「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「定家葛・ていかかずら」

2006-06-01 00:25:53 | 和歌

 定家葛の花が、今を盛りと咲いて、幽遠な香りを放っている。

 「うつろ庵」からほど遠くない観音崎は、式子内親王も藤原定家とも関わりは無いが、林の中や山道には定家葛が繁茂している。

 「時雨とともに、旅僧の前に現れた女は、式子内親王と定家の悲恋を語り、僧を内親王の墓に連れてゆく。五輪塔の墓には、定家の執心が蔦葛となって、びっしりと纏わり付いていた。僧が読誦する『法華経薬喩品』の功徳により、墓に纏わる葛が解け、内親王の亡霊が現れて舞を舞う・・・が、やがて舞い終ると再び墓の中に消える。定家の蔦葛もまた墓をひしと抱き、元の姿に戻る。」 金春能『定家』のあらすじだ。

 これは虚庵居士の単なる想像であるが、式子内親王と定家とは生前に、この蔦の花をともに見たに違いあるまい。定家葛の花は、未だに式子内親王と定家の悲恋を伝え、幽遠に香っている。






             解き放つ読経の功徳に式子舞ふも
  
             択びてもどりぬ定家のかいなに  



             かき抱く五輪の塔は幽遠に 
 
             定家葛の花香るかも  



             忘れめや相見つるらむ蔦の花に

             そぼ降る雨を袖にうけつつ  





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2 コメント

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こころ通わせ・・・ (風待人)
2006-06-02 11:55:06
白き花を  いつの日にかは ともに観んと



  ことば交わさず  こころ通わせ





花いだく  五輪塔に  掌を合わせ  



   夢みし恋も   黄泉の国まで
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風待人さま かへし  (虚庵)
2006-06-02 21:47:37


「こころ通わせ」の二首 

和してお詠み頂き 有難う御座います



  うつそみの契りありせばつた葛の

  絡めるかいなにもどるみ魂か



  相見むと思ほしめせばひと言を 

  思ふ人こそ待ちてやおるらむ  

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