報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日の雑感 0624

2015-06-24 10:27:49 | 日記
 まあ、今日1日を総括するには早過ぎるが、そこは気にしないで頂きたい。

 パラパラ茜のオバハンが、ついに2ちゃんねるに対しての批判を始めた。
 性格には2ちゃんねるそのものよりも、むしろその創設者たる西村博之氏に対しての批判であるが、それを取り上げたということは、2ちゃんねるに自分の批判が書かれていることに気づいたか。
 それで削除依頼をしたが、なしのつぶてだったので、あの暴挙に出たか。
 確かに私も西村博之氏の言動・行動に関しては、あまり感心はできない。
 ただ、一介の凡人ではないとは思うけどね。
 しかし、それに対して茜オバハンはどうだろう?
 もちろん偉そうに書いている私もだが、やはりただの凡人だ。
 ウィキペディアやニコニコ大百科に記事があるわけでもない。
 しかしながら“ひろゆき”こと、西村博之氏にあっては、ウィキペディアにもアンサイクロペディアにもニコニコ大百科にも……つまり、ありとあらゆるインターネット辞典に名前が書かれているほどに非凡な存在なのだ。
 これは、ウィキペディアにしか名前の無い浅井会長よりも凄いことだ。
 池田名誉会長など、アンサイクロペディアにも書かれているくらいだから、その差は歴然と言えよう。

 ……え?何ですか?今のブーメラン?どこが?……え?宗門もウィキペディアにしか書かれていない?
 い、いや!そんなことないぞ!宗門にあっては、チャクウィキにも「大石寺王国」と書かれ……あれ?顕正会と創価学会もある。
 ニコニコ動画にアカウントのある方、どなたかニコニコ大百科に宗門のこと書いてくれませんか?
 それで顕正会との差はつく!

 えーと……つまり、だ。
 いずれはあのオバハン、爆サイにも気づいて、爆サイの責任者も糾弾するであろうということだ。
 2ちゃんねるに対しての気持ちから、西村氏を批判していた弁護士を褒めていたが、実はその弁護士、顕正会批判の弁護士であったというブーメランに比べれば、私のは大丈夫だろう。

 昨日、初めて行った新しい現場。
 今いる現場が緩かったから、キツそうに見えたのかもしれない。
 ただ、私が逆立ちしてもできない仕事が1つだけあった。
 その現場施設は建物である為、当然ながら開館作業、閉館作業がある。
 大きなビルで警備員が朝、シャッターを開けたり、エントランスのドアを開けたり、逆に夕方や夜にそれらを閉める作業を見かけた方もいらっしゃると思う。
 今の現場でもそれをやっているし、新しいヘルプ先の所もその作業があるのだが、やや困ったことがあった。
 ややどころではない。
 切実だ。
 私は低身長で163センチしかない。
 まあ、これも非モテの原因の1つであろう。
 今さらそれはしょうがない。
 身長の高低など、仏法でどうにかなるものではないからだ。
 生まれの罪障の深さを呪うしかない。
 で、それの何が問題なのかというと、その新しい現場には大きな自動ドアがある。
 閉館作業でその自動ドアのスイッチを切るというのがあるのだが、これがまたドアの上に有りやがる。
 最近の新型電車では、非常でドアを手動で開けるスイッチがドアの上にあるだろう?
 正に、あの高さである。
 背伸びしても届かない。
 この時は一緒について回ってくれた隊長(身長178センチ)が軽々と操作してくれたが……。
「えーっと……。ユタ君用に、ここに踏み台をさりげなく設置しておくか……。それとも、警戒棒を携帯させておくか……」
 と、隊長が困っておられて何とも申し訳無い気持ちになったものだ。

 あー、そういえば昔はその低身長で困ったものだから、学生時代はマジックハンドを携帯していたことがあったな〜……。
 それで高い所に手を届かせていたものだ。
 あれをまた用意するか……。
 ケンカの時は、良いウェポン(凶器)になるしw
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“新アンドロイドマスター” 「初音ミクの迷走」

2015-06-23 21:23:41 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月15日17:00.天候:雷 埼玉県さいたま市西区 デイライト・コーポレーション 初音ミク]

 デイライト・コーポレーション・ジャパン(株)は外資系企業の日本法人である。
 ロボット技術の最先端を行く民間企業で、その一環として研究所にはセキュリティ・ロボットが配置されている。
 アリスがここで主任研究員として働いており、マルチタイプの開発に力を入れている企業でもある。
 そこに配置されている全ロボットに、こういう通達が流れた。

『さいたま市全域に雷注意報発令。全てのロボットは屋内に待避せよ』

 というものである。
 実は落雷による高圧電流に対しては、あのマルチタイプですら大ダメージを与えるものである。
 その為、全ロボットは屋内へ待避させるのである。

 しかし、どういうわけだか、研究所の屋上から歌声が聞こえて来た。

「強くはかない〜♪色んなこと〜♪全て受け入れても〜♪いいんじゃないかな♪」
 ミクの歌声である。
 ミクは系統が違うため、指令が行かなかったのである。

[同日同時刻 同研究所屋内 井辺翔太&アリス・シキシマ]

「初音ミクはどこ?」
「は?研究室で充電中では?」
 リフレッシュコーナーで待機していた井辺。
 窓の外では雷鳴と雷光、そして強くなったり弱くなったりの雨が降っている。
「いないのよ。記録を見たら、16時48分に充電が終わってる」
「所内を出歩いているのでは?鏡音さん達を除けば、他のボーカロイドは比較的自由に歩き回れると伺いましたが?」
「とにかく、呼んでくれる?」
「分かりました。初音さんに何が?」
「いや、ちょっと人工知能の機能テストもしたいし」
「それはちょっとで済む話なのですか?」
 井辺は社長夫人にツッコミを入れながらも、スマホを取り出した。
 通話ではなく、『ロイド通信』と書かれたアプリをタップする。
 ボーカロイドやマルチタイプなどに搭載されている通信機とリンクさせるアプリだ。

 ドカーン!

「うわっ!」
「Oh!」
 すぐ近くに落雷したようだ。
 幸い、それによる停電は無かった。
「もう!ビックリしたわよ!」
「どうやら、大丈夫みたいですね。……初音さん、初音さん。こちら、井辺です。応答願います」
「まるで、インカムね」
「初音さん、初音さん。こちら、井辺です。応答願います」
 井辺が何度も呼び掛けるが、応答しない。
「お、奥様……?」
「……すぐにGPSでミクの位置を確認して!」
「は、はい!」
 今度は手持ちのノートPCを起動させ、それでミクの位置を洗う。
「は?『計測不能』!?」
「何か、嫌な予感がする……」
 と、アリス。
「嫌な予感と言いますと?」
 アリスは左耳に着けているインカムで、呼び掛けた。
 それは英語だったが、英会話のできる井辺には分かるものだった。
 日本語にすると、
「館内セキュリティロボット全機に通達。ボーカロイド01号機、初音ミクの捜索に当たれ。シリアル番号は……」
 といった感じのもの。
 試作型でナンバリングされていないMEIKOは0号機、KAITOは00号機と呼ばれている。

[同日同時刻 同研究所・通用口と納品業者用駐車場 リネンサプライ業者&管理室警備員]

「巡回、戻りました。外は雷雨です。外部配置セキュリティロボットの待避を確認、外溝の詰まりによる水漏れはありません」
「はい、ご苦労さん」
 人間の警備員も常駐していて、一応ちゃんと巡回している。
 巡回警備員が戻ってくるのと、仮眠室や医務室から出た使用済みリネンの交換に来た業者が出て来るのは同時だった。
「毎度どうもー!交換作業終わりました!退館します!」
「ご苦労さん。何か外は今、雷雨だよー?」
 受付に座っていたベテランの警備員は、この業者と顔なじみになっているのか、受付簿に退館時間記入と入館カード返却手続きをさせながら言った。
「ポテンヒットさんの競輪予想外してから、踏んだり蹴ったりっスよ」

 ドカーン!

「うわっ!?」
「うおっ!?」
 大きな落雷音は、1Fバックヤードにも当然響いた。
「……こっわ!」
「雷収まるまで、しばらく様子みた方がいいんじゃないの?一服でもしに行くか?」
「あっ、いいっスねー!」
「菊地君、ちょっと一服しに行ってくるからー!」
「堀崎さん、またっスか……」
 菊地警備員は仕方なく受付の椅子に座る。
「全く。非喫煙者が仕事押し付けられるんだよなぁ……」

 その時、外から何かが落ちて来る音がした。
 それは、豪雪地帯で屋根に降り積もった雪が落ちて来る音に似ていた。
「何だ?」
 菊地警備員は受付の外、引いては通用口の外に出てみた。
 そこにはリネンサプライ業者の車しか止まっていない。
 ワンボックスの屋根の上には、使用済みのリネンが大きなナイロン製の巾着袋に入れられた状態で積み上がっている。
 雨で濡れるだろうが、どうせそれは使用済み。
 クリーニング工場に持って行って洗えば問題は無いのだろう。
 もちろん、使用前のクリーニング済みの物は車内に積まれている。
「……気のせいか」
 菊地警備員は落下物を確認できず、しかも受付の電話が鳴ったので、そのまま管理室に戻ってしまった。
「はい、もしもし。管理室の菊地です。……え?初音ミクさん?……って、ボーカロイドの?……ああ、今修理で入ってる……。は?いえ、こちらからは出ていませんよ?だいたい、ボーカロイドが通用口から出るわけが……ええ。ちょっと、待ってください」
 菊地警備員は管理室内の監視カメラのモニタを全て確認した。
「こちらで確認できる限り、どこにも映っていませんよ?あの緑の髪ですから、目立つとは思いますけどね」

 菊地警備員が電話でやり取りをしている間、一服から戻って来たリネンサプライ業者が出て行った。
「……分かりました。それでは、こちらでも録画した映像を確認してみます」
 電話を切って、ふと窓の外を見る。
 ちょうど件の業者の車が出て行くところだった。
「!?……いや、気のせいか……」
 公道を左折で出て行った業者。
 一瞬、屋根の上に積まれた緑色の巾着袋の山の中に、赤くキラッとしたものが見えたような気がした。
「取りあえず、西棟のカメラを確認しよう」
 ミクが修理を受けていた部屋は西棟にあるからだ。

 そこで分かったのは、ミクが屋上に行ったこと。
 ちょうどその時、屋上は梅雨時の長雨や豪雨に備えて、雨水排水口の臨時清掃の為に開錠されていたため、間違い無く屋上に出たであろう。
 だが、そこに駆け付けた関係者達は、意外な物を発見する。
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僭越ながら、今現在の功徳を発表します。

2015-06-22 20:16:03 | 日記
 “新アンドロイドマスター”の落とし所を見失い、どこで一旦終了させようかと迷っている所である。
 私もまだまだだな。
 ところで今日、意外なことが職場で起きた。
 リアル“となりの沖田くん”とでも言うのかな。
 いや、私の普段着の折伏が、ようやく注目されてきたというか……。
 私の仕事運の上昇が上長に認められ、
「富士山の麓まで行った甲斐があったな!」
 なんて言われたのだ。
 やはり一般人に対しての折伏は、難しい御書より功徳だよ。
 まあ、某沖浦さんじゃないけど。
 沖浦さんの悪い所は、本人は否定するだろうが、その功徳を鼻に掛けること。
 そして、内容がコア過ぎてついていけないという所だ。
 パワーリフティングやスキーで凄い記録を出したというのは分かるが、興味の無い私からしてみれば……もっと意地悪な言い方をすれば、それは沖浦さん本人の努力の甲斐であって、『創価の功徳』とは違うような気がする。
 山門入り口さんからも、私の仕事運上昇は功徳ではなく、私自身の努力によるものということだが……。
 私はそんな大したことはしていない。
 もちろん、資格試験の時はそれなりに勉強したつもりだし、試験会場でも集中してやったつもりだ。

 では具体的に、仕事運の上昇とは何だったのか。

 このブログでもちょこっと紹介していたが、私はとある場外馬券場の臨時警備に駆り出されていたことがある。
 ポテンヒットさんなら大体想像つくと思うけど、いい仕事ではない。
 おまけに警備員休憩室が分煙されておらず、煙草嫌いの私にはちょっとした苦行であった。
 実は勤行の時、末寺の御本尊に何とかなりませんでしょうかと祈願したところ、その現場が無くなった。
 弊社が提示した警備料金と、先方様が呈示された警備料金の折り合いが付かなかったからである。
 そこ専属で働いていた人達には気の毒だが、私は解放されたことの喜びの方が大きかった。
 これがまず1つ。
 因みにそこ専属の人達は、弊社の別の現場に移ったか、新しくその場外馬券場警備を請け負った別の警備会社に転職するなどしている。

 2つ目。
 警備検定試験(交通誘導検定2級)に合格した。
 まあ、これもだいぶ前の記事で紹介していたと思う。
 公安委員会肝煎りの資格である。
 資格手当もアップして、私の生涯賃金が僅かながらアップした。

 3つ目。
 次の警備検定試験(雑踏警備検定2級)の受験を会社から命ぜられた。
 この資格は主にイベント警備などで必要とされるもので、取得すれば、上記の資格と合わせて、食いっぱぐれの心配は無くなる。
 私1人分の食い扶持には、何ら困らなくなるということだ。
 試験は来月、今現在、勉強中である。

 4つ目。
 明日から、新しい警備現場へのヘルプ要員として勤務に就く。
 あくまで今の現場に籍は置いている状態で、そちらを本拠地とし、新しい所へヘルプで行くということだ。
 その現場の隊長さんは私と昔馴染みで、ヘタに罪障をまき散らしている法華講員よりも穏やかな人であり、是非とも折伏のチャンスである人間関係に悩むことは無さそうだ。

 他にも細かい点を挙げればキリが無いが、男は仕事をしてナンボである。
 それに纏わる運勢が上昇していると明らかに認められるということは、素晴らしいことではないか。
 しかも見ている人は見ているもので、私が大石寺参詣をよく行っていることは職場でも公然としたものであり、その功徳であると1人の役職者が認めてくれたというのも初めてである。
 ふむふむ。やはり、ストライキやメーデーの効果があったな!諦めないで続けて良かった。

 え?異性運?恋愛運はどうかって?
 ……ま、『その人の祈りを叶えてしまうと、却って不幸になることが明らかに予想される場合、御本尊はその祈りを却下することがある。しかしながら、他の運勢の上昇を持ってこれに代えることがある』
 ということなのだろう。
 ま、そういうことなら、それでよし。
 御本尊も認めた生涯独身者だ。
 それは法統相続を免除された特権階級とも言える。
 つまり、法統相続などせんでも、一代法華の信心で成仏できるということが保証されているわけだ。
 これは実にありがたい!
 自分のことだけ考えていれば良いということだから。
 もちろん余裕が出てきたら、私以上に信心について悩む人に手を差し伸べてあげたいと思う。

 思えば、私も色々な人のお世話になったものだからね。
 今度は私がお返しする番……となる日が近づいていると信じたい。
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“新アンドロイドマスター” 「KR団を追え!」

2015-06-22 02:24:15 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月15日13:00.天候:雨 敷島エージェンシー 敷島孝夫、シンディ、鷲田警視、村中課長]

 ミクは自慢の緑色の髪の交換の為、事務所からアリスの控える埼玉へ。
 敷島は井辺を呼び戻し、ミクを連れて行くように指示した。
 その前にミクが自分の目で見た画像をUSBメモリーに記録し、それを確認している。
「レーザービームだから、本当に一瞬なんだな……」
「あの緑のロボットが窓の外を覗き込もうとした瞬間、撃ってきたことから、織り込み済みだったようだな」
 鷲田警視は、特徴的な白いものが混じった口髭に右手をやりながら言った。
 ロボットに対して高圧的な態度を取り、嫌悪に近い差別感情を露わにするのが特徴だ。
 本人は『保守派だから』と答えるが、村中課長の話だと、実は考え方はテロ組織KR団の構成員と似ているという。
 ただその為のテロリズムは許されるものではないし、警察官として反社会的集団の撲滅に追い込むだけだと……。
「人間への被害はゼロだな。緑のロボットと、それを通して天井に穴が開いたというわけか……。ならば今回の事件は『器物損壊』と『銃刀法違反』ということだ。光線銃に関する許可は、私の知る管轄内では出ていないからな」
「人間だったら、『殺人未遂』で捜査できたんだけどね……」
「いや、威力業務妨害でも捜査してくださいよ!」
 と、敷島は主張するも、
「しかしねぇ、訪問者の言動だけではねぇ……。あれに、脅迫めいた内容でも含まれていればいいんだけど……」
 鷲田警視よりはまだ穏やかな村中課長も、肩を竦めるだけだった。
「本当はそいつも押収したいところだがな」
 鷲田はシンディを侮蔑の目で見た。
「…………」
 シンディは無表情で鷲田の言葉を受け止めるだけだった。
 シンディやエミリーの銃火器については、超法規的な措置が取られている。
 もちろん、それは政治的なものが絡んでいることは言うまでも無い。
「芸能プロダクション、敷島エージェンシーの“商品”たるタレント、ボーカロイドに傷をつけ、その業務を著しく妨害した廉で十分立件できるんじゃありませんこと?」
 そして、笑みを浮かべて発言した。
「今日のミクのスケジュール、全てキャンセルになってしまったんですから」
「それもそうだな」
 村中は頷いた。
「例えば運送会社のトラックのタイヤをパンクさせて、集配作業に影響を及ぼしたのと同じですね?」
 と、御伺いを立てるかのように聞く村中。
 一応、鷲田は村中の上司だからだ。
「そんなことは分かっている!」
 鷲田は不機嫌そうに答えた。

[同日15:00.埼玉県さいたま市西区 デイライト・コーポレーション 井辺翔太&初音ミク]

 井辺はミクの修理作業状況を電話で報告していた。
「社長、まもなく初音さんの修理が終わる見込みです。損傷が髪だけで、他の部分に影響が無かったのが幸いでした」
{「ご苦労さん。ミクの今日の仕事は全部キャンセルだ。マスコミにも、『今日のところは大事を取って』『テロ組織がまだ狙っているかもしれないので、その警戒のため』と発表してある」}
「分かりました。……社長のインタビュー見ましたよ」
{「テロの卑劣さを訴えてやったよ。帰る時はゆっくりでいいが、気をつけてくれよ?たまたまミクが攻撃されただけで、特段、個人的に狙ったわけではないと思うが」}
 キールは自分が名乗ることで、誰かが窓の外を覗き込んでくるだろうと予測し、予め片眼に装備されたレーザービーマーをいつでも放てるように準備していたのだろう。
 それがたまたまミクだったと。
「分かりました。……はい。……はい、了解です。……はい。……では、失礼します」
 井辺は電話を切った。
 そこへ、部屋のドアが開いて、中からミクとアリスが出て来た。
 レーザーで焦がされた髪は、すっかり交換されていた。
「終わったわよ。一応、他の部分も確認してみたけど、特に気になる損傷は無かったみたい」
「ありがとうございます」
「まあ、そこはドジっ子で、よく転んでいるから、慣れているってのも幸いだったかしらね」
 アリスが笑うと、
「ちょ、ちょっと!博士~!」
 ミクは恥ずかしそうな顔になった。
「それで、どうするの?あとはバッテリーの充電だけど、もしこれから仕事があるなら、予備バッテリーと交換するけど?」
「いえ。社長の御意向で、今日の初音さんの仕事は全てキャンセルになりました」
「ええーっ!?」
 ミクが驚く顔をする。
「わたし、もう大丈夫ですよ」
「まだテロリストが狙っている恐れがありますし、その警戒の為です。明日からは復帰できますから」
「そんなぁ……」
 ガッカリするミクをアリスが慰めた。
「ここで復帰してしまうと、タカオの言いたいことが弱くなるからね。『今日1日、仕事ができなくなった』という主張をすることでKR団に対し、世論を使って外堀を埋めて行く作戦だと思うよ?」
「初音さんは事務所のトップスターです。その影響は大きいですからね」
 と、井辺も頷いた。
「……分かりました」
 ミクは俯いて応えた。

[同日16:00.敷島エージェンシー 敷島孝夫]

「……はい。明日からは復帰できる見込みですので、今日のところは温かく見守って頂ければ幸いです。……はい。では、そういうことで。……はい、よろしくお願いします」
 敷島は社長室(と言う名の小部屋)で、ミクの事件に際し、関係各所に連絡していた。
「よしっと……こんなところかな」
 敷島はPCの画面を見つめる。
 先日探索した貨物船の映像だ。
 シンディが見た記憶が映し出されている。
 マルチタイプ8号機とされる少女ロイドは、よく見るともう少し幼い感じに見えた。
 エミリーやシンディの抜群のスタイルは、何も造形美も気にしただけではない。
 マルチなことに対応できるように、色々な機能を付加させていった結果、搭載する機器も多くなり、結果的に高身長で出る所出たスタイルになったとされる。
 当時の技術では、それが精一杯だったのだろう。
 今の更に高度化した技術を駆使すれば、マルチタイプの標準性能はそのままに、更に小型化・軽量化でき、結果的には見た目、ローティーンの少女が出来上がったのかもしれない。
 ボーカロイドも、MEIKOなどの試作機達が成人年齢という設定で作られたのもそれが理由だと敷島は昔、南里志郎から聞いたことがある。
 その後、更に技術の革新により初音ミク、更に小型化した鏡音リン・レンが完成している。
「どこに行ったのか分からないが、見た目、リンと同じかそれ以下の設定年齢のコだからといって油断するなということだな」
 敷島は眉間にシワを寄せながら呟いた。

 さすがは数々のテロを潜り抜けただけのことはある。
 何故なら……。
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“新アンドロイドマスター” 「堕ちた執事」

2015-06-20 19:57:50 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月15日09:00.天候:曇 敷島エージェンシー 敷島孝夫&井辺翔太]

 敷島はさいたま市に住んでいるが、事務所の近くにマンスリーマンションを借りて、そこで単身赴任をしている。
 アリスからは浮気防止の為、シンディを送り込んで監視させている。
「おはよーっす」
「おはようございます」
 敷島が出勤してくると、既に事務室に井辺と一海がいた。
「井辺君、平日は何かあるのか?」
「今日は……特段無いですね。いつもの通り、MEGAbyteの売り込みに向かうだけです」
「昨日、一昨日の土日、休み無かったんだから、代休取ってもいいんだよ」
「社長も働いているのに、私だけ休むわけには参りませんよ」
「いや、俺の場合は別の仕事が入ってただけだから……。今日もなんだけどね」
「その、社長の『もう1つのお仕事』に関わると思われるメールが昨夜入ってまして……」
「え?なに?」
「これなんですが……」
 敷島は井辺が指し示したPCの画面を覗き込んだ。
「“ショーン”?何だこれ?映画かドラマの制作会社からのメールか?」
「いえ、違うと思います。フツーに、テロ組織からのメールかと」
「何でそんなもんが井辺君のPCに来るんだ?」
「分かりません。ただ、私の名刺にはそのアドレスが記載されてはいますが……。プロデューサーとして、色々な人に名刺をお配りしたので……」
「8号機だけじゃないって、どういうこと?」
 シンディも右手を腰にやりながら眉を潜めた。
「3号機のアタシならここにいるけど?」
「いや、1号機(のエミリー)と3号機のお前はいいんだ。額面通りに読めば十条の爺さん、7号機のレイチェルとやらを再稼働させてるみたいだな」
 画面をスクロールさせると、7号機のレイチェルの言葉が出て来る。
「レイチェルが……動いてる?」
 シンディは左手を口にやって、信じられないという顔をした。
「7号機まで製造されていることが確認されているから、このレイチェルとやらはお前の同型・姉妹機でいいんだな?」
「そのはずだけど……」
 人間であれば顔面蒼白といった感じなのだろうか。
 下位のロボット達から鬼のように恐れられるシンディが、そんな顔をするとは……。
「“ショーン”とやらは、7号機のレイチェルの仲間らしいな。全く意味が分からん」
「どうしますか、社長?」
「8号機が逃げたとされる千葉県の警察署を見に行こうと思っていたけども、まずは警視庁に行ってみることにする。このメールについて、情報提供してあげよう。地方県警は頼りないが、警視庁なら大丈夫だろう。多分」
「あの鷲田警視と村中課長って一体……?」
「“相棒”の特命係みたいなもんだよ。でも、ちゃんとした地位のある、テロ対策の部署だけどね。じゃあ、ちょっと行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「私も営業回りをしてこようと思います」
「井辺君は休んでても大丈夫だよ。ミク達は自分でスケジュール管理ができるし、MEGAbyteの3人も今日のところは調整でもいいし」
「いえ。私はこう見えても、体力には自信がありますので」
「そうかい?まあ、無理しないようにね」
「ドクター平賀もひ弱な理系のように見えて、結構体力があるよね?」
「生まれつきなんだか知らないが、意外と筋肉質だよ、あの人は……。七海の海水耐久実験の時の映像、確かにまだ20代だったとはいえ、筋肉質な上半身が映っていたよ」
 そんなことを話しながら、敷島とシンディは事務所を出て行った。
 今のシンディは、敷島の秘書兼護衛である。

[同日11:00.敷島エージェンシー 初音ミク&一海]

「ただいま帰りましたぁ」
「お帰りなさい、ミクちゃん」
 ミクが仕事から帰って来た。
「新しいCDジャケの撮影だったんだよね?」
 事務用ロイドの一海が出迎える。
「はい。カバー曲ですが、またCDを出せて嬉しいです」
「そうね」
 ちょこんと椅子に座るミク。
 そこへインターホンが鳴った。
「あら、どちら様かしら?」
 一海がインターホンの受話器を取った。
「はい、敷島エージェンシーです」
 モニタに映し出されたのは、黒っぽいスーツを着た男。
 前髪で隠れて顔はよく見えないが、眼鏡は掛けているのが分かる。
{「プロデューサーの井辺翔太さんにお会いしたいのですが……」}
「どちら様ですか?当社ではお約束の無い方とは基本的に……」
{「敷島社長も御不在ですね?」}
「はい。そうですが……」
{「それではお伝えください。私の名はキール・ブルー。『十条博士より、井辺プロデューサーにヘッドハントが掛かった』と」}
「えっ?ええーっ!?」
 一海が驚いてフリーズしかける。
 ミクが急いで窓に駆け寄った。
 開けると突然、
「きゃっ!」
 光線銃のようなものを放たれた。
 ミクは持ち前の素早さで避けたが、特徴的な長いツインテールの右側に当たった。
「ミク先輩、どうしました!?」
 奥からMEGAbyteの3人がやってくる。
「!?」
 未夢が窓の外に目をやると、黒い車が走り去って行ったのが分かった。
「ミク先輩!」
「わ、わたしは大丈夫……」
 Lilyがミクに手を貸して起こす。
「……って、自慢のツインテールが焦げてるじゃないですか!」
「ど、どうしよう……!これから……テレビに出ないといけないのに……!」

[同日同時間帯 警視庁庁舎内、いわゆる特命係みたいな所 敷島孝夫、シンディ、鷲田警視、村中課長]

「はあ、何だって!?事務所にキールが!?」
{「ミクちゃんを狙って撃って来たんです!何か……光線銃みたいなものを……!」}
 敷島は一海から電話を受けていた。
「そ、それで、ミクは!?」
{「ツインテールの右側が焦げてしまって、アリス博士には連絡したんですけど、新しい髪を用意しないといけないので、テレビ出演は……どうしましょう?」}
「確かその時間、ルカが空いてたな?ルカを代わりに行かせよう。それと、懇意にしている週刊誌の記者さんにも伝えておくんだ。ミクには申し訳無いが、テロの卑劣さを世間に更に訴えるんだ」
{「は、はい」}
「あのクソ野郎……!ミクに何てことを……!」
 シンディは右手に拳を作った。
 キールには自分が攻撃されたことと、オーナーであるアリスに軽傷を負わせたという恨みもある。
 姉のエミリーが好きな男だというのは知っているが、さすがに会ったら容赦はできないなと思っていたが……。
「敷島社長、ちょっと事務所にお邪魔してもよろしいですかな?」
「えっ?」
「その事務所のインターホン、録画機能が付いていますな?それと、ビルのエントランスと周辺にカメラが設置されていれば、それも解析させて頂きましょう。車のナンバーから、何か割り出せるかもしれませんからな」
 と、鷲田警視が言った。
「分かりました」
 敷島は椅子から立ち上がった。
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