


それは綺麗に艶出しした マホガニーの 丸テーブル で、 真ん中には花瓶に入れた薔薇が飾ってあり、 真っ白な レース の花瓶敷きがピカピカした テーブルの表面にしっとりとした感じで載っている。 (中略) 飲み残しの 珈琲カップ が3つ ―― ミルクなしが2つで、1つはミルクを入れてある。 3人の者は皆 葡萄酒 を飲んだらしく、 半分ほど入った瓶が、 真ん中の盛り皿の前に置いてある。(中略) 葉巻とシガレットの入ったべっ甲に銀の金具を 付けた箱が、開いたままテーブルに載っている。 【A.クリスティー 「イタリア貴族殺害事件」】 |

今日は雲1つない快晴の朝を迎えました。
こんな空では、いつものように “刹那の空” に
一喜一憂する事はありません。反面、一抹の淋しさも。
でも心配する事はありませんね。冬の空ですもの。
午前9時半頃には雲も。本当に降って湧いたような雲です。
と言っても目の前の空だけ。
振り返った西や北の空には、相変わらず何もありません。
~なんて。やはり相当、空に振り回されていますね。

【別角度から】
さて、「A.クリスティーの館」 も久し振りになってしまいました。
長編に飽きた時など、ちょっとした気分転換に短編はいいですね。
特に推理小説のそれは私にとって欠かせません。
そこには、短い中にもハッとするようなトリックが、
あちこちに、それこそ宝石のように散りばめられていて。
加えて、スピード感。
そんな所が、途中下車してしまう理由かも知れません。
尤も最近は、ほとんどと言っていいほど短編でお茶を濁している私ですが・・。
そんなこんなで。今日の短編も相変わらず 「ポアロ登場」 より 「イタリア貴族殺害事件」 を。
今回もポアロの “灰色の脳細胞” も冴え渡りますが、
ここでも下記のような料理が事件の伏線に。
そして上記の・・丸テーブルやレースといった、
さり気ない部屋の描写にも推理小説の枠を越えて惹かれます。
物騒な殺人事件ですが、視点を変えれば又楽し・・という事かも知れません。
それにしてもこの小説は勿論、ポアロ も ミス・マープル も飲むのは
珈琲ばかり。どうやらイギリス人は紅茶だけ飲んでいるのではなさそうですね。
そうそう今回の食事、 【前回】 と違い、毒の心配はありません。

どうぞ、安心してお召し上がり下さい。

【注 : 「ジュリエンヌ・スープ」 → 細かく刻んだ人参、葱等の澄ましスープ】