「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の薔薇 その3」

2013-05-15 19:00:47 | 和歌

 「うつろ庵の薔薇」三回目のご紹介は、紅蔓薔薇にお出まし頂く。この薔薇との出会いも夙に30余年の歴史があるが、品種名を失念したことは返すがえすも残念だ。

 

 この紅薔薇が「うつろ庵」の庭に初めて咲いた頃の感動は、並大抵でなかった。
気品ある香りと情熱を滾らせる薔薇の風情から、紅薔薇は高貴な美女の化身かと思われた。魔法を解き美女に戻して『薔薇を娶らむ』、との長歌を紅薔薇に捧げた。
虚庵居士の私家歌集第二巻にその長歌を収録し、歌集のタイトルを『薔薇を娶らむ』とした程であった。

 当時のブログは、虚庵居士の編集操作のミスで一瞬にして喪失してしまったので、 
リンクを張ることも出来ないが、翌年の紅薔薇の季節に長歌『薔薇を娶らむ』を再収録し、「薔薇の雫」に掲載した。長歌に託した虚庵居士の思いを、ご笑覧頂きたい。
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 この紅薔薇の最大の特徴は、気品ある香りだ。
生花の馥郁たる香りは云うに及ばずだが、散り敷いた花びらも、そして尚且つ乾燥した花びらでも、長期に亘って香ることだ。

 紅薔薇は写真でもご覧のように、珊瑚樹の生垣に覆い被さるかのように、身の丈を遥かに超えて咲くので、彼女の気品ある香りを道行く人々には嗅いで頂けない。
そこで、竹篭に花びらを入れて
「薔薇の香のお裾分け」をした。
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 散り敷く花びらはたちまち竹篭に溢れるので、半分を竹篭に残し、半分は虚庵居士の自室で乾燥中だ。幅1mX長さ2mの巨大な机の上に拡げてあるが、今や机の上も満杯状態だ。部屋に入れば、何とも言えない気品ある香りが、躰を包んでくれる。
グラス片手に酔いも重なって、陶然とする虚庵居士である。

 


           紅の蔓薔薇咲けば気もそぞろ

           滾るこころを如何に受けまし


           いや高く八重の紅薔薇重ね咲くに

           なぜに荒ぶる春の嵐よ


           舞い散れる紅の花びら愛しくば

           一枚一枚拾い集めぬ


           竹篭に集めし香りのお裾分けも

           たちまち溢れぬ薫風荒めば


           花びらを机に拡げてバラポプリ

           作らむとして香りに酔うかな







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