何時もの散歩道の脇の草むらに、「小判草」がユーモラスな姿を見せていた。
ごく細い糸のような花茎の先に、小判の様な莟をぶら下げ、隣りには「カラスのえんどう・烏野豌豆」と絡み合い、戯れている小判草もあった。
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この野草は、姿がユーモラスで観ても愉しめるので、明治時代に観賞用として国内に持ち込まれた帰化植物で、地中海沿岸が原産だという。珍しい野草を態々持ち込んだ、昔の爺さまの遊び心には感服だ。「俵麦・タワラムギ」との別名もあるようだが、小穂の容姿を捉えた名前で面白い。
小判草に絡み、戯れて遊ぶ蔓草の「カラスのえんどう」は、小振りの紫の花が豌豆に似てカワイイ。秋にはごく小さな莢豆を付けるが、野で乾燥した莢を唇で挟んで鳴らした子供の頃が懐かしい。 「シービビ」の別名は、将にそんな風に鳴ることから、子供達はもっぱら「シービビ」と呼んで遊んだものだった。
草叢にひと際目立つ小判かな
風に揺れるは手招きならずや
近寄れば細き糸茎 花序を吊し
風流なるかな小判のゆるるは
その昔粋なおのこは外つ国の
野草を愛でて持ち帰るとは
小判草に絡むは蔓草じゃれ合うや
シービビ可憐な花を咲かせて
蔓草のシービビ見れば想い出す
豆さや鳴らして遊んだ昔を
草ぐさに寄り添ひ共に語らへば
立ち去り難くも あまたの思ひに
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