散歩道の端に、「赤まんま」の花穂が微かに揺れていた。
田舎育ちの虚庵居士には、幼児の頃の「おままごと」が懐かしく想い出された。花穂をしごいて小さな粒々を貝殻に盛り、女の子が「御赤飯をどうぞ」などと差しだすと、「赤まんま、いただきます」と小さな手で受けて遊んだものだ。
「赤まんま・犬蓼」とよく似た「蓼藍・だてあい」も、身近な野草だった。当時の母親は、専ら「蓼藍/別名・藍」を採取して、染物に使っていたのが懐かしい。
母は家事の合間に糸を紡ぎ、布を手織りして染色し、洒落た着物を仕立てるのが趣味だった。醗酵させた藍汁を鍋で沸し、布を見事な青色に染めた。所々に糸で絞りを作って染めると、洒落た模様が染め上って、子供ながらに見事なものだと感心したことが想い出される。
そんな余技を愉しんだお袋さんだったが、虚庵居士は夙にお袋さんの歳を越えて、様々なお遊びを愉しむこの頃だ。 お袋さんから受け継いだ「お遊び」の心は、この ブログ「虚庵居士のお遊び」の原点でもあろうか。狭い「うつろ庵」の庭は、虚庵夫妻にとっては掛け替えのない「お遊び」の場であり、二人して心からの寛ぎを頂く貴重な空間でもある。
「青は藍よりいでて、藍より青し」とは古来よりの俚諺だが、お袋さんの「藍より青し」の野草染めの遊び心が、虚庵居士に受け継がれ、益々「醗酵」してる現実は、将に「遊びをせんとや生まれけむ」を地で行く、この頃の爺と婆様だ。
道端に「赤まんま」見つけ声あげぬ
幼児のころの「おままごと」なつかし
庭先の「むしろ」のお座敷 貝殻に
赤まんま盛り「お赤飯どうぞ」
元気かな? 幼児のお仲間「たけちゃん」や
おなごの「なおちゃん」偲ぶかな
大なべにあい汁煮たてて染める母の
囲炉裏のお仕事 飽きずに見つめぬ
湧水のお池ですすぐ染物の
見事な青色 まぶたに残りぬ
母さまのお遊びうけて虚庵居士も
遊びの名手になりにけるかも
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