「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小判草とシービビ」

2015-06-28 13:26:58 | 和歌

 何時もの散歩道の脇の草むらに、「小判草」がユーモラスな姿を見せていた。
ごく細い糸のような花茎の先に、小判の様な莟をぶら下げ、隣りには「カラスのえんどう・烏野豌豆」と絡み合い、戯れている小判草もあった。



 この野草は、姿がユーモラスで観ても愉しめるので、明治時代に観賞用として国内に持ち込まれた帰化植物で、地中海沿岸が原産だという。珍しい野草を態々持ち込んだ、昔の爺さまの遊び心には感服だ。「俵麦・タワラムギ」との別名もあるようだが、小穂の容姿を捉えた名前で面白い。

 小判草に絡み、戯れて遊ぶ蔓草の「カラスのえんどう」は、小振りの紫の花が豌豆に似てカワイイ。秋にはごく小さな莢豆を付けるが、野で乾燥した莢を唇で挟んで鳴らした子供の頃が懐かしい。 「シービビ」の別名は、将にそんな風に鳴ることから、子供達はもっぱら「シービビ」と呼んで遊んだものだった。


           草叢にひと際目立つ小判かな

           風に揺れるは手招きならずや


           近寄れば細き糸茎 花序を吊し

           風流なるかな小判のゆるるは


           その昔粋なおのこは外つ国の

           野草を愛でて持ち帰るとは


           小判草に絡むは蔓草じゃれ合うや

           シービビ可憐な花を咲かせて 


           蔓草のシービビ見れば想い出す

           豆さや鳴らして遊んだ昔を


           草ぐさに寄り添ひ共に語らへば

           立ち去り難くも あまたの思ひに 







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