読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

イコン

2011年08月20日 19時06分25秒 | ミステリー・推理

今野 敏氏の作品。

湾岸署にゐた安積班が神南署に異動となつてからの活躍の物語。

原宿のライブハウスでアイドルのイベントが行なはれる。ここに本庁生活安全課の宇津木は部下の保科とともに監視してゐた。 イベントが始まつた後に、誰かがトイレツトペエパアを投げたことで客席でもみ合いが起こる。宇津木らが「警察」を名乗り暴動を止めたあと、床に少年が倒れてゐるのが発見される。少年はナイフで刺されてをり、病院へ搬送後に死亡した。

「アイドル」のイベントなのだが、このイベントには「当のアイドル本人」が現れない。彼女は「ネツト」で生まれたアイドルであり、ネツト上での書き込みに反応するが人前には出てきたことが無い「アイドル」であつた。 

安積を始めとした、「ネツト上」のでバアチヤルな世界になぢみのない捜査員たちは戸惑ふのだが・・・・

この作品の最初の文庫出版は98年。「パソコン通信」といふ、今はすたれた言葉が出てくるが、それ以外は今読んでも違和感が無い。逆に、今かういふのが現在だな、と思ふ。

ここに投稿するのは、今野氏特有の「人間」を描く部分がこの小説でも用いられてをり、印象深い場面があつたからだ。

安積は離婚してゐる。

宇津木は、離婚ギリギリのやうな家庭事情であり、息子・娘・妻も自分とほとんど口を利かず宇津木は自分が彼等から嫌われてゐると思つてゐる。 離婚するか否かには踏み切れない。帰宅しても誰も出てこない・・・ 

そんな宇津木が、「少年が夢中になる世界」の事件に関はることとなる。彼は、息子との会話を試みる・・・・

そのときの心情その他の描写がよひ。

事件解決への進行と、宇津木の複雑な家庭事情が進む・・・ そのいきさつがよひ。



最新の画像もっと見る