「地下鉄に乗って」 浅田次郎 著
この本
随分昔
まだ鉄子真っ只中であったワタクシ
うら若き頃
というほどの若さではありませんが
今の婆に比べれば
うら若いという程昔であります
地下鉄という文字に惹かれて読み始めた事があります
ところが
ちょっとSF風のこの本
SFには弱い私でしたので
挫折したのでした
この前新聞でこの「地下鉄に乗って」の新装版が出たとの記事を見て
又触手が蠢いた訳です
気分の悪かった同窓会でしこたま良くないお酒を飲み
帰りに地下鉄に乗っていた彼は
とある駅の出口を上った所で
兄が自殺する直前の時代にタイムスリップします
巨大企業を立ち上げた父
その人は
自分勝手な人間で
彼の母に対する態度なども
許せない思いでいました
兄は父と噛み合わず自殺
自分も高校時代に家を出てしまいます
自分のそういった生い立ちを含めて
何度かタイムスリップした場面で
昔の自分や家族と対面するお話しです
封建主義であった日本も
今は男女平等についてちょくちょく話が交わされ
かなり女性の職業進出も見えてきた日本です
そういえば
極々最近
女性蔑視で
おる地位から降りられた方がおられましたっけ。
でも
このお話しの時代はまだ
男性の地位が高かったんだな
という思いがしています
男性エゴが残り香として
うすうすと漂う頁を繰りながら読んだ本でした
それでも
あまり嫌な思いは残らなかったのは
浅田さんの文章が成す技か
懐かしい地下鉄への慕情が私の中にあったのか・・・
と思っています。
子供の頃育った青山では
都電か地下鉄が交通手段でした
度々
地下鉄の階段を下りて
改札まで人を送ったり迎えに行ったりしたものです
その時の
ふんわりと暖かい空気と
一種独特なあの匂いは
私の鼻に未だ残っています。