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ほんの少しだけ涼しくなった朝晩。
わけても夏の黄昏の、薄暮の時間。
そして夜空の美しい満月と、俄かに勢いを増した虫の声に “秋” を感じています。
何の虫でしょう、これまで 「チ、チ、チッ・・」 と啼く虫が主流でしたが、
昨夜は、「リ、リ、リン」、「ガチャ、ガチャ・・」、鈴虫と、くつわ虫の声も。
特に入浴時は、虫の声を聴く絶好の機会なのです。
とは言っても、今日も最高気温は36度。
一向に終わらない夏に、いい加減うんざりです。
さて、冒頭の写真。ふと見上げた空。
夏の黄昏は、こんな空を用意してくれました。
時間にすると僅か10分程度。まさに刹那の時間(とき)ですね。
ところで季節や風景の描写と言えば・・。
勿論、私の事ですから 『アンの世界』 (モンゴメリー) 中心です。
今日は、先日からお伝えしていますように、
やっと読み終えた三島由紀夫作、『豊饒の海~「春の雪」』(全4巻のⅠ) から。
松枝(まつがえ)侯爵邸の鎌倉の別荘から眺めた、夏の空の描写です。
三島文学の一端が窺えるのでは・・と思います。
しかしながら、その別荘の大きさは1万坪と言いますから驚きます。
新宿御苑くらいの大きさでしょうか・・。
(中略)・・・掻き立てた凝乳のように沖に凝る積雲の、 深い襞の奥にまで沈痛な光が当たっている。 その光が、影を含んだ部分を彫り出して、 それを嫌が上にも屈強に見せている。(中略) 目を凝らしていれば少しも形を変えず、 束の間他所へ目を移していれば、もう形が変わっている。 雄々しい雲の鬛が、 いつの間にか寝乱れ髪のように乱れている。 見つめている間は、放心したように、乱れたまま少しも動かない。 (中略) わけても美しいのは夕映えだった。 ここから見渡される雲のことごとくは、夕映えの刻限になると、 自分がやがて染められる色が、紅か、紫か、柑子色か、淡緑か、 あらかじめ感じ取っているかのようだった。 色付く前に、雲は必ず緊張の前に蒼ざめた。・・・・・ 三島由紀夫作 『豊饒の海~「春の雪」』 |
闇に包まれる前の空が、私は一番好きです。なぜか心にしみるのです。
三島由紀夫の黄昏の描写、うなりました。
本当に天才ですね。
続けてコメント、有り難う~。
それと素敵なタイトルも。
夏の終わりは、こんな空に出会う事があります。
暑さは、なかなか終わりませんが、季節は移ろっているのだと感じます。
三島由紀夫って、凄いですよね~!
良くも、かくも難しい熟語が次から次へと出て来るものだと・・。
今ではほとんど耳にしない言葉も・・。
でも、大層素敵な言葉なのです。
素敵な言葉なのに、廃れてしまうものあるのですね~。
三島由紀夫って、ホント、天才。
ご本人も、学習院から東大ですものね~!