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世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

小渕優子経済産業相の不透明な政治資金について

2014-10-17 00:28:22 | 政治・行政

小渕優子経済産業相の不透明な政治資金について16日発売の週刊新潮、毎日新聞、朝日新聞が報じた支援団体に2000万円超の接待をした疑義があるという。安倍政権の女性が輝く社会の実現とやらで女性の入閣者が多かったが、松島みどり法務大臣の公選法違反疑義だけでなく小渕優子氏にまで疑義が浮上してしまった。無論、女性が輝く社会をぜひ実現してほしいと思うのの、安倍政権のやる気に冷や水を浴びせられた形だ。2006年頃の安倍政権が支持されなかった一つの原因は閣僚の不祥事が続いた事だ。また同じ事になるのだろうか?


日本人三人にノーベル物理学賞! - 2014年10月7日

2014-10-07 19:29:25 | 政治・行政

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇名城大教授(85)と天野浩名古屋大教授(54)、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)に授与すると発表した。[1]』

おめでとうございます。

参考
[1]時事通信 2014.10.7


自衛のための戦力と憲法について

2014-08-12 17:59:39 | 政治・行政

終戦の日が近く新聞では戦争関係の記事が多い。今年は憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認という大きな転換があった。詳しい法的説明は前に行ったのでそれを参考にしていただきたい。簡単にいうと憲法9条は一切の戦争、軍隊やそれに転化しうる戦力保持を禁止したもので集団的自衛権を行使できる戦力どころか現在の自衛隊ですら違憲という考えが通説だ。従来の政府の憲法解釈で自衛隊が合憲とされたのは、憲法13条で国民の生命等を守ることが必要とされ、そのための必要最小限度の戦力は許容されると解したからだ。集団的自衛権は日本国民の生命等が危機に晒されていないのに外国へ行って他国を守るために武力行使するため、最小限度の戦力を超え違憲と考えられてきた。憲法では外国やその国民を守る趣旨の条文はないので、政府の憲法解釈変更は違憲無効だと思うものの、このまま進んでいくのだろうか。最高裁判所が統治行為論で判断を避ける可能性があるので、このままかもしれない。

憲法に従った政治運営をするのは当然だが、最高裁判所裁判官は政治性を審査されず着任しているし、憲法ではそもそも提訴された具体的紛争を解決する範囲でしか違憲判断ができないので、積極的に憲法判断する仕組みはない。もし憲法に従った政治運営になるように改善する制度が必要なら憲法を改正して憲法裁判所のような機関を作るのが一つの方法だと思う。

前も述べたとおり、現行に日本国憲法は軍隊やそれに転化しうる戦力保持禁止、交戦権すら否定しているので、自衛のための軍事力が全く持てないので不都合だと思う。もし憲法の規定を忠実に守ったら日本は他国から攻められたときにほとんど抵抗できずほしいままにされるだけだろう。理想や正義だけ述べても力がなければ無力だ。またどんな時代でも国際状況は非常に複雑でいろいろな利害や思想が衝突しているだろう。全ての他国を信用するのは現実的でないだろう。

戦争は誰しも反対だが自衛の戦力は必要で、それを正しくコントロールする仕組みも合わせて作っていく必要がある。


集団的自衛権と憲法9条

2014-07-02 23:35:59 | 政治・行政

1日に従来の憲法解釈を変更し集団的自衛権行使容認の閣議決定がなされました。これで日本の安全保障は大きく転換し、国内で大きな関心を集めています。憲法9条に反するので反対、中国や北朝鮮の軍事力を背景にした活動を考えると集団的自衛権による抑止力は必要だという考え、いろいろあると思います。今回は従来の見解を含め、集団的自衛権と憲法9条の問題を論じたいと思います。

元々自衛権は独立国家なら当然に認められたもので、国連憲章51条で認められています。

「国連憲章51条

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」

砂川事件の最高裁判決でも憲法9条は主権国として認められる自衛権を否定するものではないと判示されました。しかし、日本政府は長い間集団的自衛権の行使は違憲とする立場をとってきました。

「日本国憲法9条

1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。     
2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。[4]」

「戦力」(憲法9条2項)を学説は軍隊及び有事の際にこれに転化しうる一切の実力部隊と解し、警察力を超えるものを戦力としています。戦力を戦争に役立つ可能性のある一切の潜在的能力と解すると例えば旅客用飛行機や港湾施設など通常全く軍事的に使っていないものまで戦力になってしまって範囲が広すぎるので警察力を基準に区別する考えです。この見解に従うと、なんと自衛隊は違憲です。自衛隊はミサイルや戦闘機など明らかに警察力を超える兵器を持っているからです。憲法学の通説では自衛隊は違憲なのです[1]。

政府見解はこれだと困りますから、「戦力」を自衛のための最小の戦う力を超える実力と考えています。憲法13条([2])で認められる国民の生命、自由等の権利を守るために自衛のための最小の戦う力は必要だという考えです。だから、個別的自衛権は合憲としても日本が攻撃を受けず国民の生命や自由等が脅かされていない時に日本と密接な関係のある他国への武力攻撃から他国を防衛するために他国で武力行使するのは憲法9条2項が否認する「戦力」に当たるので集団的自衛権は違憲であるというのが従来の政府見解です。政府はこれを30年以上守ってきました。なお、憲法学の通説では従来の政府見解よりもっと「戦力」の範囲が広いですから、集団的自衛権が認められないのは当然です。

今回は日本だけでなく密接な関係のある他国が危機にさらされて日本国民の生命、自由等の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に他国で武力行使するための実力は「戦力」に当たらないと解釈変更するようです。日本が攻撃されていないのに日本国民の生命、自由等の権利が根底から覆される明白な危険があると考えるのは違和感があるかもしれません。日本国憲法の中に他国の防衛が可能になる根拠条文がないので少し無理な解釈をしたかもしれませんが、今回はこのように憲法解釈が変更されました。

このように解釈変更された大きな理由は米国との連携、中国の脅威だと思います。中国が勢力を伸ばしたことで米国も軍事的に日本と協力して抑止に当たらねばならないし、尖閣諸島問題に代表されるような領土問題など中国の軍事力を背景とした進出を抑止したいという考えを日本政府も持っているわけです。集団的自衛権を行使できるように憲法解釈を変更することで中国や北朝鮮といった国の進出を抑止したいという考えがあります。

ただ、憲法学としては上で述べたとおり、憲法9条2項が否認する「戦力」の範囲が広いので集団的自衛権は違憲の可能性があります。日本は立憲民主主義ですから、立法、行政、司法も憲法に拘束され、憲法に反するすべての法律、政府の行為等は無効(憲法98条1項、[5])。安倍首相は政府が閣議で憲法解釈できる根拠を憲法65条「行政権は、内閣に属する。」という規定に求めていますが、行政の執行のために政府が憲法解釈できるとしても、憲法99条([3])で定められた憲法擁護義務に拘束されるので恣意的な解釈変更はできません。

単に上で述べた学説に従って考えた場合は、集団的自衛権の行使は違憲で、今回の憲法解釈変更も違憲解釈への変更のように思います。可及的に武力行使しないことで平和を維持するのが憲法9条の趣旨と考えて、憲法に基づく政治を実現するために活動する人たちはたくさんいると思います。日弁連は集団的自衛権行使のための憲法解釈変更は違憲で公式に反対し、日弁連会長は今回の政府の行動に抗議を表明しました

一方で、日本の安全保障や防衛等の問題は政治的な問題で原則国会や政府で判断するのが適切ではないかという考えもあります。憲法解釈の正当性を最終判断するのは最高裁判所です。しかし、日本の裁判官は民意からもっとも遠い選ばれ方をしています。アメリカのように最高裁判所裁判官の選任の際に政治的な考えをよく審査されたり、ドイツのように憲法裁判所を作った国ならともかく、日本の最高裁が政治的な問題に対して積極的に憲法判断するのは控えるべきだという考えがあります。砂川事件では高度な政治性の問題は一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かの法的判断はできないという、いわゆる統治行為論で日米安全保障条約の違憲判断を避けました。防衛のような高度に政治的な問題は司法判断になじまないものなので、ある程度国会や政府に憲法判断の裁量を与え、原則それに従うという考えもよいと思います。

集団的自衛権も今後裁判で合憲性が争われると思いますが、私はこのような問題は司法ではなく国民の議論を通して判断すべきものだと思います。学術ならば上のように憲法を解釈して集団的自衛権や自衛隊を違憲とするのはいいと思いますが、政治と学術の憲法判断は必ずしも同じであるべきではないと思います。例えば自衛隊は憲法学としては違憲としても、それを本当に採用したら日本は警察力しか持てず、ミサイルが飛んできても迎撃できないという理不尽な事になってしまいます。防衛のための軍事力を持たないで平和を維持していくのは絵空事です。戦争以外の問題では「大概の問題はコーヒー一杯飲んでいる間に心の中で解決するものだ。あとはそれを実行できるかどうかだ。」というのもいいと思いますが。

無論、軍事力に歯止めをかける制度は強く求められると思います。かつてのような自衛を口実にした侵略戦争が再び繰り返されてはなりません。我が国はかつての悪行を反省しこのようなことを絶対に繰り返してはいけません。今回の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認は集団的自衛権の歯止めをかけるための制度等がまだよくわかっておらず、今後国会の関連法案の審議などで議論されると思います。

どういう考えがいいのかは一人一人がこの問題について考え、自分なりの見解を持つことが大切だと思います。その意見をぜひ表明してみんなで議論していけば、よい制度ができると思います。

参考
[1]長沼ナイキ事件恵庭事件で自衛隊の憲法判断が争われました。長沼ナイキ事件の札幌地裁判決は自衛隊が憲法9条が禁ずる陸海空軍の戦力に該当するとして違憲としましたが、最高裁では憲法判断を避けました。恵庭事件も同様です。
[2]憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。
[3]憲法99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
[4]憲法9条1項は侵略戦争のみ放棄し、同2項は自衛戦争も放棄したと考えられています。一切の戦力と交戦権を否認し、文民条項(憲法66条2項)以外戦争を想定した規定がないからです。結局すべての戦争を放棄したと考えられています。自衛戦争は必ずしも自衛権と同じものではありません。
[5]憲法98条1項  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。


国公立大入試で2次の学力試験廃止 人物評価重視

2013-10-11 19:50:16 | 政治・行政

国公立大入試:2次の学力試験廃止 人物評価重視に

毎日新聞 2013年10月11日 07時00分(最終更新 10月11日 09時33分)

政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次試験から「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」を原則廃止する方向で検討することが分かった。同会議の大学入試改革原案では、1次試験で大学入試センター試験を基にした新テストを創設。結果を点数グループでランク分けして学力水準の目安とする考えだ。2次試験からペーパー試験を廃し、面接など「人物評価」を重視することで、各大学に抜本的な入試改革を強く促す狙いがある。実行する大学には補助金などで財政支援する方針だ。

 同会議のメンバーである下村博文文部科学相が、毎日新聞の単独インタビューで明らかにした。

 同会議は「知識偏重」と批判される現在の入試を見直し、センター試験を衣替えした複数回受験可能な新しい大学入学試験と、高校在学中に基礎学力を測る到達度試験の二つの新テストを創設し、大規模な教育改革を進めようとしている。11日の会合から、本格的な議論に入る。

 下村文科相は「学力一辺倒の一発勝負、1点差勝負の試験を変える時だ」とし、新テスト創設の必要性を強調。さらに、大学ごとに実施する2次試験について「大学の判断だが(同会議では)2回もペーパーテストをしないで済むよう考えたい」「暗記・記憶中心の入試を2回も課す必要はない」と述べた。

 私立大も新テストを活用するのであれば、同様の対応を求める方針だ。

 同会議の改革原案では、各大学がアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に基づき多面的・総合的に判断する入試を行うよう求めている。だが、面接や論文、課外活動の評価を重視する新しい2次試験では、従来のペーパー試験に比べ、人手など膨大なコストが発生する。下村文科相は「改革を進める大学には、補助金などでバックアップしたい」と述べ、国が費用面で支援する考えを示した。【福田隆、三木陽介】

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本当にこんなのやるのか?


女と男、STAP騒動から考えた 隠れた意識が働くとき

2013-02-28 23:53:50 | 政治・行政

岩本美帆、編集委員・高橋真理子 朝日新聞 2014年7月9日12時11分

今年1月28日、神戸市の理化学研究所。無機質な設備が並ぶ場所での記者会見は、普段と全く違う華やかな雰囲気に包まれていた。

 カメラの前にいるのは、小保方晴子氏(30)。アイラインを強調したフルメークに巻き髪、指にはゴールドの大きな指輪。いやが応でも目をひく、とそこにいた記者は感じた。

 彼女が立ち上がると、ひざ上丈のフレアスカートがふわりと揺れ、フラッシュが一斉にたかれた。歴史に残る大発見をしたのは「若くてかわいらしい女性」だった――。

 一連のSTAP細胞問題は、ワイドショーも連日取り上げ、みんなの関心の的になった。なぜあれほど人々をひきつけたのだろう。

 STAP細胞の真偽のせいばかりではない。彼女個人に対する関心が非常に高かった。それは誰の心にも眠る「意識の底にあるもの」のためではないか。

 人は時に性別や年齢、容姿といった属性だけで判断を左右してしまう。あるいは利用し、消費する。眠っているときもあれば、表に顔を出すときもある。人々の思考に大きな影響を与えている。

 最近では、都議会や国会でのヤジ騒動もあった。問題となったヤジは明らかな偏見だ。普段は口に出して言わないものが、不規則な形で表出した。

 「女が生きる 男が生きる」というこのシリーズを始めるにあたって、この「隠れた意識」に向き合いたい。それを自覚することが、誰もが生きやすい社会を実現する最初の一歩になるかもしれないと考えるからだ。

 まずは、STAPフィーバーを見た女性科学者の話から始める。(岩本美帆、編集委員・高橋真理子)

■女性のリーダー、なぜ少ない

 STAP報道を見て、名古屋大学大学院生命理学専攻の佐々木成江准教授は「ようやく女性研究者の活躍が目に見える形で出た」と喜んだ。同じ専攻に4人の女性研究者がいる。報道後、地元テレビから「理系女子(リケジョ)の活躍を取材したい」と依頼された。

 森郁恵教授は即座に応じた。「女性研究者で脳研究拠点を作る計画があり、リケジョブームを利用しようという気持ちがあった」と正直に打ち明ける。

 取材を受けた森さんと佐々木さんはカメラの前で「画期的な成果」と褒めちぎった。論文不正が明らかになると、2人は「科学者として反省しています」。

 このせいばかりでなく、番組はいささか後味の悪いものになった。子育てと両立する大変さがことさら強調されていたからだ。

 10歳の娘がいる佐々木さんは「こうやって、女性が社会進出できない理由が子育て問題に落とし込まれる。(組織の意思決定をする)幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」と嘆く。

 森さんは番組で「結婚も出産もせずにきた」ことがクローズアップされた。1998年に名大助教授になり、2004年に教授に昇格した。「紅一点」状態が変わったのは07年。女性を増やすという国の方針もあり、名大が「女性に限る」公募を始めてからだ。

 体内時計研究で朝日賞を受けた近藤孝男・名大特任教授は「通常の公募の時は低かった応募女性の研究レベルが、女性限定にしたらガンと上がった」。

 なぜだろう。公募に応じ、11年に36歳で教授になった上川内あづささんは「『女性のみ』という条件は、応募する気持ちを後押ししてくれた。その条件があることで、自分を候補として認識したと思う。それがなければ、公募情報を見過ごしていたかもしれない」という。これまでの男性中心の採用状況から「応募しても無駄」と、挑戦する前にあきらめてしまう女性が少なくないことをうかがわせるエピソードだ。

 日本の女性研究者比率は14%。米国の34・3%の半分にも満たない。准教授、教授となるにつれて女性比率は下がる。名大でも女性教授は47人、7・2%だ。

 92年に理系で初の東大教授となった黒田玲子東京理科大教授は、昔は露骨な差別があったと言う。「公募で東大助教授に選ばれた時は、女に男の学生を教えられるのかと言われた」

 今はそんなことを誰も言わない。だが、女性リーダーは少ない。女性限定の公募が必要なのは、日本がまだ過渡期にあるからだ。

■ずさんな採用、差別と同根

 STAP細胞の研究不正を検証した、外部の有識者でつくる改革委員会(岸輝雄委員長)は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方晴子氏の採用を「信じ難い杜撰(ずさん)さ」と指摘した。

 過去の論文を精査しないなどさまざまな手続きを省略、人事委員会の面接だけで内定したからだ。改革委のメンバーの一人は「理研から見せてもらった書類を総合すると、間違いなく普通ではない人事のやり方がなされたと言える」。

 人事の焦点が、STAP細胞という大発見の可能性にあったのはもちろんだ。しかし採用に加え、その後の論文のチェックの甘さなどには、彼女の年齢や容姿が影響した、と複数の委員は見る。「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない。若さやかわいさが大きな要因になっていた」。ある委員は語った。

 CDBには高橋政代氏ら女性の研究室主宰者(PI)が6人いる。32人中19%を占めるが、採用担当の人事委員会の委員7人は全員男性だ。2012年のPI公募で、47人の応募者からの採用は女性2人、男性3人。採用審査には通常賛否両論が出るが、小保方氏の場合は全員が賛成した。

 採用側に女性がいたら? ある委員は「女性、たとえば高橋(政代)さんらがいたら(採用段階で問題点を)見抜けたかもしれない」という。当の高橋氏は「かわいい小保方さんじゃなかったら、ずいぶん経過は変わっていただろう」と4日の記者会見で語った。

 改革委の岸委員長は、調査を通じ「男性が女性をフェアに扱っていないと感じた」という。自分自身の研究生活でも、女性の同僚はほとんどいなかった。今回の改革委には2人の女性がいたが、「2人は、審査なしで採用するのは女性を侮辱していると、男性たちに怒っていた」と話す。女性の登用を増やす措置は必要だが、ずさんな審査での特別扱いは別だ。「隠れた意識」はここでは、特別扱いに形を変えた。差別と同根と言えるかもしれない。

 委員の市川家國信州大学特任教授はこう言った。「振り返ってみれば、女性を対等に扱わない日本の文化が、一連の経過のすべてに表れたようにも見える」

■人物像の報道、どこまで必要

 今年5月。予備校講師の林修氏がキャスターの番組に、朝日新聞のデスクが出演した。林氏はSTAP騒動の報道について「すごいニュースだが、かっぽう着などは不必要な報道だったのでは?」と質問した。

 報道を振り返る。STAP細胞発見を知らせる1月30日の新聞では、全国紙すべてが理研が公開した研究室での、小保方氏のかっぽう着姿の写真を載せた。

 科学というとっつきにくい分野に読者に関心をもってもらうため、人物に焦点をあてるのは工夫の一つだ。翌日からはテレビ、週刊誌をはじめ、STAP細胞そのものより、小保方氏自身や人物に焦点を当てた記事や番組も増えていく。

 捏造(ねつぞう)疑惑が持ち上がり、小保方氏が開いた4月9日の記者会見を報じた記事で、新聞各紙は写真を大きく扱った。9日の夕刊最終版は各紙すべてが1面に潤んだ目でマイクを持つ小保方氏のアップ写真を掲載。多くのテレビ局が小保方氏の会見を生中継した。

 朝日も地方に配達する10日付の朝刊の締め切りの早い版(東京本社発行)では、社会面トップ記事に彼女のさまざまな表情を追った4枚の写真を据えた。しかし、社会部の女性記者(31)は「これって男目線じゃないですか」と再考を求めた。様々な世代の男性からも異議が上がった。

 一方で、2時間半の会見では、最大の当事者である彼女がどのような表情をするのかも注目された。それを伝えるのは新聞の役割で、止めるのは変な抑制という議論もあった。結局、東京本社では小保方氏の姿を遠景で撮った写真1枚に差し替えた。

     ◇

■活躍する女性への思い込み

 《武田徹・恵泉女学園大教授(メディア論)の話》 一般に先端科学は報道で伝えるのが難しい分野だ。図解しても、直感的にわかりにくい。科学者の人となりを紹介して興味を持ってもらうやり方はある。iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大学教授の時も、「マラソンが趣味」といった報道があった。

だから、当初、小保方さんの人となりの報道に重点が置かれたことは仕方がない面もある。メディアは「読者はこれだったら見てくれるだろう」というものを報道する。実際、閲読ランキングでもそういう記事が上位になる。

 しかし、小保方氏の顔や容姿の写真が大きく何枚も報じられ続けたのはやはり異例だった。それは「若い女性」が科学技術の世界にいて、ああいう成果を出すことが意外に感じる。そういう文化に私たちが生きているからだ。こんな若い女性が、こんな発見をするはずがない。最先端を競う科学の世界に「女子力」を強調するような人がいるのは意外だ――。そう思い込んでいるからだ。意外さが興味を引くと考えてメディアはそれを強調した。

 本当は意外でも何でもない。根拠のない思い込みだ。戦後の日本では、仕事を持つ女性が増えるなか、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた。小保方氏はそのイメージから外れていたから意外に思われたのだ。イメージ作りでは、マスメディアもいわば一蓮托生(いちれんたくしょう)の共犯関係で、相当気をつけないと、その文化に乗っかって報道してしまう。(聞き手・伊東和貴)

     ◇

■「隠れた意識」に向き合いたい:担当デスク・秋山訓子

 2月2日の朝日新聞3面(東京本社版)「キスでお目覚め『お姫様細胞』」。STAP細胞の作り方を説明した小保方氏自身の言葉に着目したものです。紙面内容を決めるデスク会に出ていた私は、若くてかわいい女性だからこその取り上げ方のように感じました。が、口にしませんでした。

 私の所属は政治部、男性中心の職場です。東京本社も、デスク会に出席する女性は1割未満。言っても無駄と最初からあきらめていたからです。心にずっとそれがひっかかっていました。

 今回、「隠れた意識」をテーマにしました。社内にもいろいろな意見があります。この問題はそう単純ではありません。だからこそ取り上げることにしました。これから年間を通じて、女性男性を通じたさまざまな視点から、社会を切り取っていきます。


毎日新聞2014年3月19日

2013-02-28 00:17:57 | 政治・行政

特集ワイド:巨額研究費、理研が落ちた「わな」 予算の9割が税金 iPS細胞に対抗、再生医療ムラの覇権争い

「科学者の楽園」と呼ばれる理化学研究所(理研)は税金で運営される独立行政法人だ。新たな万能細胞「STAP細胞(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞)」の研究不正疑惑が理研を激しく揺さぶっている。カネの使われ方から問題の背景を読み解く。【浦松丈二】

 寺田寅彦、湯川秀樹、朝永振一郎……。日本を代表する科学者が在籍した理研は日本唯一の自然科学の総合研究所だ。全国に8主要拠点を持ち職員約3400人。2013年度の当初予算844億円は人口20万人程度の都市の財政規模に匹敵、その90%以上が税金で賄われている。

 予算の3分の2を占めるのが、理研の裁量で比較的自由に使える「運営費交付金」。STAP細胞の研究拠点である神戸市の理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)には年間30億円が配分される。研究不正の疑いがもたれている小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーは5年契約で、給与とは別に総額1億円の研究予算が与えられている。

 英科学誌「ネイチャー」に掲載されたSTAP細胞論文の共著者、笹井芳樹CDB副センター長は、疑惑が大きく報じられる前の毎日新聞のインタビューで「日本の独自性を示すには、才能を見抜く目利きと、若手が勝負できる自由度の高い研究環境が必要」と語り、この10年で半減されたものの運営費交付金がSTAP細胞研究に「役立った」としている。理研関係者によると、小保方さんに「自由度の高い」研究室を持たせ、大がかりな成果発表を主導したのは笹井さんだった。

 「万能細胞を使った再生医療分野には巨額の政府予算が投下されている。そのカネを牛耳る“再生医療ムラ”内には激しい予算獲得競争、覇権争いがある」と指摘するのは近畿大学講師の榎木英介医師だ。学閥など医療界の裏を暴いた「医者ムラの真実」の著書がある。失われた人間の器官や組織を再生することでドナー不足や合併症などの解消が期待される再生医療分野に対し、政府は13年度から10年間で1100億円を支援することを決めている。

 榎木さんは言う。「現在、政府予算の大半がiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究に回されています。顕微鏡1台が数百万円、マウス1匹でも数千円から特殊なものでは万単位になる。予算が獲得できなければ研究でも後れを取ってしまう。追いかける側の理研の発表では、山中伸弥京都大教授が生み出したiPS細胞に対するSTAP細胞の優位性が強調され、ピンク色に壁を塗った小保方さんのユニークな研究室内をメディアに公開するなど、主導権を取り戻そうとする理研の並々ならぬ意欲を感じた」

 笹井さんはマウスのES細胞(胚性幹細胞)から網膜全体を作ることに成功した再生医療分野の著名な研究者。榎木さんは「山中教授がiPS細胞を開発するまでは、笹井氏が間違いなくスター研究者だった」と言う。だが、iPS細胞が実用化に近づいたことで、笹井さんら“非iPS系”研究者の間では「埋没してしまうのでは」との危機感が高まっていたといわれる。

 「こうした競争意識が理研の“勇み足”を招いたのではないか」(榎木さん)

 霞が関でも研究予算を巡ってのせめぎ合いが繰り広げられている。「民主党政権時代がそうだったが、本来の『国立研究所』は不必要だ、第1級(の研究レベル)でなくても2級3級でいいというのであればそれまでだ。しかし、必要だというなら現在の独立行政法人制度では全く不十分だ。手をこまねいていては欧米の一流研究所を超えることはなく、躍進する中国の国営研究所に一挙に追い抜かれるだろう」。昨年10月23日、中央合同庁舎4号館の会議室でノーベル化学賞受賞者の野依良治・理研理事長が熱弁をふるった。世界に肩を並べる研究開発法人創設についての有識者懇談会で意見を求められたのだ。トップレベルの研究者に高額の報酬を支払えるようにしたい、それには法律で給与などを細かく定められた独立行政法人の枠組みから出なければ−−との訴えだ。

 実際、米ハーバード大学など一流大学の教授年収は約2000万円。世界トップレベルの研究者で5000万円を超えることは珍しくない。一方、理研の常勤研究者の平均年収は約940万円。これでは優秀な頭脳が海外に流出したとしても責められまい。

 「科学者に科学者の管理ができるのか」。財務省関係者からはそう不安視する声が聞かれたが、理研関連の来年度予算編成が大詰めを迎えた1月末、理研はSTAP細胞論文を発表。政府は早速、理研を「特定国立研究開発法人」の指定候補にすることを発表し、野依理事長の訴えは実りかけた。ところが、論文に画像の使い回しや他論文からの無断転載が相次いで見つかり、政府は閣議決定するまでの間、理研の対応を見極める方針だ。指定の「追い風」として期待されたSTAP細胞は逆に足かせになってしまったのだ。

 有識者懇談会委員の角南(すなみ)篤・政策研究大学院大学准教授は「チェック体制は制度改革の論点の一つで、そこがクリアできないなら理研の新法人指定は簡単ではない」と言う。「研究不正疑惑はいつでもどこでも起き得る問題だが、この時期に新制度の旗振り役である理研で起きてしまったことが、科学技術振興を成長戦略の柱と位置付ける政権の推進力に悪影響を及ぼさないことを願いたい」

 「科学史上有名な捏造(ねつぞう)事件であるシェーン事件と構図が似ている」と指摘するのはサイエンスライターの片瀬久美子さんだ。ノーベル賞学者を多数輩出した米国のベル研究所で02年に発覚したヤン・ヘンドリック・シェーン氏の論文捏造事件である。「シェーン氏の上司や共著者、科学誌の査読(審査)担当者たちは、外部から論文に使用された実験グラフの使い回しを指摘されるまで捏造を疑わなかった。親会社の経営難で研究費や人員の削減が行われており、優れた研究成果を出し存在意義をアピールするために『スター研究者』の登場が研究所の幹部から強く望まれていたことが、内部での不正のチェックを甘くした原因だと指摘されている。事件後、共著者の責任や査読の限界が指摘されるようになったが、今回のケースでは過去の教訓が生かされていなかったと思う」。片瀬さんは後手後手に回る理研を批判する。事件から6年後、親会社はベル研での基礎物理研究を打ち切った。

 過去の教訓から理研は学ぶことができるか。「楽園」の科学者たちに厳しい視線が注がれている。

毎日新聞 2014年03月19日 東京夕刊


6・3・3・4制の見直し

2013-01-25 00:10:53 | 政治・行政

現在文科省で6・3・3・4制の見直しが検討されている。現在、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年だが、これがどう変るのか。どういう案が出されているのかわからない。

戦前は小学校6年、中学校4年又は5年、高校3年、大学3年という制度だったが、昔に逆戻りするような制度になるのだろうか。思えば、中高一貫校の需要があって私立だけでなく公立まで中高一貫校が登場した。おおざっばな言い方だが、昔の中学校は今の中高一貫校に近い教育内容だったろうから、昔の中学校の復活のようなこともあるかもしれない。

義務教育をどこまでやるのかという点もおそらく議論されていて現行の中学まででなく、高校までにすべきだとかいろいろ意見がある。所得の高い家庭や学力が高い人は義務教育は小学校まででよいと思う人がいるかしれない。授業を邪魔する連中とは別の学校で学んだ方が有利だと思うからかもしれない。

一方で低所得者、低学力の人は義務教育は高校までと考えるかもしれない。できるだけ無償で学べた方がいいし、教育困難校で学ぶより現在の公立小中のように平均的学力の学校で学んだ方が有利だと思うからかもしれない。

前者はどことなく資本主義的、後者は共産主義的だ。

私はあまり教育制度について深く考えたことはないけれど、みなさんはどういう制度がいいと思いますか?


民主党がだめだから自民党に投票・支持という消極的な選択はやめるべきだ!

2012-04-23 00:01:00 | 政治・行政

今の世論を見ていると民主党がだめだから自民党に投票する、支持するという意見を見る。そういう消極的な選択ではだめだと思う。2009年になぜ自民党から民主党に政権が移ったか思い出すべきだ。官僚政治とか弱者切捨てとかそういう自民党政治の悪さを変えたいと思ったからではないか。ここでまた民主党がだめだから自民党政権に戻すといったような消極的な選択で政権交代したらまた元の悪い政治になってしまう。

もっとよく考えて投票し、既存政党がだめならよい政党を自分達で積極的に作ってでも国民が求める政治を実現できるようでないとだめだ。


結局ねじれ国会では政権運営はうまくいかないのか?

2011-12-13 00:20:04 | 政治・行政

野田政権の支持率は下がっている。これでも今までの民主党政権の支持率に比べればよい方だと思う。結局衆議院と参議院で与野党の勢力が逆転しているねじれ国会の現状ではどんな政権だろうと政権運営がうまくいかず支持率は高くならないのかもしれない。

もっとも、今は民主党に対する失望や批判から誰が首相をやっても同じかもしれない。結局、次の政権交代まで誰が首相をやっても支持率は上がらない。でも、また自民党政権に戻ったら官僚の天下りとか旧体質の政権運営になるんだろうな。それが嫌だから政権交代したのにこれでは意味ないではないか。

いい政治家や政党ができないものか。