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メディアの支配者

2010年07月05日 11時48分58秒 | 社会・報道・警察・教育
 
中川 一徳氏の著書。
中川氏は月刊「文芸春秋」記者として「事件の核心」「黒幕」などを執筆され
2000年に独立されたフリージャーナリストであられます。
本書が単行本第一作目ですが、新潮ドキュメント賞・講談社ノンフィクション賞をダブル
受賞されてゐます。
 
本書は、鹿内(しかない)家がフジサンケイグループの長でありましたが、鹿内信隆氏の
後継者になつた鹿内宏明氏に起きた、社内からのクーデターのことの顛末を描きます。
 
クーデターの場面が最初に出てきますが、回想のやうに信隆氏の時代、信隆氏の長男
春雄氏の時代、春雄氏の死去による宏明氏の後継と鹿内家の内部事情、フジサンケイグループの社内事情等々複雑に絡んだ事とともに、「異様な世界」が描かれます。
 
「異様」と思ふのは、あたくし個人の感ぢかたかもしれませんが、金、金、金そして趣味にあかせて収集した美術品、建設した美術館・・・・・・ これらの美術品に関連した政治的繋がりと住む世界が違ふとはこのこと。
世の中、こんなことになつてゐるのか・・・・と驚きました。
 
しかし、
中川氏も本書で度々ご指摘されてゐますが、「中立」のはづのメディアが、かのやうに政治家に繋がるやうでは、「権力の監視」など到底無理でありませう。