「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「すべてを呑み来て」

2005-12-23 21:43:06 | 和歌

 市民講座に出席する道すがら、赤門を経て三四郎池を訪れた。池には、舞い落ちた枯葉を避けて、番いの鴨がゆったりと餌を啄んでいた。池に流れ込んでいる小さな滝では、東京のど真ん中に居ることを忘れ、暫しながれの音に聴き入った。加賀藩主に嫁いだ将軍家の息女のこと、小説の小川三四郎と美禰子のこと、息子と娘の孫の行く末などに思いを馳せつつ・・・。



 



             深き森 深き念を 映し来て

             昔を今に伝ふる池かな



             池の水はすべてを呑み来て静まれり

             浅葱に染まる空をもとどめて



             岩間より落ち来る水の音を聴けば

             あまたの 憶の 胸に去来す



             湧きいずる泉の小さき滝見つつ

             幾世隔てぬ 息吹を 聴くかな





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