【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

燃える天空

2010-08-27 15:15:25 | 四季のスケッチ
★黄昏の刹那★
10分間の空のショー
<ふと見上げた空<さっきまでの白い雲が・・<ピンクやオレンジ、紅色に染まり・・<あたかも絵の具を散らしたよう<僅か10分間の刹那の時>
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   ほんの少しだけ涼しくなった朝晩。
  わけても夏の黄昏の、薄暮の時間。
  そして夜空の美しい満月と、俄かに勢いを増した虫の声に “秋” を感じています。

   何の虫でしょう、これまで 「チ、チ、チッ・・」 と啼く虫が主流でしたが、
  昨夜は、「リ、リ、リン」、「ガチャ、ガチャ・・」、鈴虫と、くつわ虫の声も。
  特に入浴時は、虫の声を聴く絶好の機会なのです。

   とは言っても、今日も最高気温は36度。
  一向に終わらない夏に、いい加減うんざりです。

   さて、冒頭の写真。ふと見上げた空。
  夏の黄昏は、こんな空を用意してくれました。
  時間にすると僅か10分程度。まさに刹那の時間(とき)ですね。

   ところで季節や風景の描写と言えば・・。
  勿論、私の事ですから 『アンの世界』 (モンゴメリー) 中心です。
  
   今日は、先日からお伝えしていますように、
  やっと読み終えた三島由紀夫作、『豊饒の海~「春の雪」』(全4巻のⅠ) から。
  
   松枝(まつがえ)侯爵邸の鎌倉の別荘から眺めた、夏の空の描写です。
  三島文学の一端が窺えるのでは・・と思います。
  
   しかしながら、その別荘の大きさは1万坪と言いますから驚きます。
  新宿御苑くらいの大きさでしょうか・・。

 (中略)・・・掻き立てた凝乳のように沖にこごる積雲の、
 深いひだの奥にまで沈痛な光が当たっている。
 その光が、影を含んだ部分を彫り出して、
 それを嫌が上にも屈強に見せている。(中略)

 目を凝らしていれば少しも形を変えず、
 束の間他所へ目を移していれば、もう形が変わっている。
 雄々しい雲のたてがみが、
 いつの間にか寝乱れ髪のように乱れている。
 見つめている間は、放心したように、乱れたまま少しも動かない。

 (中略) わけても美しいのは夕映えだった。
 ここから見渡される雲のことごとくは、夕映えの刻限になると、
 自分がやがて染められる色が、くれないか、紫か、柑子こうじ色か、淡緑か、
 あらかじめ感じ取っているかのようだった。
 色付く前に、雲は必ず緊張の前に蒼ざめた。・・・・・
               三島由紀夫作 『豊饒の海~「春の雪」』