読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

裁判員 もうひとつの評議

2010年07月14日 19時58分46秒 | 司法・法曹
 
小杉 健治氏の作品。
 
本作品は、裁判員に選ばれた主人公とその裁判員たちが担当した事件により
裁判員となつた人たちの心を描く物語である。
 
主人公の堀川恭平は、裁判員として母娘殺人事件を担当することとなつた。
犯人とされた男性は、被害者宅から出てきたところを第一発見者とぶつかり逃げ去つた。
 
被疑者の男性は、自分が家を訪れたときに既に母娘は殺されてゐた、と主張するのだが
裁判員らの評議により男性は有罪となる。
しかし男性は拘置所内で自殺を図る。
 
主人公の堀川は、評議中より男性の無罪を感ぢてゐたが既に審理は終了し裁判長からは
「検察と弁護士の示したことを事実として判断してください」と要求される。
 
警察、検察と弁護士の公判前整理手続きが不十分であつたと思はれる事件なのに、
結審はやり直せないので判断をせよと迫られるやうすが描かれる。
 
ほんたうに、こんな経過であるなら(嘘ではないだらうが)冤罪が増えることの懸念は十分
頷ける。
また、裁判員として評議中に疑問を抱く人、抱かない人様々であらうが、自分たちが下した
判断により被疑者がその後自殺などを起こしたら誰だつていい気はしない。
 
裁判員裁判の是非はともかくとして、公判前整理手続きといふ警察・検察の捜査および
弁護人の調査が十分なされてから裁判とすべきではないか・・・・
 
また、悩んだ「裁判員」としての心のケアがあるやうに報道されてゐるが、実際はだうなのか。
 
裁判員裁判には批判が多いが、小説ではなく論評を読んでみやうと思つた。

年金の悲劇 老後の安心はなぜ消えたか

2010年07月14日 12時46分20秒 | 政治関連・評論・歴史・外交
岩瀬 達哉氏の著書。
「年金大崩壊」の続編であります。
年金大崩壊の感想は ↓ 

「年金大崩壊」を拝読した際にも思ひましたが、ほんたうに 厚生労働省 社会保険庁 といふのは最低です。
しかし、全員が最低ではなく、岩瀬氏の取材に応じて真実を述べてくださつた方々もいらつしやいますので「厚生労働省」「社会保険庁」と一緒くたにしてしまふのは間違つてゐる・・・・
 
しかし、これだけの「国民の年金」をムダにし、自分たちの私腹を肥やすことだけを念頭にして
「勤務」してゐたのは、だう考へても国民に対する詐欺行為であらう。
 
本書は最初に年金官僚のコンパニオン付き接待のやうすから始まります。
この取材に対して嘘を吐き、嘘がばれると 「よく覚えてません」 
 
かういふ嘘つきは、嘘の返答をした時点で詐欺罪適用をしてほしいものだ。
 
年金の問題が出てきて、前厚労省の舛添氏が外部の人も参加してもらつていろいろ見直しを
したが、実際何がだうなつたのかがイマイチわからない。
そこで、↓ を見た。
 
ここには、年金記録の処理不備に関する記述はあるが年金官僚らが「ムダに食いつぶした」
国民のための掛け金に対することは記載が無いやうである。
 
記録整備をしたところで、散散食いつぶした掛け金不足による年金の財源の対処はだうなつてゐるのであらう?
 
私腹を肥やしたやつから返還してもらふのか、未だに天下り先で掛け金をもらつてゐる奴がゐるのかが不明である。
てか
重要なのは、記録整備だけでなく「掛け金が国民への年金だけに使用されてゐる」ことをきちんと管理してゐるかだうかである。それに関する記述が無い。
 
厚生労働省、厚生労働大臣が何をだう考へてゐるのか
自分たちの年金は議員年金と共済年金だから、無駄に食いつぶされた国民年金と厚生年金の掛け金がいくら減ろうと関係ないと言ふつもりなのか
 
年金問題は、ここが重要だと思ふ。 

また、本書でなんどか出てくる年金官僚の「法の抜け穴」を通つての自分たちの資金稼ぎ。開き直りのやうに「法を改正すればいい」と返答する年金官僚たち。

立法は、国会議員の仕事である。
国会議員の「仕分け」も必要ではないか。悪法と言はれる法がたくさんあるはづだ。