「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「白き芍薬」

2006-05-20 00:42:29 | 和歌

 「うつろ庵」の白い芍薬が咲いた。

 芍薬の咲く頃は、梅雨にはまだ暫らく間があるが、どうしたものか殆ど毎年、雨に降られる。今年も蕾から開花にかけて雨に降られ、芍薬には気の毒な天候続きであった。嘗ては杭を打ち込んで番傘を立てかけ、花びらに雨があたらぬように慈しんだが、昨今は番傘そのものが手に入らなくなって、自然のままに任せている。コウモリでは風情もなく、芍薬も気に入るまい。





 芍薬はやはり、白が気品があって好きだ。
開きかけの白い花びらの先端に、ほんのチョッとだけ紅をさすのは、客人に挨拶に出る直前に鏡を覗き込む女性を連想させて、えも言われぬ風情がある。

 「うつろ庵」の芍薬は、気の毒にも雨露に耐え切れず、数日で散った。来年は、番傘を何としてでも買い求めておかねばなるまい。


             白妙の花びら重ね内に秘める

             思いをきかまし芍薬咲くに



             しろたえの重ねる衣のその奥に

             抱く思いの紅ひとすじ



             降り続く雨に花びら露たたえ

             あはれ咲くかも白き芍薬






              ご近所の紅芍薬も、相前後して咲いた。







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