「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「すすき」

2006-10-20 21:37:59 | 和歌

  野にある「すすき」、里の「すすき」、夫々に風情がある。





 かつて箱根に遊んだ際、眼にした「すすき」は誠に見事であった。土地勘が鈍くなっているので、或いは場所がずれているかも知れないが、芦ノ湖の湖尻を出て箱根湿性花園に向かって車を走らせたら、右手の「台が岳」のなだらかな傾斜地一面が銀色に輝いていた。感激した観光客が、すすき原に足を踏み入れ、「すすき」を漕いで行く姿が次第に小さくなって、「すすき」の穂波に埋没して行く情景が、今も幻のように思い出される。

 この「すすき」は「うつろ庵」近くの、遊歩道の植え込みのものだが、夕陽を受けて輝いていて、「はっと」させられた。大きな木の根方の日陰の中に、「すすき」だけが浮き出している風情には、郷里の「すすき」にめぐり会った想いがした。

 塗り重ねた漆黒の器に鋭い刃で刻み込み、沈金を施す工芸作家は、これをどの様に表現するのだろうか。






             歩み来れば木陰に輝く穂花かも
 
             ただ其処だけに夕陽さし来て 



             人の世をすすきに重ねて思ひしは 

             花穂の想ひをいかにきくらむ 



             塗り重ね磨きをかけし漆肌に 

             息をころして刃先を刻むや  







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2 コメント

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金波・銀波のすすきの原 (サバンナ)
2006-10-22 21:02:35
こんばんは♪



虚庵様がごらんになったすすきの原。。

わたしもずいぶん前ですが、友人と見たことがあります。

たしか、仙石原、というところを友人のタカコさんとハイキングした帰りでした。

広い斜面に、銀色に輝くすすきがきらきらとして、おとぎの国でも見るような美しさ。。。。

きれいで忘れがたい風景でした。

親孝行なタカコさんは、その明くる年、お母様をつれて、同じ所をハイキングして、温泉にも入ってきたワと言ってました。



なつかしい若き日の思い出が蘇りました。



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金波・銀波の・・・ (虚庵)
2006-10-23 00:04:40
サバンナ様が仰るように、将に金波・銀波のすすきの原でした。まなこに焼きついた情景は、何時まで経っても忘れないもののようです。



景色であれ、人間模様であれ、その様な鮮烈なイメージ、心にしみいる思いを少しづつでも貯えて行きたいものですね。
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