


冬の樹々は天に義足を投げ出していた。 それから暖炉の側の少女の裸体は、 燃える薔薇のように見えるのだが、 窓に歩み寄ると、それは造花である事が露見して、 寒さに鳥肌立った肌は、けば立った天鵞絨の 花の一片に変貌するのであった。 【三島由紀夫著 「詩を書く少年」】 |



冷たい朝を迎えました。
起き抜けの気温も、
とうとう10度を切る事に。
昨日は薄らといった如露の水の
凍結も(まだ水が動いていました)
今朝は、ほとんど動きません。
外は恐らく氷点下なのでしょう。
それにしても厳しい寒さとは
思えない程、澄んだ優しい空。
さて、冒頭の写真。
いの1番に花芽を付けた、こちらの 【匂い菫(ニオイスミレ)】 。
初めて、その存在を確認してから今日で、およそ 10日 。
あまりの寒さに “シマッタ~!” と思っているのかも知れませんね。
菫の特性とは言え、俯く風情の楚々とした菫を見ていますと・・
何だか可哀想で、せめて他の仲間はいないかと探してみたものです。
他には、まだやっと緑の小さな蕾を付けたばかり。
とは言え、10日前にはその蕾の存在さえ、なかったのですから、
後、もう少しの辛抱ですね。菫の1人旅は、もう少し続くようです。


【「海老草(エビソウ)」】

長かったせいなのか・・
(はたまた気付かなかった
だけかも知りませんが)
冬になってもその名残りの色が、
あちこちに残っていて目を奪われます。
その中で薔薇の木。
花も然る事ながら、
葉っぱの美しいこと!
自然の醸し出す色に感嘆しています。
女王の中の女王ですね。
そうそう上記の引用文。
“冬の樹々は天に義足・・”
云々(うんぬん)。
氏らしいと言えばそれまでですが、
凡人には思い付きもしない感覚。
やはり天才ですね。
その感性には凄みさえ感じます。
ところでこちらの海老草の葉っぱ、
秋の初めの頃からこの状態のままです。
所によっては、
その葉っぱを真っ黒にしているのもありますのに。
見るも無残な姿。ここでも薔薇の美を思わずにはいられません。