「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ヴェルニー公園のバラ苑」 その七

2010-07-08 22:02:22 | 和歌

 横須賀市と鎌倉市のそれぞれで、生涯学習センターでの市民(大学)講座を開設して、今年で何年目になるのだろうか。2004年が最初の開講だったと記憶しているので、指折り数えれば既に七年目を迎えたことになる。

 横須賀から鎌倉へは、これまでは三浦半島を車で横断して往復したが、今年から電車に切り替えた。乗り換えの道すがら「ヴェルニー公園のバラ苑」の存在を知ったのは、誠に僥倖であった。七年目のささやかなご褒美かもしれない。
 
 最終回の鎌倉講座への乗換時間に追われて、バラ達との会話はたった三十分程の短い時間であったが、七回シリーズでご紹介した以上に中味の濃いものであった。急かされる思いの「バラ苑」の訪問で
あったのが、悔やまれるところだ。次回には、時間に追われることなく、ゆったりと訪ねたいものだ。



  右: ブラックティー(日) 
  左: 未確認


 
 「ブラックティー」は名前からも窺えるが、花びらの色に黒味がさした特徴的な薔薇であった。名札に
よれば日本種だという。駆け足でバラ達と挨拶を交わしたが、日本種はこれ一つだったかと思われる。

 海辺のベンチ近くには、スタンド仕立ての「イングリッド・ウェイブル」が満開であった。梅雨空の煙るような遠景を背にして、シャキッとたつ妙齢のご婦人を思わせるバラであった。

 それにしても、海辺の公園でこれ程のバラを堪能させて貰えるとは感激であった。短い時間ではあったが、バラの名前を頼りに歴史を遡り、あるいは人種を越え、薔薇の花からバイオリンの超絶技巧の調べ
まで聴かせて貰えようとは、思いもよらぬ出会いであった。

 旅をすれば新たな発見と愕きと、見知らぬ国の人々との交流などがあって、愉しみは尽きぬものだが、虚庵居士の住む街の「ヴェルニー公園のバラ苑」でも、それと同じ様な出会いを体験できたのは、将に
神様のご褒美というものであろう。




  左: イングリッド・ウェイブル
  右: 未確認



            数多なるバラはそれぞれ語るかな

            その名にとどめる深き想いを

            
            膝を折りバラと視線を交えれば

            香りは吐息か 乙女の薔薇はも


            口つぐむ花にしあれば殊更に

            花の気配は多くを語りぬ


            花びらの色も姿も馥郁と

            薫るも薔薇の籠めにし思いか






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