃な土壌

これらから

栽培適地と見なされ

ハッカ生産が盛んになった

戦後合成ハッカ生産が急速に増えていく頃迄は・・・

(翠に蔓延る)

 

昭和35年札幌郊外

馬蹄造りの雄一、その息子陽一

雄一は馬蹄造りに誇りを持っている

ある日ちょっとした手違いで

馬が足の骨を折ってしまう事故が起きる

安楽死させられる馬

夕日に照らされた大きな土饅頭が鎮座している

「馬1頭分盛り上がっているわけだ」

ぽつりと呟いた雄一の父の言葉

そのうち

馬の仕事は次々と車に取って代わられた

農耕はトラクターに

運搬はトラックに。

人々は便利且つ効率的に働ける手段に簡単になびく。

(うまねむる)

 

他3篇

短編集です

 

ここ数年をみても

IT社会が進み

目にしなくなったものが沢山ある様な気がします。

郵便受けにコトンと入っていた〆で封された郵便

街の中の赤いポスト

公衆電話

確かにネットという便利なものに

沢山お世話になっている婆ですが

それでも

昭和時代の人間には

あの赤いポストは心が温まる感じがしますし

家の郵便受けに〆つきの封書が落ちていたら

どんなにか心和むでしょう

急いで郵便受けを開け

そ~~と

その封筒を摘みだし

いそいそと家の玄関目指すことと思います。

 

この本は

本当に上手に

廃退していく物の侘しさが表現されています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本 「長い旅の途上」

2021-01-23 | 

「長い旅の途上」  星野道夫 著(文芸春秋 文春文庫収録)

この本は

1999年3月現在で判明している

単行本未収録の文章を

可能な限り文春文庫が収録したもので

遺稿集として編集したのだそうです。

既に発表されたものとの重複はあっても

遺稿集という意図に添って収録したとあります。

 

写真も数多く収録されていて

私は以前何回か

写真展で見た何枚もの写真を

懐かしく

改めてゆっくり眺める事となりました

 

本当にこの方は

アラスカの自然と生き物を愛し

出会った人々を充分に愛し続けた人生だったという事を

重ねて知ることになります

 

そして

この方の選ぶ言葉の一つ一つが

深く感銘ある文章を片づくっているのです。

彼のその時その時感じた事

感動

人に対する愛情が

しっかり伝わってくる1冊でした。

 

それにしても

短い人生ではあったものの

濃い人生であった事

その濃い人生の中に

何回となく危機に直面した事を

サラッと書き流しておられます

その都度その都度が満足出来ておられたので

そういう文章が生まれてくるのだと思います。

 

薄い文庫本ではありましたが

この1冊も

私にとって

重い重い1冊となりました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本 「旅をする木」

2021-01-15 | 

「旅をする木」   星野道夫 著

この本は星野道夫さんが

アラスカに移り住んだ最初の年の日記で始まっています。

そして今

結婚しあたらしい生活が始まっています。

ザトウクジラのお話

人に伝えたくないほど美しい秘密の場所

秋のマッキンレー山裾に広がるアルパインツンドラ

エクアドル、ガラパゴスを訪ねた旅

自分の写真展で出会った人々の思い出

トーテムポールの文化を築き上げた

海洋インディアン、クリンギット族、ハイダ族の話

冬眠の熊の話

リツヤベイという

人里離れた入江に一人で22年間住み続けていた

一人の世捨て人の話

エスキモーオリンピックの話

そして

春の知らせの手紙

オーストリア・ザルツブルグからの手紙

等々

沢山の話が詰まっています。

解説者、作家である池澤夏樹さんの文の引用になりますが・・・

「この本で

星野道夫が書いたのは

行く先で一つの風景の中に立って

あるいは誰かに会って

如何に良い時間

満ち足りた時間を過したか。

彼の人生が短くともそんなに意味はない

大事なのは長く生きる事ではなく

良く生きる事だ

彼ほど良く生きた者

幸せな時間を過した者を

僕は他に知らない」

なのだそうです。

もうこの言葉全部私の感想を代弁して下さっている様なものです。

 

そして

改めて彼の文章の上手さを

強く感じた本でした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする