秋の叙勲が近づいたからでもないが、「勲章菊・カザニア」が咲いていた。
この花は彼方此方で見かける花だが、花の色も柄も種類が豊富のようだ。誰が付けた名前だろうか、勲章菊とは言いえて妙である。この花などは胸に付けたら将に勲章に見えよう。
勲章と言えば、世の中には叙位・叙勲を待ち焦がれている人々が大勢いるようだ。功成り名を遂げた人々は、叙位を望み叙勲に期待を寄せておられるが、古希を迎える年頃にもなると、社会的地位も資産もそこそこに築き、後は栄誉だけが望みということだろうか。聊か揶揄が過ぎるかもしれないが、先を急ぎ、胸に勲章を付けて葬儀用の写真を撮っても、お陀仏になれば元の木阿弥だ。
しかしながら考えようによっては、紙切れ一枚と勲章の原価は多寡が知れている。税金の無駄遣いかもしれないが、大した額でないならば、叙位・叙勲に憬れて国民が刻苦精励するのであれば、安いものかもしれない。
もとより虚庵居士は「叙位・叙勲」の埒外だが、酔えば花を摘み、胸ポケットに挿して粋がり愉しんできた。その程度が、打って付けと言うものだろう。
おぞましき人の性かな憬れの
栄誉のしるしを求めてやまずも
カザニアの花咲きにけり勲章に
代えて捧げむ人の誉れに
酔いたらば花の一つを摘み取りて
胸ポケットに挿す「おいた」はたのしき
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