読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

反転 闇社会の守護神と呼ばれて

2011年03月04日 15時06分23秒 | 司法・法曹

田中 森一氏の自伝とも言ふべき書。

田中氏は1943年長崎県平戸生まれ。岡山大学法文学部在学中に司法試験合格。71年検事任官。大阪地検などを経て東京地検特捜部で撚糸工蓮汚職、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。伝説の辣腕特捜検事として名を上げ、87年弁護士に転身。2000年、石橋産業事件をめぐる詐偽容疑で東京地検に逮捕、起訴され本書が発表された2007年時点では有罪判決を受け上告中であつたが、2008年刑が確定し受刑する。

本書を読んで様々な感想はあらうが、個人的には「天罰が下つたんだな」と思つた。何をだう間違へてしまつたのか、「嘘を吐きとおせ」とし悪人を無罪にさせるやうな裏工作を法を知つた立場にありながら続けたことに対する、天罰が下つただけであらう。

本書は序章から終章まで全十章からなるが、七章のあたりからイライラした。大体、自分が取り込まれてゐるのも気付かづに相手からの飲食接待をそのまま受け(自分ひとりで食事に行き、勘定をしやうとすると店の店長が勘定は受け取れない、++さんから自分が払ふと言はれてゐるからと聞き「感激した」とする時点で既に人間としてダメ)、裏工作や抜け道を教えるなど言語道断。

田中氏の事はさておき、本書には実名の自民党政治家らが登場し、いかに政治家と名乗る人物たちが「政治に金がかかるやうにし」「自分たちだけはなんとか納税その他を免れやうとし」「金を得やうと」する醜いサマが書いてある。 これを見ると、現在の政治家と名乗る人々、とりわけ「地盤鞄看板」を持つてゐるヤツラは「私たちは汚いカネで育つてきたのです」と世間に公表をしてゐるのだな、と言ふことがよくわかつた。

本書は一般的にはおよそ関はらないであらう、社会が見えるが「金金カネ」なんだな・・・といふ人間の薄汚い本質をよく描いてゐる。



最新の画像もっと見る