大手広告代理店の新入社員が過労自殺した事件もあって、過重労働防止に関する規制が厳しくなりつつある中、「勤務間インターバル制度」が注目されている。
これは、終業から翌日の始業まで一定時間を空けることとするもので、EU(ヨーロッパ連合)において労働時間指令(1993年制定、2000年改正)の1項に「24時間につき最低連続11時間の休息期間を付与」と定められているのを参考にした制度だ。
具体的な例を挙げれば、所定就業時間が午前9時から午後6時までの会社でインターバル11時間を設けた場合、夜11時まで残業した翌日は11時間後の午前10時に出社すれば良いことになる。
なお、このケースにおいて、「始業が遅くなった1時間分、終業時刻を午後7時に繰り下げる(1日の労働時間は変えない)」とするのは、「インターバル」という用語の定義からは正しいように思えるが、既にこの制度を導入している会社では、始業が遅くなっても定時出社したものとみなして取り扱うこととしている例がほとんどのようだ。
これまで、政府による長時間労働の是正施策は、時間外割増率の引き上げにしても、長時間労働者に対する医師の面談制度にしても、「一定期間における総労働時間」を指標にしたものが中心であったが、この「勤務間インターバル制度」は、「休息時間」という新たな指標によるもので、これによって「働く人の心身の健康を保持する」という本来の趣旨に直結した、より実効性の高い政策として期待もされている。
ちなみに厚生労働省では、この制度を導入した企業に対する「職場意識改善助成金」を支給することとしている。
勤務間インターバル制度は、仕組みが分かりやすく導入しやすいこともあって、労使どちらからも特段の反対意見は表明されていない。
よって、これが「助成金による推進」でなく、「法令による義務づけ」になる日もそう遠くはなさそうだ。導入することに問題の無い業態であれば、助成金が受けられるうちに制度化を検討するべきだろう。
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