トヨタ自動車といえば世界的な自動車メーカーだが、決して順風満帆だったわけではなく一時期倒産の危機があった[1][2]。1949年に緊縮財政などを行ったドッジラインの影響などでトヨタは倒産の危機となった[1]。その時、日銀の斡旋で帝国銀行(後の三井銀行)と東海銀行は融資をしたのだが、大阪銀行(後の住友銀行)、千代田銀行(後の三菱銀行)は融資を拒んだ[1][2]。
そのためトヨタは三井グループとは友好的だったが、住友、三菱グループには恨みを持ち絶縁状態だった。具体的な例でいうと、1997年ごろバブル経済の崩壊でさくら銀行(三井銀行系)が危機に陥った時、メーカーでありながら銀行に融資するという異例の対応でトヨタはさくら銀行を救った[1]。無論、トヨタのメインバンクの一つはさくら銀行であった。他方、住友、三菱系とは絶縁状態で全く取引をしなかった[1][2]。無論、バブル経済崩壊の危機の時も助けなかった。
トヨタは今でこそ住友系や三菱系と取引しているが、それはトヨタと取引のあった東京銀行やさくら銀行がそれらと合併し、三井住友銀行(2001年さくら銀行と住友銀行が合併)、東京三菱銀行(1996年東京銀行と三菱銀行が合併、現三菱東京UFJ銀行)となり、仕方なく取引を再開したに過ぎない[1][2]。ただ、それでもうまくやっているようである。
愛知県の企業や都市は受けた恩は忘れないが、恨みも決して忘れない[2]。例えば、1995年1月に起きた阪神淡路大震災の義援金送付先を1959年の伊勢湾台風で被害を受けた時に名古屋市に義援金を送ってきた都市だけに義援金を贈るという対応を名古屋市が発表したことがある[2]。名古屋市民の反発できちんと全部の地域に義援金を贈ったらしいが、恩も恨みも忘れない愛知県の県民性とも言うべきものが垣間見えよう。
思うに、恩に報いるということはよいことだが、いつまでも敵対的関係でいるのはお互い不利益でまずいだろう。トヨタだって、40年以上三菱、住友系と取引しなかったがその間にお互いに有形、無形の不利益があっただろう。今は取引を再開してお互いそれなりに有益さを得ている。やろうと思えばできるのである。昔から仲直りしていれば、そうした恩恵をずっと受けられたのに、残念なことだ。敵でいるより、味方になる機会があればきちんとそうした方がよい。
さすがに助けようとしても、敵の助けだからといって相手がそれを拒否したらどうしよもない。私としては全くわからないことである。例えば、トヨタが倒産しかかってる時に帝国銀行が融資してくれるなら迷わず助けを受けるだろう。仮に帝国銀行がトヨタと敵対関係だったとしても、助けを受けただろう。なぜなら、助けを受けなければ倒産してしまうなら助けを受けない手は無いはずだ。敵だからといって助けを拒み倒産するような愚かな企業はない。
敵から塩を送られたらきちんと受けるべきである。非常に珍しいことであるし。それを拒んで滅んだら、どうしよもなく愚かであろう。そういう例外的な名古屋っ子もいるようだ。
参考
[1]"トヨタグループ-三大財閥(三菱・三井・住友)グループとの関係" Wikipedia 2011.9.30
[2]"はっきり言って根に持ちます" TOPPY.NET 2004.4.24