読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

彼女は嘘をついている

2010年07月18日 23時54分38秒 | 司法・法曹
 
小泉 知樹さんの著書。
 
裁判員裁判の本を図書館で探してゐるときに、「司法」の棚でこの本を見つけた。
そのときは、小説かと思ひ借りた。
 
しかし、「はじめに」の一行目で絶句。
 
「私は刑務所のなかで、この本を書こうと決意した。」
 
え?
 
次に読み進むと、
「ひとつは、日本の警察や検察、裁判所には私を含めてごく普通の人間が想像している世界とはまったく違う不条理がまかり通っている現実を多くの人に知ってもらうために。」
さらに読み進むと、
「痴漢という言葉を聞いてどう感じるだろうか?
私は、絶対に許されない、憎むべき卑劣な犯罪行為だと思っている。
だが、まさか自分がその痴漢の犯人にしたてあげられるなんて・・・・・。」
 
・・・・・・ 絶句
 
痴漢の冤罪の被害者の「体験本」であつた・・・・・
 
痴漢の被害を訴えたのは、15歳の高校一年生。通学途中に何度か同ぢ犯人の痴漢に遭い、
けふこそ捕まえてやらうと、犯人の手をつかんで「痴漢です」と言つた。
 
この高校生の言葉をそのままに、警察は小泉さんを勾留するのである・・・・
 
警察・検察だけでなく、裁判所の裁判長の対応も絶句
 
最初から「有罪であらう」の前提で裁判をしてゐるやうな対応は、裁判員裁判入門書に
書かれてゐる「してはいけないこと」(憲法違反)である。
こんなことを、プロの法曹がやつてゐるのか (だからこそ、冤罪があるのだらうが)
 
直前に読んだ本は、裁判員裁判の導入が不備がありすぎると記述されてゐたが
この体験を読むと、「プロの法曹に不備がありすぎる」と思ふ。
 
プロの法曹だけの対応が問題ではなく
勿論、一番悪いのは「痴漢です」と痴漢被害と言ふうそをついた女だが・・・・

なりたくない人のための裁判員入門

2010年07月18日 19時36分31秒 | 司法・法曹
 
伊藤 真氏の著書。
伊藤氏は東京大学法学部卒、弁護士であられ公務員試験、司法試験、法科大学院、
法律資格試験などの受験指導を幅広く指導する「伊藤塾」塾長でもあられ、著書も多数です。
 
結論から申し上げますと、本書は「第五章 すでに激変している日本の裁判」の途中で
読むのを止めました。
 
理由は、伊藤氏と自分の見解の相違といふところでせうか?
読みながら疑問がいろいろ出てをりましたが、あと少しで止めました。
 
見解の相違の最大のポイントは、山口県光市の母子殺人事件の事件当時18歳の少年が
死刑判決を受けた著述のくだりで山口県光市母子殺人事件に死刑判決を出したことに対し
「死刑のハードルが下がつた」と記述してゐることでした。
 
「死刑のハードル」の意味がわかりません。
 
一人殺したのなら死刑ではない、2人以上殺したら死刑
 
と言ふ、意味不明の「基準」があるやうですがこの基準がわからない。
一人殺さうと、二人殺さうと、人の命を奪つてゐるのはおなぢである、とあたくしは思ふ。
 
なんで被害者の人数で死刑判決するか否かが影響するのか?
では、被告人が一人の場合の「死刑判決」
これは、死ぬのは一人である。被害者が一人の場合、おなぢ人数が死ぬだけである。
なのに、死刑の是非がある - 殺したのは二人ではないから死刑は適当でない。
 
意味がわからない。
 
ここまでは、著者とあたくしの考えの相違であるが
この本でも思つたのは、やはり
 
バカなマスゴミです。
 
マスゴミは、犯人逮捕の瞬間から犯人の素性や何やらを調べ、卒業してから何十年も経つてゐると思はれる「卒業アルバム」の写真などをこぢつけのやうに出し、いかにも見てゐたかのやうな「犯行のやうす」を再現VTR付きで放送します。
 
しかし
本書によると、それは「警察・検察の一方的な発表」であつて被告人の言ひ分が考慮されたものでは無いらしい
 
・・・・・・
 
マスゴミは、消滅しろよ
毎日毎日、一日うん十時間もおなぢネタを繰り返しタレ流しやがつて、その結果が「警察・検察の一方的な発表」とはだういふこと?
 
マスゴミは、もつと真剣に仕事しろ
 
これでは、裁判員裁判に影響が無いわけがない。
 
この本でわかつたことは
 
「右」「左」の偏つた思想の持ち主は裁判員聞き取り調査でハネられる
(しかし、偏つたプロの法曹がゐることは考慮されてゐない)
「死刑が取り返しのつかないこと」と繰り返されてゐるが、死刑だけでなく服役させられても
取り返しがつかないのに、そこが記述されてない
裁判員裁判を導入することにより、結局司法が何をしたかつたのか不明
 
違ふ人の裁判員裁判に関する本も読んでみやうと思ひます。

ブラツクペアン 1988

2010年07月17日 18時32分22秒 | 医療 (医療小説含)
 
海堂 尊氏の作品。
 
医学生として、医師国家試験を受験し結果を待ちながら研修を行なつてゐる
世良雅志を主人公とした、大学病院の物語。
 
世良が研修を受ける大学病院に講師として赴任する高階
元々ゐる、「手術職人」の渡海(とかい)医師
教授である佐伯
 
大学病院といふ、一種の「社会」のなかの世界が描かれる。
 
読者の心理は、研修を受ける世良雅史とダブルかもしれない。
しかし
医師の心理は?
 
こんなことに患者を巻き込むなよ
大学病院は、ほんたうにたまんないな~
と思ひながら読みましたが・・・ 
 
医師 
のやうな責任重大な仕事は早々ないし・・・・ 
 
なんとも言へない気持ちとなりました

裁判員 もうひとつの評議

2010年07月14日 19時58分46秒 | 司法・法曹
 
小杉 健治氏の作品。
 
本作品は、裁判員に選ばれた主人公とその裁判員たちが担当した事件により
裁判員となつた人たちの心を描く物語である。
 
主人公の堀川恭平は、裁判員として母娘殺人事件を担当することとなつた。
犯人とされた男性は、被害者宅から出てきたところを第一発見者とぶつかり逃げ去つた。
 
被疑者の男性は、自分が家を訪れたときに既に母娘は殺されてゐた、と主張するのだが
裁判員らの評議により男性は有罪となる。
しかし男性は拘置所内で自殺を図る。
 
主人公の堀川は、評議中より男性の無罪を感ぢてゐたが既に審理は終了し裁判長からは
「検察と弁護士の示したことを事実として判断してください」と要求される。
 
警察、検察と弁護士の公判前整理手続きが不十分であつたと思はれる事件なのに、
結審はやり直せないので判断をせよと迫られるやうすが描かれる。
 
ほんたうに、こんな経過であるなら(嘘ではないだらうが)冤罪が増えることの懸念は十分
頷ける。
また、裁判員として評議中に疑問を抱く人、抱かない人様々であらうが、自分たちが下した
判断により被疑者がその後自殺などを起こしたら誰だつていい気はしない。
 
裁判員裁判の是非はともかくとして、公判前整理手続きといふ警察・検察の捜査および
弁護人の調査が十分なされてから裁判とすべきではないか・・・・
 
また、悩んだ「裁判員」としての心のケアがあるやうに報道されてゐるが、実際はだうなのか。
 
裁判員裁判には批判が多いが、小説ではなく論評を読んでみやうと思つた。

年金の悲劇 老後の安心はなぜ消えたか

2010年07月14日 12時46分20秒 | 政治関連・評論・歴史・外交
岩瀬 達哉氏の著書。
「年金大崩壊」の続編であります。
年金大崩壊の感想は ↓ 

「年金大崩壊」を拝読した際にも思ひましたが、ほんたうに 厚生労働省 社会保険庁 といふのは最低です。
しかし、全員が最低ではなく、岩瀬氏の取材に応じて真実を述べてくださつた方々もいらつしやいますので「厚生労働省」「社会保険庁」と一緒くたにしてしまふのは間違つてゐる・・・・
 
しかし、これだけの「国民の年金」をムダにし、自分たちの私腹を肥やすことだけを念頭にして
「勤務」してゐたのは、だう考へても国民に対する詐欺行為であらう。
 
本書は最初に年金官僚のコンパニオン付き接待のやうすから始まります。
この取材に対して嘘を吐き、嘘がばれると 「よく覚えてません」 
 
かういふ嘘つきは、嘘の返答をした時点で詐欺罪適用をしてほしいものだ。
 
年金の問題が出てきて、前厚労省の舛添氏が外部の人も参加してもらつていろいろ見直しを
したが、実際何がだうなつたのかがイマイチわからない。
そこで、↓ を見た。
 
ここには、年金記録の処理不備に関する記述はあるが年金官僚らが「ムダに食いつぶした」
国民のための掛け金に対することは記載が無いやうである。
 
記録整備をしたところで、散散食いつぶした掛け金不足による年金の財源の対処はだうなつてゐるのであらう?
 
私腹を肥やしたやつから返還してもらふのか、未だに天下り先で掛け金をもらつてゐる奴がゐるのかが不明である。
てか
重要なのは、記録整備だけでなく「掛け金が国民への年金だけに使用されてゐる」ことをきちんと管理してゐるかだうかである。それに関する記述が無い。
 
厚生労働省、厚生労働大臣が何をだう考へてゐるのか
自分たちの年金は議員年金と共済年金だから、無駄に食いつぶされた国民年金と厚生年金の掛け金がいくら減ろうと関係ないと言ふつもりなのか
 
年金問題は、ここが重要だと思ふ。 

また、本書でなんどか出てくる年金官僚の「法の抜け穴」を通つての自分たちの資金稼ぎ。開き直りのやうに「法を改正すればいい」と返答する年金官僚たち。

立法は、国会議員の仕事である。
国会議員の「仕分け」も必要ではないか。悪法と言はれる法がたくさんあるはづだ。