正木ひろし氏の著書。
本書は昭和43年発行されたもので、正木氏が担当した昭和19年に起きた警察官による取調べ時の拷問死の事件発生のいきさつかた裁判について記述されたもの。
正木氏は1896年東京生まれ。東京大学法学部を卒業し現両国高校などで英語の教鞭を取るかたわら、画家を志して絵を学んだこともある。始め民事事件弁護士として出発したが、本書のテエマである「首なし事件」を契機に刑事弁護士に転じた方である。
本書は、先に投稿した「足利事件」の佐藤博史弁護士により知つた。かなり古い本なので、佐藤氏の本を読まなければ知らなかつた。偶然23区の図書館にあつたので、借りることが出来た。 http://blog.goo.ne.jp/liebe-kdino-schumi/e/fa56a34ac3056aa9fa66e68e66448ab2
事件が戦前なので、現在の憲法に規定されてゐる被疑者の人権といふ考えはなく、憲兵(官憲)がすべてのやうな時代、お上にたてつくとは・・・といふ風潮の中の事件である。
さのやうな時代背景の事件なので、裁判も警察官の味方、証人も後が怖いので法廷で証言を翻す・・・といふ背景の中、正木氏は墓を掘り起こして問題の遺体から死因を突き止めるべく首を切断、東京に持ち帰り「ほんたうの死因」の鑑定を得ます。
しかし、この鑑定に対しても様々な「妨害」が出て、裁判で型がついたのは事件から12年後であつた。
時代背景は自分には想像もつかないことで、その中で孤軍奮闘し「真実」を求める正木氏の姿勢は言葉では表せないものがある。
が
マスゴミの姿勢は今も昔も変はらない・・・
「報道の自由」など今掲げても、内容は戦前と一緒だな・・・と思つた。そして、裁判所や検察庁、警察も変はりはないやうな印象を受ける。