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裁判官 人の命は権力で奪えるものか

2011年03月19日 15時15分25秒 | 司法・法曹

正木 ひろし氏の著書。

本書は昭和30年に発行されたが、本書発行のきつかけとなつたのは、昭和26年1月に山口県熊毛郡で起きた老夫婦惨殺の強盗殺人事件に関する被告人から「冤罪である」といふ手紙を昭和28年11月に受け取つたことに始まる。

一審、二審で死刑判決を受けた「主犯」の男性が実は全くの冤罪であり、無期懲役の刑を宣告された一人の真犯人の「犯人5人説」によるでッちあげにより、逮捕起訴されたといふ内容の手紙であつた。

正木氏はこの手紙の内容の真偽をはかりかね、「裁判の記録を拝見した上で引き受けるかだうか決める」と返答したところ、一審、二審の判決謄本が送付されてくる。これにより、正木氏はこの事件の裁判に関はることとなるのだが、本書はその判決文書と被疑者や証人の供述が記載され、正木氏の判決文書に対する意見がある。

この事件で起訴、有罪とされた「冤罪の4人」がだうなつたのかは不明なのだが(発行されたのが裁判継続中であつたため)、一人の嘘により周りが騙され減刑嘆願までし、裁判官や警察官の心象も真犯人に対してはよくなるのに、冤罪の4人に対しては不利になつて行く。

本書で書かれてゐる事件は、裁判官がいかに役に立つてゐないかを表したものであるが、現実今でもかのやうなことが起きてゐるのが恐ろしい。

それから、冤罪で被疑者とされた人の家族に「宗教」の人間が近づいてくるのは驚いた。宗教団体といふのが、こんな昔からあつたのか・・・・

裁判官といふ仕事に不向きな人は、罷免になつてほしい・・・・・・と思つた。



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