世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

喜ばれる記事、執筆の基本方針転換の検討

2011-10-30 18:59:58 | 環境・地球温暖化問題

幸い本ブログは開設当初に比べるとかなり人気が上がってある程度読まれている。基本的な執筆姿勢は良いことも悪いことも信じたとおりを書くということだ。批判的というか悪い内容でも書いているのは、首相をかばう与党議員のように正直な見解と関係なく常に良いことだけ述べていては公平でないし良い言論にならないと思うからだ。

しかし最近はブログの人気上昇にともなってそういう考えを見直すことを検討している。人気が上がるということはそれだけ影響度が大きくなるということだが、批判的な内容で悪影響が出ることは、記事の内容が正当であれば仕方ないと思うが、人気ブログほど記事の正当性に気をつけないといけない。

それにできればどんな読者にも喜んでもらえる記事を書きたいと思っている。他のブログの中にはではできる限り批判的な内容は書かないようにしているところもあるし、そういう執筆姿勢も一つのあり方としていいのではないかと思う。

最近だと東北大学総長の不正、獨協医大の不正、上原亜希子の不正など大学や上原亜希子の悪い姿勢を批判する記事を書いたが、こういう内容は確かに人気はあるようだが、人の役に立つ記事ではあるかもしれないが、読者が喜んだり、楽しくなったりする記事ではないだろう。もともと、そういう類の記事を書く才能が著者にないのが原因かもしれないが、できれば誰にとっても喜ばれるものを書きたいと思う。

批判的なことをわざと言わないというのは、たぶん言論としてはあまりよくないと思うが、喜ばれるにはそれもいいのかもしれない。批評とは関係なく単に数学、物理、法律などの知識を読者に提供するだけなら、悪影響は与えず単に読者に有益なだけで済むかもしれない。そういうのも悪くないだろうか。

今のところ信じたとおりのことを書くという基本方針を変えるつもりはないが、上のような方針転換は検討しようと思う。読者の方で何か要望や意見があれば言ってください。

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追記 2011.11.3

読者から要望はなさそうなので、今までどおり悪評価の内容も信じたとおりを書きます。


独協医大はいつになったら研究不正の調査結果を公表するのか?

2011-10-29 01:30:54 | 社会

独協医大の教授が研究不正をしたと告発された問題は本調査がはじまって9ヶ月たつが今だに調査結果が公表されていない。教授はすでに研究不正の責任から4月末で諭旨退職処分になり、現在は民間病院で部長待遇の医師として勤務しているという[1][2]。独協医大は「7、8月頃にも調査結果を公表する予定」とコメントしていたが約2ヶ月以上過ぎても公表がない[2]。

独協医大はなぜ調査結果の報告が遅れているのか。大学の大規模な不祥事だから、できる限り先送りしたいとかできれば公表したくないという気持ちの表れのように思う。独協医大は調査結果の公表、不正論文等の撤回、訂正、公的研究費の返還を速やかに行うべきである。

特に不正研究の撤回や訂正は大事だろう。不正の論文等をもとに新しい研究を進めている他の研究者もいるかもしれないし、そういう人たちには大迷惑な事だ。不正のために公的研究費が使われたのだから速やかに返還しなければならない。納税者としてはそんな税金の使われ方はたまったものではない。また、調査結果諭旨退職ではなく懲戒解雇相当だと判明したら、元教授に支払った退職金は本人に返還させるか処分を決めた責任者たちが補填してほしい。おそらく普通の基準なら元教授の行った不正は懲戒解雇が当然で、諭旨退職すら甘すぎる。

理由なんていくらでも適当に作れるから、どうせ独協医大は適当な理由を作って遅れた理由や諭旨退職処分の相当性を説明するんだろうが。

独協医大は27日、同医大の教授ら8人が2003~06年度、国などから支給された科学研究費補助金(科研費)計約1600万円を不正に使用していたと発表した[3]。はっきりいって不正ばかりだ。大学の教員たちは不正ばかりする。不正の調査結果公表すら先延ばしにする。悪いとしかいえない。

思えば、東北大学総長の不正、琉球大学医学部の事件と大学の対応はまずいものが多い。不正の対処をまともにやる気がないのがみえみえだ。不正の疑いをかけられた研究者が所属する機関に調査や処分等をまかす現在の規定では実効性が十分でない。

きちんと実効性のある調査や処分等ができる制度を作らなければならない。

参考
[1]世界変動展望 著者:"獨協医大、論文不正疑惑の教授を諭旨退職処分" 世界変動展望 2011.6.25
[2]読売新聞 2011.6.25
[3]Yomiuri Online 2011.10.28


3ガロンと5ガロンの容器で、正確に4ガロンの水を作るには?

2011-10-24 23:14:10 | 物理学・数学

23日にダイハード3を見た。その中で3ガロンと5ガロンの容器で正確に5ガロンの水を作るというのがあった。映画中では詳細に作り方が映らなかったので説明する。

(1)3ガロンの容器一杯に水を入れ、それを5ガロンの容器に全部入れる。これで5ガロンの容器に3ガロン水が入っている。
(2)3ガロンの容器一杯に水を入れ、それを5ガロンの容器が一杯になるまで入れる。3ガロンの容器には1ガロンだけ水が残っている。
(3)5ガロンの容器の水を全部捨て、(2)で作った3ガロンの容器中の水を全部5ガロンの容器に入れる。5ガロンの容器には水が1ガロンだけ入っている。
(4)3ガロンの容器一杯に水を入れ、それを5ガロンの容器に全部入れる。これで5ガロンの容器に4ガロン水が入っている。これで完了。

もしくは次のやり方

(5)5ガロンの容器一杯に水を入れ、それを3ガロンの容器が一杯になるまで入れる。これで5ガロンの容器に2ガロン水が入っている。
(6)3ガロンの容器中の水をすべて捨て、5ガロンの容器中の水をすべて3ガロンの容器に入れる。3ガロンの容器には2ガロン水が入っている。
(7)5ガロンの容器一杯に水を入れ、それを3ガロンの容器が一杯になるまで入れる。これで5ガロンの容器に4ガロン水が入っている。これで完了。

そんなに難しい問題ではないが、映画のようにパニックで急ぎながら短時間でこれを解くのはかなり難しいと思う。映画ではたぶん下のやり方だったと思う。映画を見てよくわからなかった人は参考までに。


不正経理をした大倉一郎東工大副学長への厳重注意処分は甘すぎる!

2011-10-23 00:00:22 | 社会

大倉一郎東工大副学長は不正経理をし、厳重注意処分を受けた[1][2]。不正経理は物品の架空発注などで研究費を取引業者にプールする「預け金」[1]。大学の調査で、大倉副学長は不正を認めたが、事実関係は「会計書類の保存期限が過ぎているため、一部しか確認できなかった」としている。[1] 朝日新聞が入手した取引業者の資料には、大倉副学長は教授時代の2004年3月までに、少なくとも630万円を業者にプールし、08年11月までに11回にわたってパソコンやカメラなどを購入したとの記述があった。大学の調査で確認できたのはこのうち1回分[1]。

事実関係が一部しか確認できなかったとはいえ、不正経理の実行者が厳重注意処分で済むのは甘すぎる。普通懲戒処分を受けるだろう。東北大学、琉球大学の学長のように権力者に対する対処は甘すぎることが多い。懲戒処分などは処分をする側とされる側との利害関係で適正さを欠く結果となる。こういうことを放置すると「学長とか偉い人なら悪い事をしても許される。」というおかしな規範ができてしまう。

東北大学や東京工業大学のように権力者に対して不適当な対処をした例をみると、懲戒処分の検討は第三者的な機関が担当し、大学側はその検討を全面的に尊重するような形にした方がいいと思う。

参考
[1]asahi.com 2011.10.21
[2]世界変動展望 著者:"大倉一郎東工大副学長に不正経理の疑い" 世界変動展望 2011.7.30


宮崎あおい、くやしかったら離婚の危機を乗り越えてみろ!

2011-10-22 01:13:33 | スポーツ・芸能・文芸

宮崎あおいが夫と別居しているという報道があった。どうも家庭はうまくいっていないようだ。夫とはかなり格差があったので大丈夫かという声もあったらしいが、うまくいかなったようだ。原因はそれだけではないのだろうが。

しかし、大概の男性を宮崎あおいと比べると収入や成功度等でかなり格差があるのが普通だろうし、そんな理由でだめになるくらいならほとんどの男性と結婚してもうまくいかないだろう。格差だけでなく他に問題があってもうまくやっている家庭もあれば、もっと酷い状況でもうまくやっている家庭もたくさんある。今の宮崎あおい程度の状況で家庭がうまくいかないなら、彼女にはそんな程度の能力しかなかったということだろう。

もてる人物だから離婚してもすぐ別の誰かと結婚するんだろうが、こんな程度の危機を乗り切れないようじゃ誰と結婚してもだめだろうな。好きで一緒になったんだろうし、くやしかったら離婚の危機を乗り越えてもらいたい。


数学、物理が得意だと高収入ということについて

2011-10-21 00:39:32 | 社会

時事通信社の記事で数学、物理が得意だと他の教科が得意な人より高収入だという調査結果があった[1]。ゆとり、個性の教育で理数系が得意な人が減ったせいで数学、物理が得意な人の評価が相対的に上がったとか、仕事で論理的思考力が役に立つからという説明があった[1]。数学が苦手な人が以前より多くなったということだろう。

しかし、数学や物理が得意な人が就く仕事は高収入なんだろうか。これらが得意な人が就く仕事といったら技術者とか大学教員などが思い浮かぶ。確かに平均的な収入に比べれば高収入のような気がする。私は国語や社会など文系科目が得意で金融や放送業界で非常に長時間働いている人の方が高収入だと思っていた。

数学、物理というと数式や抽象的思考がかなり多く出てくる理論的学問という感じだが、そういう能力は一番才能の差が表れる学問だと思う。暗記力とか知識が問われているわけではなく、思考力などが問われる学問だからだ。

これから先教育で数学、物理の重要さはどう変化するのだろう。

参考
[1]時事通信社のウェブニュース 2011.10.20


2012年度からのNHK杯戦司会は鈴木環那か?

2011-10-20 00:35:13 | 囲碁・将棋

来年3月末で2009年4月から3年経つので、囲碁、将棋ともにNHK杯戦の司会が替わる。将棋の司会は誰だろう。ルックスや人気で採用する近年の傾向を考えると鈴木環那が採用されそうな気がする。彼女は本当に16歳頃に比べればずいぶんきれいになった[1][2][3][4]。ルックスをよく磨いているのはわかる。将棋の実力向上にどれだけ努力しているかわからないものの。

参考
[1]世界変動展望 著者:"鈴木環那-昔と今の外見の印象が違う棋士" 世界変動展望 2009.5.7
[2]2003年頃(16歳頃)の鈴木環那
[3]2005年頃(17歳~18歳頃)の鈴木環那
[4]2009年1月頃(21歳)、囲碁棋士・万波奈穂との共演写真と動画
囲碁番組「ナオとカンナのおしえて♪13路(サーティーン)」 2009.1.4~ より


江~姫たちの戦国~ の面白さについて

2011-10-19 01:22:25 | スポーツ・芸能・文芸

大河ドラマ江-姫たちの戦国は来月終了する。史実から離れすぎた内容、漫画的な展開、主演の上野樹里が自身のヒット作「のだめカンタビーレ」の役質とあまり違いがない様など批判は多かった。しかし、私の感想としては、篤姫ほど面白くなかったと思うものの、そこそこ面白かったと思う。振り返ってみると毎週江を見ていた。それは面白かったという証拠だろう。本当に面白くなければ見ていなかったはずだ。

確かに江の話は不自然な展開が少なくない。江の話で秀吉が関白になることを目指したり、秀忠が辞退するつもりだった将軍職への就任を決意するなど違和感を覚えることが少なくなかった。漫画的で、登場人物が史実の人物像から離れてすぎている様もおかしいと思った。例えば「離縁せよ(第14回)」の最後はそう感じた。

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茶々(1番上の姉)が病気だと初(一つ上の姉)からの手紙を受け、急いで夫佐治一成のところから大坂城に出向いた江。

茶々「江ではないか。」
江「姉上外に出て雪遊びなどして大丈夫なのですか?」
茶々「大丈夫じゃ。なぜ来たのじゃ?」
江「姉様(初)から姉上(茶々)がご病気だという文(手紙)がきましたので。」

秀吉「はっはっは。」

いきなり襖を開けて登場する秀吉。

秀吉「その文はお前を呼ぶためわしが出したのじゃ。佐治一成とは離縁じゃ。そしてお前はこれからわしの養女じゃ。」
江「おのれ~」

雪を秀吉に投げて怒りをぶつけようとする江に対し、ふざけ、踊りながら逃げる秀吉。

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騙された江に対し、いきなり襖を開けて秀吉が騙した事実を伝える様がかなり漫画的というか、いかにも作られた滑稽な喜劇という感じがしたし、怒る江に対し、ふざけ、踊りながら逃げる秀吉を見ると、まるで秀吉がバカ殿様で、天下人の秀吉がこんな人物のわけがないと、史実からあまりに離れた人物像にかなり違和感を覚えた。上野樹里の演技も特に発声の点であまり感動がなかった。

しかし、各回をつまらないと思うことはなかったし、「茶々の恋(第20回)」など面白いと思う話もあった。上野樹里の演技はうまいという感じではなかったが悪いとも思わなかった。江の天真爛漫さを演じる際はそんな感じがそこそこ伝わった。OPの映像はきれいだし、音楽もなかなかいいと思う。視聴率は15~20%くらいで推移しているようだから、近年の大河ドラマの中では普通の値だと思う。

多数派の意見としては、残念ながら原作・脚本の田渕久美子や主演の上野樹里は悪評価だと思うが、私は普通程度の評価をする。


数字発言ゲーム必勝法

2011-10-18 00:25:46 | 物理学・数学

次のようなゲームをやったことがある人はそこそこいるだろう。

ルール
(1)2人交互に数字を言う。
(2)最初は1から始め、一度に数字を1個以上3個以下言える。ただし、発言する数字は連続していなければならないし、数字を言わないことはできない。
(3)20を言った方が負け。

この必勝法はどのようなものか?(2)(3)を考えると19を言った方が勝つことがわかる。19を言うためには15を言えばよい。以下同様に考えると11、7、3を言えば勝てることがわかる。つまり先手必勝だ。ところで、3,7,11,15,19はみな4で割ると余りが3だ。だから、小さい数から順に3,7,11,15,19と言えばよいということもできる。

では(2)が次のような条件ならどうか?

(4)最初は1から始め、一度に数字を1個以上2個以下言える。ただし、発言する数字は連続していなければならないし、数字を言わないことはできない。

上と同様に考えると、19、16、13、10、7、4、1を言えば勝てるとわかる。つまり先手必勝だ。これらの数値を3で割ると余りは1となる。だから、小さい数から順に1,4,7,10,13,16,19と言えばよいとも言うことができる。

一般化すると次のようになる。

ルール
(5)2人交互に数字を言う。
(6)最初は1から始め、一度に数字を1個以上k個以下言える。ただし、発言する数字は連続していなければならないし、数字を言わないことはできない。
(7)nを言った方が負け。

だたし、n,kは自然数であり、n>k≧2である。

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必勝法

(A)大きい数から順に
n-1,n-1-(k+1),n-1-2(k+1),n-1-3(k+1),......

該当する数字で終わるように言えばよい。該当する一番小さい数を言える方が必勝。

又は

(B) (n-1) ÷ (k+1)の余りをdとすると、小さい数から順に

d,d+(k+1),d+2(k+1),d+3(k+1),....,n-1

該当する数字で終わるように言えばよい。d =0 のときは後手必勝、それ以外のときは先手必勝。

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例えば

ルール
(8)2人交互に数字を言う。
(9)最初は1から始め、一度に数字を1個以上5個以下言える。ただし、発言する数字は連続していなければならないし、数字を言わないことはできない。
(10)37を言った方が負け。

なら、(A)に従えば、大きい順に36,30,24,18,12,6で終わるように言えば必勝。つまり6の倍数を言えばよい。この場合は後手が必勝だ。

(B)に従えば、36÷6 = 6。故に後手必勝で、6,12,18,24,30,36で終わるように言えばよい。どちらでも同じ結論だ。

(B)の方が小さい数から順に言うべき数が見つかるし、次に言うべき数も自分が直前に言った数字に(k+1)を足せば見つかるから実戦ではこちらの方が有利でお勧めだ。こういう遊びをする人はあまりいないかもしれないが、やる機会があれば参考までに。


大学教員は教育力を高め、もっと教育に熱心であるべき!

2011-10-17 00:00:00 | 社会

大学の教授などを見ていると、自分の研究ばかりに専念して学生の教育はそっちのけという人が少なくない。最低限の講義だけをこなし、研究室の学生は放任、そんな教授らは多い。はっきりいってそういう教授、准教授、講師などは大学教員をやめてもらいたい。

大学教員は研究だけでなく学生の教育が大きな仕事だし、そのためにお金をもらっている。それなのに学生は放任というのは詐欺ではないか。東大や京大の教授でも研究者としては一流でも教育者としては三流という人が少なくない。

学生の研究力などを伸ばすことに関し一流である大学教員がどれほどいるのか。大学教員は教育が仕事である以上、教育力を高め、もっと教育に熱心であるべきだ。


東北大学は井上明久総長の研究不正をきちんと調査すべき!

2011-10-15 00:00:51 | 社会

井上明久東北大学総長は大村泉東北大学経済学部教授らから研究不正を告発され、大学側は科学的合理的理由がないとして告発を不受理とした[1]。その他北村幸久副学長をキャリアや職種と関係ない流体科学研究所の教授に同研究所の内規を変更して就任させた等大学の私物化の批判もされている。

告発は通常学内の不正対応のガイドラインで処理されるが、井上総長の場合はどういうわけか特別な規定ができてそちらの方で処理された[1]。通常行われない告発受理段階での委員会設置や被告発者のヒアリングが行われ「科学的合理的根拠がない」として告発不受理となった[1]。

しかし、これはおかしいだろう。なぜ井上総長の場合だけ特別な規定ができ、それで処理されるのか。研究不正への対処は助教でも総長でも同じであるべきで、被告発者ごとに区別すべきではない。そうでなければ公平でないし適正でもない。東北大学の対応は井上総長を救うためにわざと都合のいい規定を作って対処したように疑ってしまう。井上総長の仲間たちの執行部がそうしたのかもしれない。

東北大学の不正行為の対応ガイドラインに従えば、井上総長の研究不正はきちんと受理され、調査委員会のもとで本調査が行われて当然だ[2]。このガイドラインは参考[3]で示した文科省の不正行為ガイドラインを参考にして策定されたもので、顕名の告発で不正を疑わせる根拠のある場合は受理される決まりである。言い換えれば、顕名の告発はその内容や根拠が一見しておかしい等の場合のみ「科学的合理的理由がない」として不受理となる。受理後は予備調査が行われ、予備調査委員会のもとで、不正が行われた可能性や告発内容の論理性、実験ノートや試料が保存され不正を検証できるか等の予備調査が行われる[2]。不正を疑わせるに足る合理的根拠がある場合は通常予備調査は通り、本調査が行われる

井上総長の不正疑惑は異なる実験条件で行われたX線回折図が酷似しているなど、データ流用が行われた疑いは明らかであるから、通常は告発が受理され予備調査も通り、本調査が行われる[1]。東北大学のガイドラインでいう告発に「科学的合理的理由がない」ということはない。不正を疑わせるに足る根拠がある。

東北大学は良識のある研究機関ならばきちんと手続き規定を遵守し、この問題を適正に調査し結果を公表する社会的責任があると思う。井上総長の場合だけ特別に規定を作って対応するのは不公平であり、適正さを欠く。

本音をいってしまうと、まず間違いなく井上明久総長は過去にデータ流用などの研究不正をやっているだろう。異なる条件で行われた実験で同一又は酷似したデータになるわけがないし、疑惑データは一つでなく複数あり、すべてが過失だと考えるのは不合理である。行政的圧力や政治力を使って組織ぐるみで不正を隠蔽しようとすると、それだけ研究不正が明らかとなったとき東北大学の名誉・信用が著しく失墜する。東北大学はそれをきちんと自覚し、適正な対応をとらなければならない。

大学の私物化の件は別な機会に論じたい。思うに、自民党政権時の小泉、竹中ラインで国立大学法人化になってから文部科学省の役人が大学に天下りし、省庁と大学の癒着が進んでいる。キャリア官僚には天下りでおいしい思いを、大学は予算を獲得しておいしい思いを、という癒着構造があるのかもしれない。東北大学の例を見るとそう思う。

少なくとも研究不正の取り締まりは利害関係のない外部機関が中心になって調査しないと実効性がない場合があると思う。現在は被告発者が所属する研究機関が調査する決まりだが、それは修正する必要がある[3]。

総長の不正でダメージが大きいので隠したいのだろうが、東北大学は日本を代表する研究機関の一つとして適正な対処をしてほしい。

参考
[1]日野 秀逸、高橋 禮二郎、松井 恵、大村 泉:"東北大総長おやめください―研究不正と大学の私物化" 社会評論社 2011.3.18 発行
[2]東北大学: 「研究活動における不正行為への対応ガイドライン
[3]文部科学省:「研究活動の不正行為への対応のガイドライン