孫から「写真集」のメールが届いたので、3回シリーズでご紹介する。
3歳ころからカメラを玩具にして遊んで来た孫息子にとっては、カメラのレンズを通して花や昆虫を見るのは、ごく普通のことゆえ驚くことではないが、夥しい数の写真がメールに添付されていて驚いた。父親の手ほどきで、お遊びの延長線で送って呉れたものだろう。
米国では夏休みと学期末の休暇が重なるが、その間の自由研究で「蝉の標本作り」をしていると聞いたので、日本の蝉と脱け殻を航空便で送ったことは、半月ほど前に「蝉の脱け殻」でご紹介した。
横須賀の蝉を手にしてにこにこ顔の孫息子であったが、虚庵じじへのお返しに、自宅の庭で写した Grasshopper の写真と、庭に咲くダリアの花のプレゼントを送って来たものだ。TV電話という便利な文明の利器があるが、小さな胸に抱いた感謝の思いを安易な手段で伝えずに、自分でカメラに収めた昆虫と花の写真に託して送ってくれた、孫息子の心にしびれた。
つがいの Grasshopper に近づいて、辛抱強くカメラを構える孫の姿が瞼に浮かぶ。「つがい」の動きはしごく緩慢で、花柄の下に止まっていたのが、花柄の頂きに登るまでジッと息を殺して見つめていたに違いあるまい。警戒心の旺盛な Grasshopper が孫息子の接近を許したのは、危害を加えないとの安心感と、「おともだち」としての心のつながりが持てたからだろうと、返事に書き送った。
数あまた届くメールのその中の
横文字レターにときめき覚えぬ
発信の同じメールが重なれど
それぞれあまたの写真が届きぬ
数々の写真の目線の低ければ
孫の背丈で庭を観しかも
番いなすグラスホッパーは花柄に
とまりて秋を孫と過ごせり
ごく近く息をひそめて番い追う
孫の鼓動を爺も聞くかな
花柄の頂に来て晴ればれと
番いの眺むる思ひを聞かまし
カメラ手に固唾をのみて番い追う
孫の思ひを写真に読むかな
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