労働契約法第5条は、会社が従業員に対して“安全配慮義務”を負う旨を明記している。
これは、訴訟の場においては従来から「事業主は安全配慮義務を負う」という大前提の下に「その義務を果たしたか否か」が争われてきたことを踏まえて盛り込まれたもので、労働契約法施行(平成21年3月)に際して特に新たな義務を事業主に課したわけではない。
判例を総じて見れば、業務上の災害が発生した際に、その災害が発生することを予見でき、それに対して社会通念上相当な防止手段を講じていない場合に、事業主の責任が問われる傾向にある。
労働契約法はここまで具体的に規定していないが、裁判所が今後もこの“予見可能性”と“危険回避努力”を判断基準とするのは従来と変わらないであろうから、会社としても、この2つを意識しておきたいところだ。
もっとも、会社が安全配慮義務を果たすのは、労働契約法で義務づけられているから、あるいは裁判で有利になるため、というものではないだろう。
労働災害の発生は、被災労働者やその家族にとってはもちろんのこと、会社にとっても大事な労働力を失うことになり、誰も得をしない。健全な経営を考えるならば、安全配慮義務を果たすのは言わずもがな当然のことと肝に銘じたい。
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