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【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

悠々自在の人生観

2012-01-26 17:45:28 | 心の宝石箱









―― あたしが学校から帰ると
いつでも火を燃やしといてくれます。
(中略)
中に硬木の薪を詰めますと、
薔薇色がかった赤い色に輝き、驚くべき熱を発散し、
どんなに心地良いかお分かりにならない程です。
あたしは今、ストーブの前に座り、
その小さな炉辺に足を載せ、
膝の上であなたへの手紙を書いております。
                  【「アンの幸福」 最初の1年4.】










   


   目覚まし時計がけたたましく鳴り響いた朝。
  又鳴り、止めて・・を繰り返して。

   今朝ばかりは暖かい所から出たくないばかりに、
  ぐずぐずしていたものです。

   それでもやっと抜け出し見た空は、
  こんな力強い日の出。

   起き抜けの階下の居間の気温は、10度。
  昨日と同じですのに、より寒さを感じます。

   午前9時頃までは燦々と輝いていた太陽も、その後は出たり入ったり。
  チラチラと風花も舞って。そうなりますと・・。
  今日は、ストーブの前から離れる事は出来ません。









芸術の世界においては、
世間とはまるで違う法則が行われている。
世評が高く、画が飛ぶように売れ、
戸締りしても、その戸締りをこじあけて
多くの金が飛び込んで来る村野が、
茅屋ぼうおくに住んで訪れる人もなく小さな貧しい画を
描いている小次郎にややもすると
嫉妬を感じるのだった。
そして小次郎自身、自分の方が
勝利を得て来た事を感じているのだ。
                    【武者小路実篤著 「暁」】


   



   さて、昨日に引き続き、今日も武者小路実篤です。
  今日は 「暁」 を。

   この作品が書かれたのは、昭和17年。
  戦争中ではありますが、まだまだ余裕のあった時期のようです。

   天才肌ではないけれど、1人でコツコツと腕を磨き、
  気に入った作品だけを精魂込めて描き上げる・・

   「馬鈴薯1つ描けたら立派な画家である」
  そんな60歳になる1人の画家の物語。

   従って売れる絵は描きませんから生活は至って貧しい・・という訳です。
  そんな彼が娘の冬子の幸せのために 一念発起し、初めての個展をする事に。

   ここでも親友村野と家族の温かい援助があった事は言うまでもありません。
  ついに100号という大作を描き、個展は大成功。
  めでたし、めでたし・・という小説です。
  
   今回は、精進すればやがては実を成し、
  花開くという物語ですから、気持ち良く読めました。

   でも氏の作品は、このような作品がほとんどで、
  「愛と死」 のような悲劇は特別のようですね。
  
   そう言えば、それさえも最後には人生を随分、
  前向きに捉えていましたっけ。
  こんな氏の人生観は、見習いたいものですね。

   ところで今回の小説。上記のように貧しい画家とあります。
  それでも、その貧しい画家の家の母子の会話には驚きます。美しい!







【「武者小路実篤著 「暁」】


   美しいと言えば・・。実家から母の愛読書、吉屋信子集を持ち帰りました。
  小学生の頃、少年少女文学全集で 「あの道、この道」 でしたっけ・・?
  彼女の本を読んで、いたく感動した事を思い出しました。

   こちらの本、何作か読んだのですが、今ではどれを読んだのかさえ忘れています。
  この中に 「女の友情」、「暴風雨の薔薇」 というのがあります。
  何だかロマンティック。次は、これにしようかしら・・?