小杉 健治氏の作品。 2010年6月から10月に小説推理に連載の「垂れ込み」を改題。
刑務所から出所したばかりの金谷は、旅行に出かけると思しき女性宅に侵入する。三連休のなか、女性は思ひのほか早く帰つてきた。
一方、同じ日に警察を退職する藤浦の送別会が近隣で開かれてゐた。藤浦の送別会に出席した蓮見大吾は、愛人からの電話を宴会中に受け途中で抜け出し向かふこととする。蓮見は車で近くまで来てゐたが、帰りはタクシーを使ふつもりであつた。 悪しくもそのとき雨が降り始め、タクシー乗り場は長蛇の列。蓮見は飲酒運転を承知で自身の車で愛人宅へ向かふこととする。その途中で、蓮見は人を撥ねてしまふ・・・・
キヤリア、ノンキヤリアといふ「学歴の壁」の存在する警察の人間関係と身内への心情を描いた作品。しかし、実際に起きかねないと思ふものである。
つくづく思ふのは
真実を追究し、明らかにする勇気のある人がゐなければ、悪が横行するといふことだ・・・・