「うつろ庵」の「レインリリー」が、梅雨の合い間に濡れて咲いた。
一輪だけが躑躅の足元に咲いたが、花びらに湛えた雨の雫がまた印象的であった。
又の名前を「ゼフィランサス」、或いは「たますだれ」とも呼ぶそうだが、同じお仲間でも微妙な変化に富んで、かなりの種類がある様だ。 「うつろ庵」の「レインリリー」は、陰鬱な梅雨のシーズンに咲いて、虚庵夫妻の心を和ませてくれるが、種類に依っては開花時期が春先から秋まで、かなりの巾があるようだ。
一輪の花の命は短くて2日ほどの短命ゆえに、華やかさの中にも儚さを湛えて、観る者を感傷の世界に誘う花だ。 ごく短命で花が萎れ、あれれと惜しむ間もなく、次の花茎がすくすくと延び上がって莟を見せて呉れるので、ホッと救われた気分にさせられる、不思議な力を備えたレインリリーだ。
なぜその様なことが可能なのか、思いを廻らせた ・ ・ ・。
花が咲いた後には、直径が2センチ程もある実莢が生り、やがてそれが割れて中から薄い羽根の付いた種子が無数にこぼれ、風に舞い散る。風で遠くまで飛ばされる種子もあれば、足元にこぼれ落ちた種子も逞しく球根に育つのだ。それぞれの球根が一輪の花を咲かせ、短命で萎れても、隣の沢山の球根が次々に花を咲かせて、種の保存の理を律儀に果たすので、かなり長い期間に亘って「レインリリー」の花を愉しませて貰えることになるのだ。
一輪のレインリリーが梅雨に咲き
つつじの足元華やぐ今日かな
花びらに湛える雫は何ならむ
歓喜の涙かときめく思ひに
儚くも花の命は短くば
レインリリーは涕をたたえて
嘆くにはあたらぬものかな花茎の
つぎに備える莟が観ゆれば
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