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鹿内利治(Toshiharu Shikanai、責任著者)京都大学理学研究科生物科学専攻植物学教室らの論文に捏造、改ざんの疑いでPLOS BIOLOGY誌が懸念表明を出した。筆頭著者と責任著者はともに京大植物学教室。筆頭著者は2008年時点で研究員だったようだ。
疑義論文、
PLoS Biol. 2011 Apr; 9(4): e1001040.
懸念表明、
PLoS Biol. 2020 Oct; 18(10): e3000972.
PLoS Biol. 2011 Apr; 9(4): e1001040. 、リンク先、
懸念表明で指摘されたものの一部を上に示した。加工は明らかだ。あからさまに捏造、改ざんをやってしまったケースはこれまでもいくつかあった。
OB事件(大阪大学、国立環境研究所)では小学生レベルの非常に簡単な確認と計算で削減率の正当性を確認できるのに、確認後削減率が間違っていたと意図的に虚偽記載して、嘘の情報に基づいた分析結果に全面的に変更し、結論・主旨さえ書き換える大量訂正を行った。大量訂正は原著論文の極めて悪質な捏造の隠蔽の疑いがある。
京大は再生研事件でも通報を握り潰し、隠蔽した。責任著者は今年になって捏造を認めて一部の論文を自主撤回。
他にも日本糖尿病学会理事長の事件や東大医科学研究所事件など明らかな捏造、改ざん事件があった。このような明らかな捏造、改ざんも必ず調査して研究不正の認定と懲戒処分を行う必要がある。
京大や他の研究機関は必ず調査してほしい。
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(2020年11月29日追記)
私の情報提供を受けてマスコミが報道。
読売、共同、京都新聞(Yahoo Japanのトップでも紹介)、沖縄タイムス(共同からの配信)
読売と京都新聞の報道によると責任著者は改ざんを認めた。筆頭著者であった中国人研究者が実行者だと考えられる[1][2]。2015年頃に学術誌から疑義の指摘を受けていた事も判明[1][2]。論文は2011年発表だから、これでは生データ等の不存在で弁明できない。
責任著者は結論は変わらないので論文を撤回しないと表明[2]。大量訂正するつもりか?出版倫理委員会の基準では訂正はわずかに間違っていた場合に行うのが基本で、大量訂正するのは不適切。このような場合は一度撤回して再投稿する必要がある。なお、結論が間違っていたら撤回するのは当然で通常は誰からも異論が出ないが、間違っていた結論さえ書き換える非常に悪質な大量訂正もわずかに存在する。これは出版規範違反。しかも捏造隠蔽の大量訂正は極めて悪質。
京大植物学教室の疑義は2020年1月3日にエリザベス・ビク氏もPubPeerで指摘したが最初の指摘は学術誌のようだ[1][2]。
私は2020年11月25日に京大に通報したが、握り潰し、隠蔽されないか心配している。学術誌が明確な根拠で懸念表明し、責任著者も改ざんを認めたのだから京大は研究倫理上必ず調査する義務がある[2]。過去に京大は学術誌が捏造を認めて大量に強制撤回した事件を私が2016年に通報したのに、握り潰し、隠蔽を行った。4年以上経過したのに何も発表がない。責任著者は当初無視を続け悪質だったが、学界からの批判が強くなったのか今年になって一部の論文を自主撤回した。しかし、京大は何も対応せず握り潰し、隠蔽。筆頭著者が外国人で日本にいないという点も共通しており、再生研の前例を考えれば植物学教室の改ざんに対する通報も握り潰し、隠蔽は十分考えられる。論文発表から5年以内に学術誌からの通報を受けたのだから、生データ等の不存在で不正を認めない事は理由にならないし、責任著者は改ざんを認めたのだから京大は必ず調査する義務がある。
それにしても今回は調査や執筆、情報提供を行って研究公正等に貢献できたかも。私の情報提供後にすぐに報道された。名大有機化学研の事件と2件情報提供して、2件とも2日くらいで報道されたのははじめてかも。私が情報提供した事件がYahoo Japanのトップでも紹介。これも久しぶり。読売と京都新聞の取材報道が一番の貢献で御助力に感謝しているが、情報提供を通じて責任著者が改ざんを認め、筆頭著者が実行犯の可能性が高いという新しい事実の発見に繋がり、事件解決が前進、研究公正に貢献できた。やっぱマスコミさんの取材と報道力はすごい!私だけではここまでできなかった。御助力に感謝。研究公正に貢献できたのでマスコミに情報提供して良かった。
この事件は約5年前に学術誌から通報を受けたのに先月まで何も動きがなかったのは遅すぎる。エリザベス・ビク氏が今年の1月3日に指摘してもしばらくは動き出さなかった。それが私の通報と情報提供後2日で各紙が報道し、責任著者が改ざんを認めた事が公になったのだから、日本の問題は日本の研究機関とマスコミに通知しないと動き出さないという事かもしれない。私みたいな情報の媒介役も研究公正では重要かもしれない。他にもやってくれる人がいるともっと研究公正が発展すると思います。
参考
[1]読売新聞 2020.11.27
[2]京都新聞 2020.11.27
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(2022年6月24日追記)
5報の論文、11の図で捏造、改ざんが認定。Lianwei Peng(筆頭著者、2022年6月24日時点で43歳)元京大研究員の単独犯、鹿内利治(Toshiharu Shikanai、責任著者、2022年6月24日時点で62歳)は最終確認を怠った等、 内容に責任を負う者として認定。4報の論文に撤回勧告、1論文で訂正。懸念表明を出されたPLoS Biol. の論文も撤回勧告。
私の通報で調査され、捏造、改ざんが認定され撤回勧告された。
通報文
京大の公表、トップ(写し)、調査概要(写し1、写し2)、資料(写し1、写し2)、大学のトップページ(写し1、写し2)、本ブログの報道、
愛知学院大学が追加調査で20報の論文捏造と不適切なオーサーシップを認定した。重大な責任がある尾関伸明元歯学部講師と茂木眞希雄薬学部准教授の氏名が公表された。この件は2018年に一度捏造が認定され、つい先日リトラクションウォッチが19報目の論文撤回を報じた。
調査結果によると2013~2017年に発表された20報の論文を追加調査して、全てで捏造と不適切なオーサーシップが認定された。原因は研究倫理の関する認識の欠如など。
不正行為者は常態的かつ長期的に捏造を繰り返していた。元歯学部講師は追加調査委員会からの複数回の調査依頼に対して無回答だった。辞めてしまった後だと調査に協力しない事が多く、調査が難航する事がある。
東大医科学研事件では筆頭著者が辞めて逃げてしまって本調査結果は未だに出ていない。打ち切られたのかもしれない。
岡川梓・伴金美事件(大阪大学、国立環境研究所)では筆頭著者がだんまりを決め込んでいるようだ。この事件は阪大・国循事件と同じく不正な大量訂正があった。阪大・国循事件は現在調査中で筆頭著者が懲戒解雇相当となっているので、調査に協力せず難航しないか心配している。
岡川梓・伴金美事件(阪大・国環研)、阪大・国循事件、愛知学院大事件は長期かつ常態的研究不正事件で、研究不正事件ではこのように長期かつ常態的に研究不正をやってしまっているケースもよくある。愛知学院大事件は岡川梓・伴金美事件(阪大・国環研)、阪大・国循事件のように大量訂正で隠蔽するという恥の上塗りがないだけましだ。
再発防止に努めて頂きたい。
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(2020年11月21日追記)
本ブログの情報提供後に報道。
日経(共同通信からの配信)、中日、Retraction watch(写し1、写し2)とそのツイッター(写し1、写し2)
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(2021年6月16日追記)
愛知学院大学が川合里絵(一時、犬飼里絵、現在 淺野里絵、遅れ無しなら1983年頃生まれ)、山口秀幸(遅れなしなら1987年頃生まれ)おとわ歯科医院(愛知県豊川市)の博士(歯学)を取消し。川合里絵の博士取消し、山口秀幸の博士取消し、2020年4月8日付。
学位規則17条1項(写し)で取消した場合は公表する義務があり、学位取消し単体での公表はないが、調査概要で学位取消しの承認が公表された。調査概要のGが山口秀幸、Hが川合里絵。どちらも捏造論文の筆頭著者として一定の責任を負う者と認定された。
山口秀幸の博士の基礎論文は捏造、改ざんで撤回(他)。山口秀幸が筆頭著者。おとわ歯科医院の紹介で博士を削除した。削除前、削除後。
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(2021年6月22日追記)
5Gのサービスが進んで高速で大容量の通信が広がっていくだろう。楽天回線を使った場合に通信制限なしのサービスなどがあるが、これからは低料金で速度制限なしのサービスが広がっていくと思う。
今は家庭だけでインターネットをやるなら光回線とWifiを併用する方法が主流だろう。高速で速度制限なしのサービスなら、しばらくこの方法が続いていくと思う。しかし、5Gなどが進んでいけば家庭から光ルーターも姿を消すかもしれない。4Kの受信なら20Mbpsくらいあれば十分なので、光回線をLANで接続した時にように300Mbpsくらいの高速通信はまだ必要ないし、家庭でそのくらいの通信速度を必要とするのは大分先ではないかと思う。
無線でやれるなら有線よりも良いので、しばらくすれば光回線との契約も不要になるかも。そっちの方が通信料金はさらに安くなるのかも。今は光回線の契約でだいたい月額5千~7千円くらいの通信料金なので、これが無線主流になった時にどうなるのか。通信料金が安くなる事はいいと思いますね。
杏林大学総合政策学部元准教授が盗用、不適切なオーサーシップを認定され諭旨退職となった。氏名公表はされなかった。1報の論文で盗用、1報の論文で剽窃と不適切なオーサーシップがあった。
元准教授は40代で開発経済学が専門[1]。「昨年3月発行の紀要に載った多国籍企業による途上国支援をテーマにした英語論文で、海外の銀行がホームページに載せた沿革の文章を」盗用、さらに未発表論文で盗用[1]。
不正行為公表(写し1、写し2)、調査結果(写し)、盗用論文(写し、すでに削除)、
剽窃と盗用を区別した珍しい例。どちらも盗用でいいのではないか。盗用元が研究者の業績である必要はないと思う。
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「他の研究者...当該研究者」として、“研究者”の業績についてのものとされていることから、“研究者”による論考とは言い難いテキストの借用は、「盗用」とは言えないと判断したためである。「剽窃」は、研究不正対応規程第2条に言葉としてはないものの、そもそも同条の「盗用」等は不正行為の例示に過ぎず、それが「盗用」と同じく、研究不正対応規程2条の精神たる研究活動の公正さを保つべき責務(倫理)に反するものであることは明らかであるため、「剽窃」との表現をもって、今回の不正行為の態様とした。
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(調査報告書より)
杏林大学の規程によると盗用は「他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。」であり、研究者の業績に限らず、記者や一般人、画家などの文章等を自己のものとして流用すれば盗用になるし、著作権違反にもなり得るので、研究者の論考でなくてもテキストの借用なら盗用になり得ると思う。もっと詳しく見てみないとわからないけど。
今回の件で珍しいのは未発表論文が盗用と認定された事。文科省ガイドラインQAでは次のような基準。
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Q3-9
研究活動における不正行為は、「公表前」の研究成果に関する行為も含まれうるのでしょうか。
A3-9
本ガイドラインの対象となる特定不正行為は、投稿論文など発表された研究成果に関する行為に限ります。投稿論文については、論文が掲載された時点を発表とみなします。したがって、論文を投稿したものの出版社によって掲載を拒否された研究成果など、公表されていないものについては、本ガイドラインの対象外となります。
Q3-10
投稿論文の場合、論文が掲載された時点で「発表」とみなすのか、それとも論文を投稿した時点で「発表」とみなすのか御教示ください。
A3-10
投稿論文については、論文が掲載された時点を発表とみなします。したがって、論文を投稿したものの出版社によって掲載を拒否された研究成果など、公表されていないものについては、本ガイドラインの対象外となります。
Q3-11
「投稿論文など」とあるが、この「など」にはディスカッションペーパーや口頭発表も含まれるのか、具体的に想定されるものを御教示ください。
A3-11
研究成果の発表とは、研究活動によって得られた成果を、客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、科学コミュニティに向かって公開し、その内容について吟味・批判を受けることを指します。具体的には、投稿論文の他、ディスカッションペーパーや学会等においてデータや資料を提示して行う口頭発表も含まれます。
Q3-12
インターネットでのディスカッションは、研究成果の発表に当たるのでしょうか。
A3-12
インターネット上でのディスカッションも、「研究活動によって得られた成果を、客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、科学コミュニティに向かって公開している」場合であれば、研究成果の発表に当たります。
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(文科省ガイドラインQAより)
文科省ガイドライン等では未発表は科学コミュニティに伝えていないという意味で、そういう意味での未発表ならガイドラインの対象外になる。ガイドラインの対象外だと不正にならないのかは不明。杏林大学の未発表論文に関してはひょっとすると盗用でない可能性がある。未発表論文の盗用が判明したのは内部告発だからか?
2019年9月内部告発で発覚。2020年1月に不正認定。2020年3月11日処分。
原因は調査結果(写し)参照。
大学は不正行為者の氏名を公表しなかった。これはガイドライン違反だが、氏名公表したくなければガイドライン改定したら?ただ、不正行為のあった論文は再発防止や健全な研究の発展、透明性のために公表しなければならない。事実上の氏名公表と変わらないが。
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(2020年11月2日追記)
本ブログの情報提供後に報道。